生命体を繋ぐ女の“しぐさ”は、フランソワーズ・アルヌールにあり
ここ広島にいると、日々多くの外国人の方とすれ違うのだが、中でもユーロ圏だと思われる場合、「カップル」がほとんどだ。「こんな風にパートナーと旅するっていいな」と、いつ見ても思う。これはパリに住んでいたときから感じていたことだが、フランス人と日本人とでは、「カップル」としての生き方、関係性がちょっと違うように思う。それは、日常的な価値観の違いに関係するのではないだろうか。
「恋やデートにはお金がかかる」と思う日本人とは違い、「節約してでも人生を楽しむには恋をするのが一番!」と考えるフランス人。そこには「人間ひとりでは生きられない」「ひとりで目指す世界なんてちっぽけなもの」という、独創的な生き方への強い想いがある。個人主義だからこそ、頑固な自分をさらけ出せる「ソウルメイト」を常に探しているのだ。その努力は半端ない。だって、人生そのものがかかっているのだから。仕事にだけ精を出しているヒマはないのだ。
明日から急にフランス人的な意識に変えることはできないだろうが、そんな時はまず「映画」を。すると、真似したい女性に逢えるはずだ。
今回の女優は、フランソワーズ・アルヌール。
フランスが誇る俳優J・ギャバンと共演した『ヘッドライト』や、日本のSF漫画『サイボーグ009』のキャラクターモデルにもなった「女磨きの達人」である。実は私、存在感というものは、“しぐさ”から生まれるものだと思っている。彼女は、ちょっとメモするしぐさも、レインコートの胸元をきゅっとシメるしぐさも、「女」である。命をフルに生かした情念を感じさせる「女」なのだ。
決してワルさやズルさの武器に使うのではない、本当のパートナーとの共存を求めての自然なしぐさ。しぐさが貴方の空気をつくり、家族や未来を繋いでいくのだ。