三匹の子ぶたと狼の不思議な関係 第1章の1

 幼少時によく聞いた話が三匹の子ぶたとオオカミのお話である。当時、私がいつ頃聞いたのかはっきりと記憶がない。幼稚園の頃だったかもしれないし、それ以前だったかもしれない。でもそのストーリーに何ら疑問を持ったことはなかった。今、そのストーリーを再現してみたい。
 昔、あるところに、3匹の子ぶたが暮らしていました。お兄さんぶたと、次男ぶた、末っ子のぶたの3匹でした。それぞれが家を造ることになり、兄さんぶたが藁造りの家を造り始め直ぐに完成です。次男ぶたは木造の家を造ったので少し時間がかかりましたが完成です。末っ子のぶたはレンガ造りだったので何日もかかりましたが何とか完成です。様子を見ていたオオカミが獲物にしようと企み、お兄さんぶたから狙いました。お兄さんぶたは藁造りの家だったので、一息で吹き飛びました。直ぐに次男ぶたの木造の家に逃げましたが、木造の家も体当たりで壊れました。2匹とも末っ子のレンガの家に逃げ込みました。レンガの家はオオカミが何をやっても壊れませんでした。そこで、オオカミは煙突から侵入しました。末っ子のぶたが鍋にお湯を沸かせていたので、オオカミは大やけどです。そして山に逃げ去って二度と現れず、3匹とも仲良く暮らしましたとさ。
 こんなストーリーをずっと記憶していた。そして、藁造りや木造よりもレンガの家がセキュリティに優れているということから、物事を行う上で慎重に取り組むべきという道徳教育だったと思う。当時、そうしたお話に何ら疑問を持っていなかった。周りの同年の幼少児たちにも疑問は出ていなかった感である。いやそれとも、当時は先生や親などが出てくる疑問に対して、はっきりとその方向性を訓示し、幼児たちの疑問が消退していったのかもしれない。
 その後、全くこのストーリーを想起することがなかったが、自分の子供ができて絵本を読んでいるときに違和感を感じた。15年ほど前のことである。しかし、この時は精神科医として油の乗り切った頃であり、

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