なぜ、虹は七色なの? 第1章の3

 先日、ある患者さんが診療の中で「最近、虹が五色にしか見えなくなった。視覚が悪くなったのでしょうか?」と、聞かれた。その時、私は、「あなたの気が大きくなってきたからですね。神経質でないということです。」と答えた。その方がそれでは納得されなかったようなので、さらに次のようなコメントを追加した。「アフリカ人のある部族の中には虹は三色だという部族があるのです。その部族では三色の虹というのが常識であって、七色だというと否定されるのです。これは虹の色を三色で捉えるという固有概念があり、その他の概念が示されると抵抗されるからです。別に、虹は三色でも、五色でも、七色でもそれ以上だという見方もあると思いますけど。イギリス人には五色だと言う人もいると聞いていますよ。」と話した。それを受けて「先生は面白いことを言わはりますね。なるほど。」と、頷いて帰宅された。
 この後、自分でも「何故、虹は七色なのか?」という問いを考えてみた。われわれは幼少時から虹は七色と教わってきた。中学理科では、光はプリズムで波長ごとに分解され可視である7色に分かれると習った。7色とは、赤から橙、黄、緑、青、藍、紫までの7色で、目に見えない部分が赤外線と紫外線になるという。こうした教科書的説明で今までは十分わかった気になっていた。しかし、これでは実は何の回答にもなっていない。

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