富山の被災地の日本酒と美味しい富山おでんの話
いままで出張で最も多く訪れた県は富山県だ。切れることなく仕事のご縁が続いている。石川県には息子家族がいるので、北陸は身近に感じる。
元日に発生した能登半島地震は富山県にも大きな被害を与えた。取引先の店舗も被災し、3週間近く経ったいまも全面復旧に至っていない。
「被災地は厳しい冷え込み」という報道に接してモヤモヤした気持ちで仕事場に向かう。現地とは比べものにならないが、東京も冷え込んでいる。
今日は地下鉄ではなく、上野駅から上野公園、藝大前、谷中住宅街を歩いて向かう。上野公園では「おでん&地酒フェス」が開催中だった。
いつもはスルーするのだが、入り口近くの「富山おでん」の文字が目に入り、足を止めた。ブースの前では某テレビ局が撮影している。
「随分前の大雪の日に取引先の新年会にご一緒させていただいて、富山おでんを食べたなあ」と思っていると、店主から声がかかった。
「日本酒はお好きですか。よかったら、試飲してください。富山県の酒蔵が被災して、そこを応援したくて持ってきているんです」。
話を聞くと、富山県氷見市の高澤酒造場が被災し、大変な状況だという。仕込みの時期にもかかわらず、断水などで再開の目処が立っていない。
せっかくなので「曙 初嵐」をいただくことにする。くいっと飲むと、まろやかな味ですうーと喉を通っていく。美味しい。冷えた身体が温まっていく。
カメラが向きを変え、テレビ局のスタッフから感想を求められた。「早い復旧を願っています」、もっと気の利いたことを言えばよかったなあ。
店は富山駅近くの「五條」。正しくは「ヤットルゾー五條 富山駅本店」だ。1965年創業の大衆酒場で「秘密のケンミンSHOW極」にも登場したらしい。
声をかけてくれたのは同店の二代目だ。富山は練り物が美味しい。湯気が上がっているおでんを食べたかったが、開場前で出せないとのこと、残念。
しかし、食い意地が張っているので、差し入れを持って昼前に再訪。塩と昆布やかつお節でとっただし汁に熱々のおでんダネ、最高だ!
仕事場に戻る途中で、いくつかの寺院を通るたびに、被災地に一日も早くいつもの日常が戻ることを心から願った。
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