あなたの店の社員の休憩室はどんな状態でしょうか?
田舎の寂れた旅館の部屋のような休憩室
コンサルティングとデザインで中小企業のブランディングを支援をするのが仕事です。取引先には小売店や飲食店もあり、経営者と会うために訪問(コロナでオンラインが増えました)すると、社長室や会議室に通されます。
お昼に差し掛かると食事を誘われることがあります。あるとき「社員さんはどこで食事をしているのですか」と尋ねると、「外食する人もいますが、大半は休憩室です」という返事。社員の休憩室がある店が結構多いのです。
社員の休憩室を拝見すると何ともみすぼらしいところが多いのです。みすぼらしいが辛辣すぎるならば、「ここでは休んだ気分になれない」というのが本音です。田舎の寂れた旅館の奥の部屋のような休憩室もありました。
コンクリートむき出しの穴蔵のような休憩室
ある専門店の内装は厳選した素材を使い、デザイン的にも素敵に感じる空間です。メディアにも度々取り上げられています。あるとき、ミーティングの資料が必要となり、店の奥にある事務室兼休憩室に入りました。
入った瞬間、売場とのギャップに驚かされました。うっすらと埃が積もったコンクリートの柱と壁がむき出し(意匠的ではなくです)の薄暗い穴蔵のような空間でした。ここで事務や休憩をするのか・・・ため息が出ました。
ある経営者の意見は、「休憩室はお金を生まない場所だから、コストをかけない、かけられない」・・・これも確かに一理あります。しかし、社員が休憩時間を過ごし、食事をとる場所であることは間違いありません。
休憩室の快適さによって社員の働く動機が変わります
休憩室も仕事の現場です。お客さまに喜びを提供している人が、気持ちを切り替える場所が快適でないとしたら、社員の働く動機は不明確になります。「経営はきれいごとではできない」という声が聞こえてきそうですね。
とはいえ、休憩室にそれほどのコストはかけられない、スペースの関係で快適な場所が確保できない・・・これも事実だと思います。とくに資金が限られた中小企業は、休憩室にコストをかけることに躊躇せざるを得ません。
だからといって何もしないままでは、その気がないと思われても仕方ありません。取り組みが見えることが大事です。例えば、花があるだけで雰囲気は変わります。社内でアイディアを出してみるのもいいかもしれませんね。
お客さまだけでなく、社員も価値を提供する相手です
個人的な印象ですが、休憩室や事務所にコストをかけない会社には不機嫌な空気が漂っているように感じます。不機嫌な空気は売場にも伝わります。切り替えるのがプロ・・・いやいや、人はそれほど器用ではありませんよ。
対局の会社には機嫌の良さが感じられます。もちろん、休憩室だけの問題ではありません。「お客さまに共感してほしい価値と社内のさまざまなことが一致している」・・・それを目指しているのが伝わってくるからです。
価値の評価は「相手が感じ取る喜びの度合い」によって示されます。相手とは、お客さまだけでなく社員も含むことはいうまでもありません。どこに向けて提供する価値なのか・・・これが経営の差になってあらわれてきます。
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