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復習:コレステロールのこと③

 次に考えたこと。それは病気が生活習慣のせいなのだから、その逆を行けばいいということ。
 家人は出張がちで、外食が多いし大好きです。50歳を過ぎて増量気味だったため朝昼を抜いても、夕食は美味しいものを食べたい、そのために外食したいという考え方でした。
 しかしリハビリを受けた病院で何度も注意されたことは3食きちんと食べる必要性。量は加減してもいいけれど、抜くのはいけないと言われました。時間になれば栄養が入ってくるリズムを体に覚えてもらい、必要以上の栄養を摂取せず排出するようにするため、だと思います。確証はありませんが一年たったいま現に数値が落ちつてきているのでそうなのだと思います。それにお相撲さん、あの方たちもたくさん食べますけど、三食ではないと聞いたことがあるような無いような。

 とにかく、三食きちんと食べるをすることにしました。少しずつでもいいんです。でもね、一日3回食事を作るのは、なかなかなものです。夫は外で食べるのが好きでしたから、その反対をと考えて思いついたのは定食形式にすること。ひじきの煮物や切り干し大根、そういうものは暇な時に大量に作っておく。それから豆腐系、豆系は冷奴、煮豆で対応し、わかめは冷奴に載せたり、味噌汁に入れたり。ご飯は玄米と白米の半々。昆布の佃煮とか漬物も、手抜きと言われようとも、たくさん種類を買ってきました。
 さて、メインディッシュですが、ここには再び魚を選びました。

 このころ、もうダイエット疲れになっていた夫。本当なら生姜焼きやステーキで勢いをつけたいところでした。それに代わるものは何かと考えた時鰻が思い浮かびました。
 あの滋養強壮の、土用に食べる日本古来のエネルギー食鰻を食べれば・・・。

 ところが、
 ところがですね、
 ここが落とし穴なのですが、鰻はコレステロール値がめっちゃ高いのです。
 正直、ショックでした。魚は生活習慣病の対策には絶対的なアイテムだと思っていたのに、困るじゃないですか。ここでスイッチが入りました。退院直後からこれなら絶対と信じ、それに美味しいし、何かの時には一人1パック食べていたシシャモ。あれ魚卵のプチプチと魚のほろ苦さが本当に美味しいですよね。その成分を調べてみると、しかし、なんと100gあたり230mgもありました。ついでに、脂乗った状態が美味しいブリで100gあたり75mg前後ですからずいぶん高いです。

 逃げ道を断たれたような絶望感におそわれ、その感じをなんとか払拭したくて昭和の日本食の定番『イワシの丸干し』を調べてみると、これも高くてなんと、220mg。ウナギの230mgとともに、有塩バターの210mgを超えております。私は子供の頃バターが好きで、白いご飯にバターの塊をのせて食べていたのですが、あれと同程度かと目玉が落ちそうなほどに驚きました。
 
 しかし同時に気づいたこともあります。
 魚ではありませんが、卵。普通は鶏卵、あれのコレステロール値が高いのは知られています。けれども数値がたかいのは卵黄だけ(1400mg)で、卵白は1mgとほぼ入っていない状態。ちょっとした発見に気をよくした私は、高コレステロー謎の沼に身を投じました。
 卵は鶏ばかりではありません。魚卵、あれも高いに違いない。調べてみると案の定、イクラさんとタラコさんはそれぞれ480mgと280mgと高コレステロール食品として十分の資格をお持ちでした。それならば黄色く輝くダイヤモンドのごとき魚卵の輝く子持ちししゃもが高コレステロールなのは納得できました。しかし、卵を持たない鰯。鰯の丸干しが高いのはなぜでしょう。このころ、スーパーの生鮮食品の冷蔵庫の前で携帯でコレステロール値を調べるのに疲れてきていました。肉はだめ、魚はいい、葉物野菜はオッケーと言うように明確にわかっていればいいのですが、こんなふうにこちらの思い込みがあっさり覆される経験を繰り返した結果、だいたいこんなふうじゃないかという一貫性のある判断基準が欲しくなっていました。ブリの切り身が低くて、ウナギとシシャモが高いのはなぜか・・・。
 そのときふと学校で習った鶏卵の細胞分裂の図が浮かびました。先ほど卵白と卵黄のコレステロール値についてはお話ししましたが、これほど差があるのには理由があるんじゃないか。
 もちろん調べましたよ。人間の視点ですから、もちろん鶏本人の目線で見れば別の言い分があるかもですが、卵白は87%が水分で残りがタンパク質。カラザを含むこの部分は大事な卵黄を殻の中央に保つ役割があります。一方卵黄にはヒヨコに育つ胎盤や初期の成長に必要な栄養とか含まれています。つまり生命維持に必要な訳です。卵アレルギーはタンパク質のアレルギーが大半なので卵白が食べてはいけない部位ですが、コレステロールに関しては卵黄が高いのです。
 ・・・これはつまり・・・。
 
 私は仮定をたてました。
 コレステロールはコレステロールは細胞膜や身体の働きを微調整するホルモンの原料であるならば、動物が生きてゆくために必要な成分。つまりは、生命維持に必要な内臓を含む食品はコレステロールが多く含まれているのでは? 
 するとその仮定はうまくヒットしました。数の子、イクラは卵ですから当然高く、シシャモ、鰯の丸干しは魚全体を食べるから魚の生命維持に肝要な心臓や内臓も含んでいるから高い。最たるものは、畳鰯じゃないでしょうか。畳鰯(たたみイワシ)はカタクチイワシの稚魚を生のまますのこの上で干したもので、何千匹もの乾燥魚の紙のようなもので、炙っていただくとものすごく美味しいです。推論が正しかったかどうか、調べてみると100gにつき750mgの含有率でした。これまで調べた魚の中での最高でした。魚はこんな具合でしたから、当然、お肉の方は推してしるべし。ホルモンはどれもびっくりする値でした。
 一応、魚やお肉のどこにコレステロールが多いか突き止められました。お魚ならあらを外した身を食べればいいのですし、お肉は脂身を外せば食べられそうです。食事制限のストレスフルな走り出しから半年、ようやく一貫性のあるルールが見つかりそうです。境界的な食品、例えばウナギはまだ、なぜ高いのか分かりませんし、いまのところ「川の魚だから事情が違うのかもしれない」という感じで、そういう生息地とか昔ながらの製法などよる境界がありそうな食品はいちいち調べることにしました。


注)家人の脂質異常症をきっかけに食事を見直した奮闘を書いたものですが、コレステロールの排除をお勧めするものではありません。不可能でありますし、また後半でも書きますが、体に必要な成分であり不足すると脳出血などを引き起こすことがあり注意が必要です。

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