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【お菓子】ポルボロン

今日もお疲れ様です。

ポルボロンといいます。スペインのお菓子です。材料はバターと小麦粉とアーモンドの粉と粉砂糖、以上。本来はラードを使うとか。

NHKの『世界ふれあい街歩き』だったかなぁ、スペインの旅番組でポルボロンが出てきました。これ一品のみの、街の菓子屋さん。図った様子もなく歩いていたら出会った感じのお店にぽつりぽつりとお客がやってきて、常に一人二人の客がいる。二つぐらいずつキャンデーみたいにパラフィン紙に包んであって、それを二、三紙の袋に入れて手渡し。

それを見て、あーあれって思いました。昔、勤めていたホテルのフランスの焼き菓子、プールドネージュに似ていたんですもの。それと同時に、つい最近、六年ぐらい前に勤めていた大学の給湯室の風景も浮かんできました。そっちはサバティカル明けの教授のお土産だった。前者はしっかりと硬く歯を立てるとほろほろ壊れていき粉砂糖の香りが上品なお菓子。後者は、白い砂糖の粒が顔を出したクッキーが2枚赤い模様の入ったパラフィンに包まれていた。歯を立てた瞬間に口の中でアーモンドの香りの粉に変化して大きめの砂糖のかけらが舌に残った。

水曜日は毎週、お菓子を焼きます。それは随分前からの習慣で、そのために火曜、早いときは月曜あたりから何を焼こうか考え始めます。けれども今回はこれを焼くことに思い至った理由が思い出せない。今回も神がかりな仕業です。この暑さですから、チョコレート系やソフトなものはなかなか出にくい。そう考えると自然と焼き菓子に絞られるのは当然と言えば当然なのですが。まさか、これまで作ったことがないポルボロンに手が伸びるとは、出来上がってから意外に思いました。以前一度作ろうと思ったことはありましたが、その時はレシピの「壊れやすい」という一文を見てやめました。しかし今回は、そのことすら忘れていました。歳、なんですかね。

それが一週間前です。ポルボロンとプールドネージュは材料は同じですが、一線を画しているのは小麦粉とアーモンドパウダーをローストしている点。これの一手間で粉の香りが一気に引き立ちます。ダイジェスティブのクッキーの麦芽香にも香ばしさが加わり、ずっと口の中で味わいたい気持ちになります。それに仄かな甘さもちょうどよくって、一枚はわずかな量なのにちゃんと主張があって二、三枚で十分です。

このローストのおかげで、先週失敗しました。気持ちよくローストしたところまでは良かったのですが、粉砂糖を混ぜたバターと合わせ八時間寝かせてもまとまらなかったのです。粉類はローストすればするほど香ばしくなる分脂分を取り入れなくなりポソポソになってしまうのです。それでも美味しいですがむぎ焦がしみたいでお菓子にはなりませんでした。

また、時間もかかります。ゆっくりと脂分を粉に馴染ませるために冷蔵庫で8時間以上休ませる必要があります。一方、プールドネージュはというと、常温で一時間ぐらい休ませれば焼成できるみたいです。ここの違いは、絶対に味に出る。そう信じて二度目のトライにかかりました。

そして今回の改良点は二つ。①型抜きをする前に十分に室温に戻すこと、②家のブラックベリーを入れること。前回失敗した生地は硬いまま板チョコレートのように割れてしまいました。しかしそれをそのまま焼いたところ、わずかに嵩が増えしっかり焼き上がったため、柔らかくしてから厚さを均一にして焼いても大丈夫だと学びました。しかし材料の分量は以前のままでしたから、わずかでも水分を入れられたら割れにくくなる。それだけでも十分に美味しかったのですが、ブラックベリーを入れればオリジナリティーも出ます。後から粉砂糖をまぶす予定ですので、酸っぱさが加わってきっと良き、と想像したわけです。

我慢と忍耐の工程です。今もクーリング中で、冷めたら壊れやすくなりもしかしたら厩舎に持ってゆくのは無理かもしれません。が、今のところ、最高に美味しくできました。炭水化物やグルテンを控えているせいでしょうか、たまに小麦粉を食べますと、自分の体に欠かせない気がして仕方ありません。スコーンを作った時もそう、キッシュを作った時もそう。小麦の香ばしさが体を満たし力強く生きるイメージが湧いてきます。アルコールのそれとは違いますが、身体中に小麦パワーが巡る感じです。こんなにパワーのあるものを遠ざけている矛盾を感じますが、時々だからいいのかも。

確実に太るでしょう。でも、ハードタイプのパンや、ライ麦パンの好きな方もきっと気にいるはずです。よかったらお試しを。

『小麦粉50、アーモンドパウダー50、粉砂糖30、バター50。コナ類を200度で10〜12分ローストしている間に、室温バターに粉砂糖を混ぜる。粗熱をとった粉を、粉砂糖バターを合わせラップに包んで8時間以上冷蔵庫に寝かせる。型抜きか一口サイズに切り、150度で20分焼く。』

高温でローストし、低温で焼くのも特徴ですね。

写真はまだ途中。パラフィンでキャンディ包にするか、袋に入れるか考え中です。

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