★なぜ習近平は洪水の最中に吉林省を訪問したのか 2020年7月27日

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 6月下旬以来、オブライエン米国家安全保障顧問、ウィリアム・バー司法長官、クリストファー・レイFBI長官、マイク・ポンペオ国務長官らによる四方八方からの中国への強い批判の前に、北京は米・中新冷戦に備え、「口を開ば罵声が飛び出す戦狼外交」をやめ、外交部スポークスマン換えて、11月3日の大統領選挙の結果が出る前に、これ以上、米・中間の摩擦に油を注がないようにしました。この間の情報を、いろいろ検討してみた結果、習近平主席は、少なくとも米・中冷戦に備えて、二つの方面から十分な準備をしているようです。

 ★方向は、経済の国内循環と自力更生

 7月21日、中共総書記の習近平は、北京で起業家との座談会を開きました。この種の会合はただの座談会ではなく、業界に向けての信号を発する場です。例えば2018年に開かれた民営企業座談会は、中国世論がかまびすしかった「民営経済退場論」に対して、起業家たちを慰撫するために開かれました。

 今回の会議は、まさに米国の相次ぐ圧力や、新冷戦が始まるのではないかという世界中が心配している時期に、中国最高指導者が世界に向けて、米国の「デカップリング」(中国切り離し)に対して、どのような戦略をたてているかを公開するためです。それは、「経済の国内循環」と、習近平バージョンの「自力更生」です。

 この中国内外の企業が一堂に会した会議では、前後7人の起業家が選ばれて発言しました。この7人の肩書きから見て、主要な業界は、セキュリティ、国際貿易、赤外線画像などの産業で、これらの企業が、中国の自力更正の重責を担うことになります。

 ハイクビジョン社(海康威視数字技術)は8年連続でビデオ監視業界で世界No.1になっており、中国政府の全国的な監視網構築に功績ががあった企業で、2019年10月に新疆のイスラム教徒の人権を理由に、米商務省が他の中国企業7社とともに米国の輸出管理規制リストに追加した会社です。

  今回、中国共産党がハイクビジョン社を企業家フォーラムの最初の演説者に選んだことは、ハイクビジョン社に対する高度な政治的支持を示すだけでなく、米国の企業リストに対する中国の不満を明確に表現しており、中国が今後も監視業界でNo.1の地位を維持し続けるという決意を示しています。

 中化集団シノケム(中国中化集団有限公司)は、エネルギー安全保障、税収、雇用という政治的・経済的な二重の使命を持っていることから選ばれました。GoerTek (歌尔股份有限公司)は中国の電子情報企業で、世界ナンバー2の光学機器サプライヤーであり、サムスン、アップル、シスコ、チャイナユニコム、シーメンス、フレクトロニクスなどの中国の外科系企業を顧客としています。Goertek Technology社を出席させたのは、中共はもう二度と「中国製造2025」(メイド・イン・チャイナ2025)を口にはしませんが、依然として、ハイテク産業で勝ち取った地位を守り抜く決意だということを示すためです。米国側によれば、中国は少なくとも、そうした主導的な地位を、数年、あるいは10年ぐらいは間に合うほど十分な技術を盗み出しています。

 上海の品海ホテルは、中国の自営業者の代表として選ばれました。中共の高層指導者が自営業者に非重要な競争分野での発展を奨励しています。蕭建華の末路(訳注:香港で中国漢検に誘拐されて消息不明になった)から見ると、中国政府は明らかに民営企業が金融分野に足を突っ込むのは、国家金融の安全を容易に損なうので歓迎していません。民間企業は十分にそれを察して、中共の恩情に応えて、今後は本分を守り、改革開放初期の中共の私企業の定位置の「穴を埋める」に戻ることを期待されています。いわゆる個人企業と民営企業はその所有性の面では、実質的な差は無いのであって、民営企業は自分らの地位が街の個人商工業者より上だなどと思い上がってはならないのです。

 国内のプロパガンダ・マシンたるマスコミは、今回の座談会についていろいろな意義を書きたてていますが、その核心はつまり「米国の圧力に直面して、技術を盗んで利用するやり方はもうできなくなった。国内市場は縮小しつつある。だから、中国経済は『国内循環』、自力更生しなければならない。青い山があれば薪がなくてもよい、まだ望みがある今、企業は習近平総書記の号令に応えて、自主的に国のために頑張って、憂いを分かち合え、ということです。


 ★習近平は東北旅行で決意を語る

 中国では国内は洪水に見舞われ、国外では米国の強大な圧力に直面しています。過去数十年やってきたように米国のハイテク、マーケットに頼って世界第二位の経済大国になりおおせました。

 しかし、もはや米国はそれを許さず、中国は苦境にあり、それぞれの業界の起業家が集まって会議を開いていたのでは全然間に合いません。そこで習近平は労を厭わず、7月22日に吉林省の視察に出かけました。その旅行には二つ目的がありました。

 まず、全党的な思想動員です。吉林省西南部に位置する地級市四平市の 四平戦役((1946年4月)記念館を訪れた際の演説の重点は「中国共産党が築いた社会主義の大事業を守り、次の世代に伝えなければならない」というのが焦点です。これは世界に向けて、どんなことがあっても共産政権を守り抜くという決意を宣言したものです。

 官製メディアは「この昔の重要な戦場で、習近平総書記の戦略的思考は意味深長である」と書きました。これはいろいろ連想を呼び起こす言葉で「四平」という言葉には、国共内戦の戦場という以外に、古来からの意味があります。

 詩集「大雅」には、「四方が平和になれば、国は併存する」(四方が平和になれば、国は幸いにも落ち着く)という言葉があります。これが、国内の十数省が洪水に襲われている時期に、総書記たる習近平が、かっての朱鎔基や温家宝のように洪水の前線に赴かず、全く洪水の起きていない吉林省四平市へ視察にでかけた理由なのです。

 二つ目は、アメリカにアメリカの農産物を輸入しない私たちの中国の食品は十分にある、と宣言することでした。

 7月22日、習近平が吉林省で真っ先に訪れたのは、「関東の門」とも「東北の食料庫」ともいわれている吉林省四平市の梨樹県でした。ここは地理的条件がよく、中国の「黄金のトウモロコシベルト地帯」と言われています。

 中国の対外食料依存度は13%にもなり、長年、米国から輸入していた三大食料は、大豆、トウモロコシ、小麦でした。米・中貿易戦争は28カ月に及び、中国はなんども米国から農業産品を買わない、と意思表示してきましたが、大豆などの農産物や豚肉の購入はずっと続いていました。しかし、今や、米国は対中国への攻撃が次々になされ、中国は、自力更生の準備をせざるを得ないのです。食料の安全には、このトウモロコシベルト地帯の存在は大事なのですが、それでもまだ大量のトウモロコシを輸入しなければなりません。果たして、総書記の視察後に生産を倍増させられるかどうかは、また別の話です。

 ★二つの下準備が整い、「国内循環」の開始点を求める

 米国がヒューストン領事館の閉鎖を発表して以来、中国政府は怒りをあらわにしていますが、そこに民間の「愛国勢力」を関与させてはいません。成都の米国領事館の閉鎖が発表されて以来、領事館の外では愛国者による自発的な抗議行動がありましたが、警察によってすべて撤収させられました。 米国がいなければ、中国の発展は大きく阻害されることを北京はよく知っているのです。

 ロイター通信は、情報筋の話として、北京は現在、米国の世論を注意深く監視しており、民主党候補者の選挙基盤の分析や米国の世論調査の専門的な分析を行うために、独自の研究機関を動員していると伝えています。

  匿名を条件に話した中国の無名の役人の見解は、中国の公式見解を表しています・「両国が過去の良好な関係に戻るという幻想はもはや存在しないが、新しい大統領は少なくとも両国関係を再開する新たな機会を提供する可能性がある」と言うのです。

 しかし、2016年の大統領選挙で、クリントン圧勝と言われたのが、トランプ当選で終わった経験から、北京も米国のニューヨーク・タイムズ紙やCNNなどの片寄った世論調査や分析が額面通りに受け取れないことは百も承知で、独自に自分たちで研究しなければなりません。例えば、中共は米国大統領選挙事情研究小組というのができましたが、きっとワシントンポストが7月19日に伝えた「4 things that could move 2020 race towards Trump」やザ・ヒル紙の7月27日付記事「Poll: Trump supporters more enthusiastic than Biden's」には関心を持って読んで分析した上で、習近平に報告されていると思われます。

 こうしたことを踏まえて、北京は11月3日までは米国がゲームの選手交代を行う期待を捨てきれず、この結果を促進するために米国内の中国人に密かに働きかけることさえあるでしょう。 しかし、歴史的な経験から、ジョー・バイデンに全てを賭けることはないでしょう。どちらが勝利しても良いように準備を整え、進退の自由を確保するでしょう。中共はこのような政治的な知恵は十分持っています。

 中国が、大いに輸出して大いに輸入するグローバリズムの中心から、一変して「国内循環」経済に発展の方向、決心と実現手段の三つが欠かせません。今、方向は、中央の最高指導者が決定しました。自力更生です。動員された企業は大いに張り切って、中共中央と同様、決意は固いでしょう。ただ、国内循環の手段は、まだ見つかっていません。

 詳しい分析は★経済の「中国内景気循環」が厳しい理由 2020年7月23日をご覧ください。しかし、中共の社会コントロール能力と宣伝能力に鑑みれば、これは急ぐ必要はありません。米国の選挙終了までまだ100日近くあります。 その100日の間には、何が起きてもおかしくない。 さらに、自信を持つことが重要です。ましてや、この重要な時期に、中央委員会政治局常務委員会は、革命オペラ「紅灯記」からの「共産主義者にとって、太陽の下では難しいことは何もない」を歌うことで、先頭に立っているのですから。(終わり)

 原文は; 何清涟:面对新冷战:中国方向、决心、手段三缺一

何清涟:面对新冷战:中国方向、决心、手段三缺一

2020-07-27

自从6月下旬以来,面对美国国家安全顾问奥布莱恩、司法部长威廉·巴尔、FBI局长克里斯托弗·雷、国务卿蓬佩奥从各个侧面对中国的强烈批评,北京从各个方面开始做应对美中新冷战的准备,甚至放弃了“外交即开骂”的战狼式外交,换了一个温和不骂人的外交部发言人,务求在11月3日大选结果出来之前,不再为中美矛盾添火加薪。本人认真仔细地研究了相关信息,认为应付新冷战,中共掌门人习近平至少从方向与决心两方面做了充分准备:

大方向:经济内循环,准备自力更生

7月21日,中共总书记习近平在北京主持召开了一场企业家座谈会。这种会议从来不是清谈会,而是向企业界传递一种政治信号,比如2018年召开的民营企业座谈会,那是针对中国舆论场上“民营经济退场论”,为安抚民营企业家而举办的一次会议。这次会议召开之际,正值美国接连施压,世界都担心新冷战即将发生的时段,中共最高领导人认为非常有必要向世界公开明示中国应对中美脱钩的战略大方向:经济内循环,习近平版自力更生。

在这场中国两岸三地以及海外企业云集的会议上,先后有7位企业家被挑选发言。从7位企业家身份来看,主要从业于安防、跨国贸易、红外热成像等行业,这些行业将是中国未来自力更生的担纲者。

海康威视连续8年蝉联视频监控行业全球第一,为中国政府建立遍布全国的监控网络立下汗马功劳,也因此在2019年10月被美国商务部以新疆穆斯林人权问题为由,将其与其它7家中国企业列入美国《出口管制条例》实体清单。这次中共在企业家座谈会上安排海康威视做首位发言者,既代表高层对海康威视的政治支持,也清晰地表达了中国对美国实体清单的不满,更是展现了中国将继续在监控行业保持No.1地位的决心。

中国中化集团被选中,则因其承担为国分忧的政治与经济双重任务:能源安全、税收、就业。歌尔股份有限公司是中国电子信息类企业,现是全球第二大声学器件供应商,其客户群遍布三星、苹果、思科、中国联通、西门子、伟创力等中外科企,让歌尔股份出席座谈并有份发言表明了中共高层虽然不再提中国制造2025,但仍然想保持科技行业在世界已有的地位。据美方透露,中国偷去的技术够多了,还可以好好消化一阵,至少管上几年甚至十年,在这个期限内,保持领先地位不用愁。

上海品海饭店的发言人作为中国个体工商户的代表被选中做发言人,高层领导鼓励它们在非关键的竞争性行业发展——结合肖建华终局来看,中国政府显然不希望民营企业今后涉足金融行业,既容易危害国家金融安全,还会导致涉足者财散人不安——民营企业应该好好体察党中央这番爱护民营企业之心,今后就谨守本份,回到改革开放初期党对私企的定位:拾遗补阙。所谓个体工商户与民营企业,就所有制性质来看,其实无甚实质差别,民营企业可不要认为自家的政治地位比个体工商户高。

国内宣传机器为这次座谈会总结了多条意义,其实核心就是一条:面临美国的压力,求借偷的技术自主创新不再可能,国外市场正在变小,从此,中国经济得“内循环”,咱们要自力更生了。留得青山在,不怕没柴烧,此时此刻,企业要响应习近平总书记的号召,主动为国担当、为国分忧。


习近平四平之行宣示决心

中国国内洪水滔天,国外则面临美国的强大压力。过去几十年,中国依赖美国的科技、市场,将自己发展成了世界第二大经济体。如今美国不让依赖了,面对困境,仅仅与各界企业家开个会远远不够,习总书记不惮劳烦,于7月22日亲赴吉林考察,此行任务有二:

一是全党思想动员。借参观四平战役纪念馆发表一番讲话,重心落在这两句:“我们一定要守住中国共产党创立的社会主义伟大事业,世世代代传承下去”。这是向外界宣示不惜一切代价保住红色政权的决心。官媒称:“在这个昔日兵家必争之地,总书记的战略考量意味深长”,这句话引发猜想联翩,比如选“四平”,除了借国共内战时期中共“四战四平”在东北立稳根基这一“开国”吉战之外,还取“四平”一词之古意。《诗经·大雅》有云:四方既平,王国庶定(四方既已平服,王国之内幸应安定)。这就是为什么国内十几个省洪水滔天,身为总书记的习近平,既不效法当年朱镕基亲至抗洪前线,也不学习温家宝亲至地震现场,而是到根本没有洪水的吉林四平考察的原因。

二是向美国宣示不进口美国农产品,咱中国粮食足够安全。

7月22日习近平赴吉林考察的第一站,就是有着“关东门户”和“东北粮仓”之称的梨树县,该县因良好的地理条件,是中国的“黄金玉米带”——中国对外粮食依存度高达13%,多年来从美国进口三大主粮:大豆、玉米与小麦。中美贸易战打了28个月,中国虽然多次表示拒买美国农产品,但对大豆等农产品与猪肉的购买从未断过。如今,美国对中国的打击接踵而来,中国得做好自力更生的准备,以保障粮食安全——这玉米带存在了好些年,中国还得进口大量玉米,是否因总书记考察之后粮食产量倍增,那是另一回事。


两套预案齐备,内循环起始点正在寻找

从美方宣布关闭休斯顿领馆以来,中共官方表达愤怒,但没让民间“爱国力量”参与。从宣布美国驻成都领馆闭馆以后,该领馆外时有自发爱国者抗议,但都被警察带离现场。因为北京心中很清楚:离开美国,中国的发展之路将大大受阻。

路透社引述消息人士披露的信息指出:中国政府目前密切关注着美国的舆论导向并调动本国的研究机构分析民主党候选人的竞选纲领,对美国民调进行专业分析。一名不愿披露姓名的中国官员的看法,代表中国官方的看法:不再对两国恢复过去良好关系抱有幻想,但是一名新的总统至少可为重启两国关系提供新的契机。但是,由于有了2016年的经验,北京也深知,对美国有严重政党倾向的民调与《纽约时报》、CNN的分析不可全信,还得自己研究一番。比如,中共这个刚成立的美国大选舆情研究小组一定会对《华盛顿邮报》7月19日那篇《4件事可能使2020年竞选向特朗普迈进》有兴趣,也会参考《国会山报》(The Hill)7月27日那篇《民调:特朗普的支持者比拜登的更有热情》(Trump supporters more enthusiastic than Biden's: poll),全面了解并上报,以备习办参酌。

基于以上考虑,北京在11月3日来临之前,仍然不会放弃中美对奕棋局中,美国换棋手的期盼,甚至也会暗中鼓励在美华人做些事情,以促进这一结果的出现。但是基于历史经验,宝也绝不会全押在拜登当选这上面,两套预案都准备好,进退自如,中共从来不缺这种政治智慧。

中国由大进大出的全球化中心一变而为内循环经济,发展方向、决心与实施手段(实现目标的工具)三者缺一不可。如今,方向已经由党中央最高领导给定,自力更生;被动员的企业也都群情激昂,与党中央一样决心很大;只是实现内循环的手段一时还未找到,详细分析请见拙文《经济内循环说来易,以何为起点难上难》(自由亚洲电台,2020年7月23日)。不过,按照中共的社会管控能力与宣传能力,这事不急,离美国大选落幕还有将近一百天。这一百天内,什么事都可能发生。更何况,信心很重要,关键时刻,由中央政治局常委带头齐唱革命样板戏《红灯记》选段:天下事难不倒共产党员。




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