『SpicySessions』から起きる改革?

前回触れた『SpicySessions』(CS TBSチャンネル)の放送が終わり、その反響がかなり大きなものになっている。
番組の詳細はここでは割愛するが、とにかく、超一流のミュージシャンだけが存在を許される空間に、2年目のアイドルが入って、その音楽センスを絶賛されるということはなかなかないだろう。

だが、今日触れたいのはそのことではない。
おりしもこの番組の放送時、代々木第一体育館で行われた『超乃木坂スター誕生LIVE』の内容だ。

ちょうど昨年末にも行われたLIVEなのだが、5期生メンバーの進化たるや、ちょっと想像を超えるものであった。
元々、スキルの高さは以前から指摘されていたものではあるのだが、この1年の経験値もあったのだろう、とにかく一人一人(冨里奈央は欠場だったが)のパフォーマンスが急成長、しかも安定していたのだから驚いた。

私は初日の参戦だったのだが、一番印象に残ったのは川﨑桜の声のボリュームと安定感だった。
川﨑桜は、フィギュアの経験があり、単独で番組にも出演している。
ただ、声はやや甘いアニメ声で、中西アルノや井上和、奥田いろはといった歌唱力エースクラスに比べれば一段落ちるものと思っていた(あくまで私の主観である)。
しかし、ソロ歌唱をした『愛唄』番組でもラップを披露した『今夜はブギー・バック』、そして最高だと感じたのは『サーフ天国・スキー天国』と、見事なまでに魅力的なボーカルで勤め上げていた。
煽りの声も太く、耳心地よく、一日目の主役は彼女だったと私は感じている。

二日目の昼・夜は会場にはいなかったのだが、SNSに流れてくる感想を聞いていると、涙を流した観客もいるほど気合の入ったものだったらしい。
一月前まで『新参者』というライブをしていた流れもあったのだろうが、5期生メンバーは一人一人、自信と、プライドを持って、ライブを成功に導いていたといえるだろう。

もちろん、早計だし、憶測にすぎない、
だが、『SpicySessions』という番組で同期のメンバーが、一流のアーティストに認められているということ。
そのメンバーとは同じスタートで同じ釜の飯を食った自分であること。
だったら、「アイドルだから(下手でも)しかたないよね」「成長過程だからいいよね」みたいな甘えは許されない。
という考えは、負けず嫌いな5期メンバーには当然あったと思われる。

今、池田瑛紗は美術の番組にレギュラー出演している。
川﨑桜はフィギュアの番組でアイスダンスを披露している。
既存の、いわゆるアイドルヲタの想定を超えたジャンルで、プロとして自分を表現できる場所を与えられている。
奥田いろはも、シェイクスピア俳優の第一歩をしるしている。

5期生は、いや、乃木坂46は、『アイドル』から『アーティスト』に進化しているのではなく、『アイドル』と『アーティスト』を完全に両立させようとしている。
乃木坂は『継承』だけではなく、さらなる『進化』を、求めて坂を登っていたのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?