『乃木坂46』のブランド力とは?

「乃木坂らしさ」とは……ということで、新曲をきっかけにして、再びこの亡霊が現れている。新曲への賛否、センターへの賛否に関してはここでは言及しないが、私の個人的なテーマでもある『世代交代』に関して、少し語ってみたい。

以前にも言及したが、乃木坂は世代交代に成功した、数少ないグループの一つだと認識している。生駒里奈、白石麻衣、西野七瀬、堀未央奈など、歴代のセンターが卒業し、1期と2期がわずかな人数になっても、乃木坂は乃木坂として機能し、期待され、期待に応えている。

「乃木坂らしさ」は、「乃木坂ブランド」の魅力なのか……。実はこの答えは難しい。確かに「乃木坂の子だから」と期待されて、オファーが来るのは「乃木坂ブランド」の力ではあるだろう。しかしながら、私個人は「乃木坂ブランド」と「乃木坂らしさ」とは別のものだろうと考える。

印象として、ファンが考える「乃木坂らしさ」とは、清楚・美人・アイドルの見本といったもののように思われる。というより、スキャンダルや楽曲の変化を攻撃するときの、こん棒にされる「乃木坂らしさ」とはそういうものである。しかしながら、それが「乃木坂ブランド」というのであれば、卒業した西野七瀬や能條愛未や堀未央奈に、悪女や濡れ場のある役柄はまわってこなかっただろう。

つまり、乃木坂ブランドは、ふわっとしたイメージではなく、実際の現場で、どれだけ信頼にこたえてくれるかという、非常に現実的な場でその力を発揮し、しかもそれがOGから4期生まで貫かれているものなのである。

この「らしさ」と「ブランド」を混同してしまうとどうなるか。

「この仕事は乃木坂らしくない」「この楽曲は乃木坂らしくない」「あの子は乃木坂にふさわしくない」と、エスカレートして、仕事の幅と将来性を狭めることになる。

すこし危険なことを言うと、「元〇〇」のイメージを捨てないと女優としての仕事に支障が出てしまうと考え、卒業後しばらく時間を置いて外仕事に入るグループと、「元乃木坂」といわれても「そうですねー」と(内心面白くはないかもしれないが否定はしない)言いながら、きっちり爪あとを残せるグループの違いが、世代交代の上でどれほど大きな差になって表れているかということでもある。

つまり、「〇〇らしさ」というイメージは、初期のメンバー(と、そのファン)によって作られたもので、後輩になれば、事前から「〇〇らしさ」を承知して、さらには利用することもできる『遺産』であるが「〇〇ブランド」はOGから新規加入まで、一人一人が毎日の積み重ねで繋いでいく『動産』なのである。

『遺産』にしばられるグループよりは『動産』で緊張感を持ちながら勝負し続けるグループのほうが、私は好きだ。



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