深川麻衣は本当に「いい人」だったのか?

本日(6月21日)放送の『モストバリュアブル芸能人』(日本テレビ)で、女優で元乃木坂の深川麻衣が紹介されるという。
サポーター(紹介者)は土田晃之、証言者として川後陽菜という形で、深川に「聖母」の名をつけた川後とのメディア上での再会は、オールドファンにとっては嬉しい限りだ。

さて、そこで、深川麻衣の人柄やエピソードなどは、おそらく番組で紹介されるだろうから割愛するが、ここで改めて、深川麻衣は「いい人だったのか?」ということを話していきたい。

「いい人」って何だろう?
他人に親切であるとか、人が厭う仕事や作業を積極的にする人であるとか、まあ、定義はあるだろうが、私自身が深川麻衣をみてきた限り、少なくとも彼女は、とても謙虚で人当たりはいいが、「お人よし」ではないと思っている。

もちろん、乃木坂内では年上(しかも岩瀬さん卒業後は最年長)であり、後輩の面倒見もいいし、いろいろな人から頼られ、相談され、そこに真摯に向き合う姿勢は素晴らしい。
だが、その一方で、専門学校を卒業し、就職時期になっても、芸能人(彼女は女優志望だった)になる夢を捨てきれず、単身上京してアルバイトはカットモデルなどの仕事をしながらオーディションに応募し続けていたことを考えると、かなりの意志の強さ、頑固さがあったことがうかがえる。

また、番組の宣伝で一部切り取られていた「センターのオファーを断っていた」というのも、謙虚さの証明というよりも、「私が勝負したいのは歌ではない」という意識があったように思われる(事実彼女は歌がそれほど得意ではない(下手でもないけど)。
自分が得意でもない歌で目立つより、歌の上手い、あるいは歌で勝負したいほかのメンバーに譲ったほうがグループのためにもなるし、自分の将来にとってもプラスになると考えていたような気がするのである。

「やさしさ」ってのは、便利なもので、ときとして自分自身のハードルを下げることになる。
何か失敗しても「あの人は優しいから」とか「いつもお世話になっているから」と周囲の協力を得られやすいし、フォローもされやすい。
だが、深川麻衣という人は、そういう期待(悪く言えば打算)などなく、おそらく当たり前のこととしてふるまっているだけで、むしろ「聖母」「いい人」といわれて当惑していたことのほうが多かった気がする。

If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.
「優しいだけでは生きていけない。だが、優しくなければ生きている資格はない」というのは、レイモンド・チャンドラーの小説の一節だが、深川麻衣さんは、まさにそういう生き方ができる、稀有な存在であり、またそのことが最大の魅力なのだと思う。

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