乃木坂の方向性は変わるのか?

5月2日の「新乃木坂スター誕生」において、乃木坂の5期生はお披露目直後ではあるものの、かなりハイレベルな歌唱力を持つタレント(才能)が集められているのが明確になった。

ゴズペラーズと共演した井上和は、低音から中高音まで、アイドル離れした安定感と声量を見せ、奥田いろはもまっすぐな、こちらはアイドルらしい軽やかな声を響かせた。「糸」を歌った五百城のソロも年齢離れした切なさや暖かみを感じる素晴らしい歌唱だった。ここに、魂を揺さぶるような個性的な歌唱力を持つ中西アルノが加わるのだから、こと歌唱力に関していうなら、他の秋元プロデュースアイドルとは別格の路線に進むことが予想されるのではないかと思う。

ここで気になるのは、「5期生によるプリンシパルはあるのか?」ということである。
乃木坂にとって、「プリンシパル」というものは、他のグループには存在しない独特なものであり、乃木坂の舞台への取り組みを象徴する公演ではあるのだが、近年、その存在感が少し薄れている部分がある。
2019年の4期生による「ロミオとジュリエット」では、好演が光った早川聖来が、その後舞台で活躍してはいるものの、プリンシパルそのものは、あまり大きな話題にはなっていない。
それでも、まだキャラクターは浸透していない4期生の人となりを垣間見ることができる貴重な機会ではあったのだが、彼女たちの役者としてのイメージは、映像作品として公開された「サムのこと」などのほうが、記憶には残っているようだ。

近年、コロナの影響もあり、劇場公演には様々な制約や、不確定要素があることから、もしかしたら5期生によるプリンシパル公演はないかもしれないような気がしている。

無論、だからといって乃木坂が舞台や芝居重視から、撤退するわけではないだろうが、いわゆる『乃木坂らしさ』の一翼を担ってきた女優志向が、楽曲へのパフォーマンス重視に変わってくる可能性はあるのではないかと思う。
(次回へ続く)

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