偉大なる凡人 秋元真夏

 乃木坂46、最後の1期生である秋元真夏の卒業コンサートが行われている。
 まだ終わっていないのだが、その興奮のままどうしても書き留めておきたくなったことがある。
それは、彼女が「世代交代に成功することができた」とこぼした一言である。

 私は、ライターとして、またファンとして、乃木坂に関しては何度も世代交代をテーマに文章を書いてきた。
 世代交代に成功するかもしれない、あるいは成功しつつある、成功しかけている……何度も何度も、このフレーズを使った。

 だが、今わかった。
 キャプテンとしての秋元真夏が、世代交代を成功させることを運命づけられた人であり、彼女が最後の一人だったからこそ、乃木坂は世代交代に成功したのだと。

 白石麻衣や生田絵梨花のような大エースではない。
 桜井玲香や川村真洋や生田絵梨花のような歌うたいではない。
 西野七瀬や山下美月のような演技力もない。
 齋藤飛鳥のような、ミステリアスなオーラもない。
 
才能あるメンバーがこれでもかと揃った中で、彼女は、ルックスこそいいが、武器らしい武器を持たない、普通の子、乃木坂の中における大凡人である。
だが、だからこそ、彼女は同期の中では潤滑油になり、後輩からは「なんとなく話しかけやすい」お姉さんであり、それでいて、「𠮟るべきときはきちんと叱れる」先輩でもあれた。

さらに、天性の頭の良さと、泥臭いまでの根性と、生真面目すぎるほどの生真面目さで、唯一無二の、なくてはならない、誰もまねできない、特別な存在として、乃木坂を率い、与えられた「世代交代」を成し遂げたのである。

偉大なる凡人は、かつてない大黒柱として、卒業していく。

乃木坂は、このまま、第一章から第二章になるのではなく、第一章がこれからも続いていくのである。


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