AKBグループの落日
秋元康氏が立ち上げたAKB48。
そのコンセプトは、劇場をショーケースに見立て、プロデューサーや芸能事務所のスカウトたちが、そこでパフォーマンスをしているメンバーを見つけ出し、それぞれの夢をかなえるチャンスを広げる場所にする……という、当初は「AKBプロジェクト」であった。
おニャン子クラブで「番組ありきアイドル」をプロデュースし、成功したものの、他番組他局への出演のハードルは高く、メンバー内の格差やゴタゴタにも悩まされ、最後は空中分解した経験を持つ秋元氏は、劇場を中心にし、なんなら客ではなく、関係者を意識して、こちら(運営)から売り込みに歩くのではなく、向こうからスカウトに来てもらうことで、自身の影響力、パワーバランスを保とうとしたのである。
だから、AKBは他のアイドルとは一線を隔し、ほぼ自社スポンサーの深夜番組やCSなどで冠番組を作りあげていった。
『AKBINGO』や『ネ申す』などには、そういう経緯というか、事情がある。
昨日、NGT48の小越春花さんが卒業を発表した。
彼女は山口真帆さん襲撃事件とその後の運営の不手際(隠蔽、組織変更、活動休止など)のあと、地に墜ちたグループのイメージを塗り替える役割を与えられ、何度もセンターに抜擢された、いわば功労者でもある。
NGTでセンターを張りながらも、女優として舞台、テレビ、映画出演も来るようになったところでの卒業というのは、ある意味AKBらしさがあると言えるかもしれない。
だが、その際彼女は衝撃的な発言をしている。
「グループにいる意味がわからなくなった」
「運営スタッフと話をしたが、価値観の相違は埋まらなかった」
「自分のいる場所ではないと感じた」
長年、AKBグループを見てきた私としては、こうして外仕事で結果を出し、その経験を持ち帰り、他のメンバーに伝え、メンバーの士気が高まり、また活性化していくということを続けてきたAKBのコンセプトを根本からへし折るような発言にしか見えなかった。
前田敦子や大島優子がドラマで得た経験を他のメンバーに伝えたり、宮澤佐江や秋元才加が舞台での経験をフィードバックし、指原莉乃や大家志津香はバラエティでの立ち振る舞いを後輩に教える……それがAKBではなかったのだろうか?
「外仕事から帰ってくるたびに自分の居場所がなくなっていった」と言わせるグループでは決してなかったはずだ。
つまり、AKBGの地方グループは、芸能界へのプラットフォームとしてのグループであるという、最も基本的なコンセプトを捨ててしまっている状況になっているのか??
坂道に抜かれた、KPOPに差をつけられたといいながらも、AKBGはボーカルコンテストなどで、質の面で、必死に巻き返しを図っているし、それは地味かもしれないが、徐々に成功しつつある。
しかし、今回の件を見る限りにおいて、AKB運営、そして秋元康氏には、地方の姉妹グループまで含めて、もう一度コンセプトを確認し、意思の統一を諮るべきだと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?