インフル特措法の批判について

新型インフルエンザ等対策特別措置法 (以下 特措法) の改正法案が可決されました。

それを受けて報道されたニュースのその殆どは、まるで「この度の改正」によって緊急事態宣言の発令が「可能」になったかのように受け取られてしまうものが多かった。

事実として、その緊急事態宣言自体は、民主党政権時に立法された時点から組み込まれていたものであり、この度の改正で「可能」となったというのは誤解であることを先に申し上げておき、注意しておくべき点を至極簡単にではあるが書いてみたいと思います。

この法律を運用するにあたり懸念すべき事柄は、この度付け加えられた付帯決議の項目の数からして、その問題点は大いにあることがよく分かります。

"新型コロナ 改正特措法 参院の付帯決議"
https://mainichi.jp/articles/20200314/ddm/005/010/061000c

しかし、可決の前後から見られる意見には、この法律によって日本が180度変わってしまうというものや、極端なものでは戒厳令や戦争にまで結び付けるものまでありますが、決してそうではありません。

なぜならば、この法律によって「出来ること」は法律に規定されており、憲法改正の議論で言われている、首相及び政府に「法的権限を全て委ねる」緊急事態条項とは全く次元の違うものであるからです。

であるからして、特措法を批判するにあたっては、そのような「法的」な違いの理解はしっかりとしておく必要があります。

また、この宣言を踏み台とし、憲法改正に突き進むのではないかという意見もみられます。

しかし、これは逆に言ってみれば、私達国民にとって、その「歯止め」にも利用でき得るものではないかと考えます。

もし、宣言がなされることになり、国民の私権の侵害が必要以上に行われるようなことがあれば、「この程度」の法律も守れない権力が現にあるのであれば「法律以上」の権限を政府に与えてしまう緊急事態条項を「憲法」に書き込むことは絶対に出来ないと訴えることができる「好材料」となり得るのです。

( 但し、そのような法を踏み外すような政府の行為は、現実的にあってはならないということは付け加えておきます )

以上の点をしっかり念において、憲法学者 南野森氏の解説を以下のリンクからお聞き下さい。

"「新型コロナウイルス対策めぐる特措法が成立」解説:南野森"
https://nhsw9.app.goo.gl/x6B2

この法律を運用するにあたって懸念すべきことは、国会の承認、私権制限などによる想定されるべき補償等が明確ではないことです。

そして、今政府がやるべきことは山尾しおり議員の仰る通りだと思います。
https://www.facebook.com/300749886784785/posts/1292855487574215/?d=n

政治とは、常に批判されるべきものではありますが、批判をするにあたっては、その批判の根拠となる理論の下地は最低限身につけ、思い込み等からなる主観だけで行うことは稚拙ともいえると思います。

しかし、以上申した点などをしっかりと踏まえておけば、これからの憲法改正への議論に向けた批判への良き材料ともなり得ります。

政治家の嘘や、正当性をもった理論のない根拠なき議論に振り回され、容易く騙されない為にも、私達は平素より知恵をつけておかねばなりません。

より良い社会を築き、憲法を護る不断の努力を行なっていく為にも、私達は常に勤勉でありたい、そう思う次第であります。

#インフル特措法 #緊急事態 #憲法改正

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