忍殺パラドックス編

「ドーモ。テツノカイナ=サン。イダイナキバです」
「ドーモ。テツノカイナです。俺に挑むとは愚かな者だ。貴様も幾多もの有象無象の非パラドックスのクズ共と同じくこの手のシミにするまで。ドッソイオラー!」
ナムサン!オスモウの流儀に極限まで背いた殺人技ドレインパンチだ!
「イヤーッ!」
イダイナキバはその場で回転する!ブッダ!その速度はもはや視認すら出来ない!暗黒カラテ技、高速スピンだ!
次の瞬間、テツノカイナは弾き飛ばされるも…グレーター・ウケミ!
ポケモン動体視力を持つものがいれば何が起こったのかを見ただろう。イダイナキバは迫るドレインパンチを高速スピンで弾き返したのだ!
「やるじゃねぇか、只者じゃないな?」
「非パラドックスのクズと同じと言ったな。私もパラドックスだ。相手にとって不足は無いだろう」
テツノカイナは驚く様子も見せず…ナムサン!懐からブーストエナジーを取り出し…自身に投入するというのか?
「ウオーッ!見よ!イダイナキバ=サン!」
何たる怪力!輝きを増したテツノカイナは無造作に近くの車を片手で投げ上げ、張り手の一撃で雑居ビルの屋上にまで投げ上げた!
テツノカイナを初めとする未来パラドックスはエレキフィールドの影響を受ける事により、カラテを高め攻撃や防御を底上げする。そしてブーストエナジーはそれを任意で起こすガジェットである。テツノカイナは高めたカラテをその凄まじい怪力へと変換したのだ!
「死ね!死ねイダイナキバ=サン!ドッソイドッソイドッソイ!」
ミズウサギ・クランやリククジラ・クランに伝わるジツ、ハラダイコ・ジツ!更に高まるテツノカイナのカラテ!そしてあの構えは…ナムサン!暗黒カラテ技、インファイトだ!アブナイ!
「ドッソイドッソイドッソイ!」
目にも止まらぬテツノカイナの連撃!丸くなり守りを固めたイダイナキバの巨体に何十発もの強烈な張り手が叩きつけられる!遂にイダイナキバは後退する!ミヤモト・マサシならこの光景を見て如何なるハイクを詠んだであろうか!

連撃を終えたテツノカイナは立ち尽くす。土煙の中、イダイナキバは動かない!
「これに耐えた奴は…居ねぇぜ…」
「成程その程度ということか」
否!イダイナキバは死んだはず!
「貴様…」
「私の頑丈さを見くびったな、テツノカイナ=サン」
「良い事を教えてやろう。ミズウサギ・クランの者共はアクアジェット・カラテなるカラテ技を持ってハラダイコ・ジツによる生命力の減少をカバーする。リククジラ・クランも同じく雪中において戦う事で相手より速く動き、早く倒すのだ。しかしテツノカイナ=サン、お前はそのような技を持ち合わせていないだろう」
テツノカイナの額に汗が流れる。それは畏怖からくる物では無い!
「上を見よ」
別のビルの上空。セキタンカメ・クランのグレーターが座っている。何をするでもない、彼はただ月を見ているだけだ。しかしその上には小さな太陽のような火球が現れ、2体を照らしつける!
「セキタンカメ・クランの者はその場の日照りを強める。私もパラドックスだ。貴様と特性は同じだ」
照りつける光を浴び、イダイナキバのカラテは増加する!
テツノカイナは守りの姿勢を固めるが、叶わずその場に膝を付く。
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
イダイナキバのアイススピナーが直撃し、テツノカイナは吹き飛ばされ壁に叩き付けられ、力無く地面に崩れる。
「クソッ…」
イダイナキバはテツノカイナに歩み寄り、オスモウに伝わる奥義、ブチカマシの構えを取る!
「終いだ、テツノカイナ=サン。ハイクを詠め」
「マッハパンチ/獲得し/次があったら勝つ」
「イヤーッ!」
「サヨナラ!」爆発四散!
基本、爆発四散した者は何も残さず消え去る。しかし、テツノカイナの居た場所には黒帯の切れ端が残されていた。
「…油断ならぬ相手だったぞ」
イダイナキバは夜に紛れ姿を消した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?