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【感想?レビュー?】DIGITAL DEVIL SAGA アバタールチューナー1 「完成された」RPG

こんにちは。なるぼぼです。

最近色々とゲームを買ってはじわじわとプレイしていますが、最近半月前ぐらいに買ったアバチュをクリアしました。
プレスターンバトル中心の話になると思いますが、のんびり見ていってください。

1.「プレスターンバトル」から作られたシステム① スキル習得のトライアングル

アバタールチューナーの評価される点としては、やはりプレスターンバトルにあると思います。
真3以降生まれた「女神転生の枷」を完全にはぎ取った今作は、プレスターンバトルからシステムを作り出したと言えるぐらい、余すところなくバトルを楽しめるところが魅力だと思います。
ここで「真3って何?」と思った方、念のため僕の真3HD REMASTERの記事を見ることをお勧めしておきます。
ダイマです。許して。

また、「プレスターンバトルとはなんぞや!」って方、いらっしゃると思います。
ただ、これを解説すると記事が一個分書けちゃう。
しかもとてつもなく複雑で、自分で説明できる自信はありません。
なので、一応こちら真・女神転生3のものにはなりますが、他の方のプレスターンバトルの解説を載せておきます。
わからない方は以下のサイトをご覧ください。

話を戻しましょう。
何と言っても、プレスターンバトルを楽しむ上で大事なことは「弱点となるスキルを用意すること」。
弱点を突くことこそがプレスターンバトルの醍醐味であり、そのための属性魔法の準備はほぼ必須と言えます。
つまり、従来の作品以上にプレスターンバトルを充実させるためには、スキル付け替えを柔軟にできる必要があるわけです。

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アバチュが出した答えは、スキルを自由に付け替えられるアートマシステムでした。
マッカを払い戦闘中にポイントをためることで、弱点を突くスキルを獲得できる。
しかも、戦闘中のポイント獲得の原点は弱点を突くこと。

つまり、戦闘で弱点を突くこと、スキルを覚えること、マントラと呼ばれるスキル獲得装備を付け替え新しい魔法を覚えるよう切り替えること、この三つでトライアングルができています。
戦闘を要として、プレスターンバトルを楽しむ要素がレベリングに詰まっている。これがアバタールチューナーの戦闘の面白さのキモであると思います。

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また、真3とは違い仲間や主人公におけるスキルは習得するたびに保存され、付け替えることができます。
そのため、どこかのタイミングで欲しいスキルの属性がないときなどは、魔法の付け替えだけで対策をすることができます。
戦闘中以外ならいつでも付け替えることができるので、各マップごとの対策をスキルのデッキメイクから作ることができ、戦略性を楽しむことができます。

2.「プレスターンバトル」から作られたシステム② 「付け替え」から生まれる戦略性

アバチュでは、プレスターンバトルの要となるスキル付け替えの面白さがボス戦にも活かされています。

今作のボスは、プレスターンバトルを理解したうえで彼らの行動を知らないと倒せないほどに強いです。
しかし、このボスを倒すために対策用のスキルに付け替えて戦うことで、自分たちに有利にターンを回し、プレスターンバトルを活かしてあっさりと倒すことができます。

このようにボス戦に存在するある種パズルのような戦略構築が存在することで、ボスにおける脅威に対してどうスキルを作るか検討する時間を楽しむことができます。
従来だのRPGだと「アイテム足りてるかな…」とか、真・女神転生だと「仲魔これでいいかな…」ぐらいになりますが、アバチュの場合は「この魔法撃ってくるからこのスキル付けた方がいいよな…」とより効果的な対応を考えられるわけです。

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また、ブレイクやリフレクトなど、相手の打つ属性魔法を無効化することで「相手に行動させない」戦法を作り出すことや、MINクリティカやMAXクリティカを使いクリティカルから「自分のターンを増やす」という戦法まで、あらゆる手段が使えることも強敵と戦うメリットになると思います。
戦略を考え、実践し、相手を倒す。この流れが強敵相手における本作の醍醐味です。

3.「プレスターンバトル」から作られたシステム③ 戦闘のメリットを増やすこと

先ほどスキル獲得の上でポイントを獲得するトリガーは弱点を突く、ということを話しました。もう少し掘り下げて話していこうと思います。

先ほど述べた理想のレベリングのトライアングルの中では、戦闘を繰り返すことでポイントを獲得することがスキル習得の要となっていきます。
ポイントを獲得する方法は弱点魔法を当て、怯えさせた上でポイントを獲得する所定スキルを使い相手を倒し切ること。
弱点魔法をトリガーとしてターンを駆使し、最も効率的な方法で敵を喰らう(ポイントを獲得する)ことはボス戦などとは違う戦略性が存在します。

また、腹痛(ポイント獲得スキルで撃破すると一定で起こる状態異常、ポイントがもらえなくなる)などのポイント獲得にリスクが引っ付くことで、より複雑なターンの使い方を要求されます。
これにより、プレスターンバトルのターンをどのように上手く使っていくか考えなければならず、弱点があってもターンを費やすだけではなく、回復に回さなければならないという絶妙なジレンマを味わうことができます。
一見するとストレスのようにも感じますが、このギャンブル性と失敗した際のカバーは中々にハマります。

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ただし、逆に言ってしまえば、経験値とお金の他に別で経験値がたまるのは何とも言えずお得感があります。
3つも貯まる上に上手くいけば大量ポイント獲得なんて話、美味しくないわけがありません。
贅沢はしとくが勝ちなんですよ。しかも集めればスキル習得ができる。
このポイント集めにハマる理由は、戦闘のメリットがレベルアップや金の獲得意外に存在することにもあると思います。

4.異色作から学んだ異色作

今回一番話したい「キモ」は、個人的にはここにあると思います。

というのも、この作品は一応「DIGITAL DEVIL SAGA」であり、上手く意訳すると「女神異聞録」になるんです。
一応、本作はペルソナシリーズやデビルサマナーシリーズに並ぶ女神転生の派生作品なんですね。
そんな中で、こんな奇抜な作品を一から作り出した。
まさに「新・女神転生」なわけですが、僕はプレイ中にとある作品を思い出していました。

それが「ペルソナ2」です。

ペルソナ2とアバチュはどこか似ている、というのが僕が一番意識した部分でもあります。

ペルソナ2は上記の過去記事でもお話しましたが、女神異聞録ペルソナとも3以降の作品とも違う、いわゆる異色作と分類できる作品だと思っています。

合体魔法のシステム、悪魔合体の廃止、前後編で作られた奇抜なストーリー。
ペルソナと人のレベルは別となり、合体魔法で敵を倒すとペルソナのレベルアップにブーストがかかる。
ペルソナは自由な付け替えができるし(一部相性制約アリ)、魔法も調節が効く。

僕は、過去記事でこれらの記事を「時代相応だ」と一蹴してしまいましたが、アバチュプレイ後には「合うシステムが完成していなかっただけじゃないか」と思うようになりました。

そう、前述したペルソナ2の独創的システムはアバチュにしっかりと継承されているんです。
プレスターンバトルこそ、ペルソナ2の奇抜なシステムが生きる場所だったのではないか。
僕はそう思っています。

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そして、アバチュは女神転生が持ち続ける魅力の中心でもあり枷でもある、「悪魔合体」と「悪魔交渉」を思い切って排除したことにより、プレスターンバトルをより輝かせることに成功しました。
ペルソナシリーズが起こそうとしていた「従来の女神転生とは違うものを作る」というスタンスは結果として3以降のカレンダーシステムとコミュシステムを生み出しましたが、その過程でペルソナ2が生み出した新鮮なバトルシステムはアバチュに受け継がれ、プレスターンバトルと融合しより完成されたシステムとして世に舞い戻ったのです。

アバチュはプレイしててどこか懐かしささえ覚えてしまいました。
雑魚戦が楽しいのも、レベリングにハマるのも、ペルソナ2があったからなんじゃないか。そう思ってしまいます。
あの頃もペルソナのレベリングには躍起になっていたから。
アバチュが懐かしく楽しいゲームだったのは、そんな要素が理由だったのかもしれません。

5.ぶっ飛び過ぎた世界観と落ち着くBGM

アバチュの魅力は戦闘に目が行きがちですが、実は世界観も凄い。
インド仏教を中心とした業のストーリーと世界観を持ち合わせています。

紛争地域と呼んでもいいような要塞群と中心にそびえたつ塔。
典型的なディストピアのようでありながら、お互い喰らいあい殺し合い、全ての頂点に立たなければならないという仏教観念の地獄の世界観はまさに独自すぎると言えるでしょう。
こんなストーリーのJRPG他にないと思います。
「クーロンズゲート」とかは奇抜な世界観の代表例ですが、アレに負けず劣らずの尖りっぷりじゃないんでしょうか。

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ストーリーにも仏教がしっかりと絡みついています。
輪廻転生とニルヴァーナ。
ニルヴァーナは、作中では仏教説話における蜘蛛の糸のように地獄からの抜け道のように表現されていますが、実際の仏教用語では涅槃、悟りを得ることを指します。
カルマとアートマ。
業や内在する心、無我を指す言葉であるこれらも、作中ではセーブ端末やポイントの名前に割り当てられています。

僕は大学の宗教学で、バラモン教から始まるインドの宗教の歴史を履修したことがあるので結構すんなりと語句が入ってきましたが、知らない人からするとバージがコクーン的な感じになるかもしれません。
ただ練り込まれた世界観と単語の構築は流石です。
奇抜でも作りこまれているため、世界観には引き込まれていくと思います。

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また、本作は、続編となるアバチュ2とも女神転生シリーズやペルソナシリーズとも違った独特なBGMスタイルを採用しており、一貫して落ち着いたBGMが流れています。
もちろん盛り上がるところは盛り上がるのですが、全体的には真3やペルソナ3以降のような派手な感じではなく、どこか落ち着いたムーディーな曲が流れるようになっています。

特に戦闘地域以外のフィールド入ってすぐのポイントは、基本的に泣きのギターのような演奏が流れており、世界観に哀愁を漂わせています。個人的にはかなりツボです。
主人公たちエンブリオンのアジトで流れる「ムラダーラ」や地下水道のBGMはフィールド曲でも独特でかなり好みです。

戦闘曲だとレアエンカウントが好みですね。
導入部分のギターがマジでかっこいいです。渋い。
あと、フィールドハントのBGMは別作品「魔剣XX」のアレンジでもあり、知ったときビックリしました。
あの曲めちゃくちゃ特徴的だからわかりやすいんですよね。

とにかくグッと来るBGMが多いので、試しに聴いてみることをお勧めします。

6.伏線まみれのストーリー

賛否両論ポイントとなるストーリー。
個人的には微妙だったような気がします。

序盤から中盤にかけては伏線の出し方も見事で、どんどんと話に引き込まれて行く展開が続いていきました。
正直続きを見るのが楽しみだった。
キャラの棒読みが少しずつ人間味を帯びていくところは声優さんの上手さに脱帽しましたし、中盤までの快進撃やそこに入り込むまでのキャラの関係性、平和な関係を引っぺがすバットの存在などキャラの引き立ては見事に出来上がっていたと思います。
セラを巡る攻防戦も見事ですし、ゲイルの作戦立案も面白いシーンだったと思います。
ジナーナも作中で一気に人格が変わるため、好感を持った方も多いのではないでしょうか。

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ただ、最後のダンジョンに入る前で伏線が膨大な量になっていき、徐々に不安が出始めました。
ゲイルであったり、主人公たちの存在であったり、とあるボスの発現であったり。
多くの人は、「このまま終わるのか…?」と思ったでしょう。
まぁ僕は初めから終わらないことは知っていましたが、続編が出ることを知らずにプレイした人たちはもっと不安になったと思います。

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クリアしたら、まぁ見事に伏線回収を避けた。
エンディングの上でかなりの数の伏線をほっぽいて終わっていったので、続編出なきゃ怒られるレベルでした。なんか終わった感じがしないのは凄い違和感が残りますね。
2作で完結すると言われている「ペルソナ2」でも、前編となる罪で物語は一応完結させることができます(個人的には腑に落ちない終わり方をしましたが…)。
ただこいつは終わってない。明らかに「まだ続きますよ~」という感じで作品が終わる。
ペルソナ2以上に腑に落ちないです。

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理由の根幹としては、1で登場するサブキャラを一掃してしていることにあると思います。
2とのつながりが希薄になる気がするんです。
大部分のキャラクターは殺さなきゃ頂点としてニルヴァーナにたどり着けないし、もちろん大部分のキャラクターは死んでいくんですが、そこにも伏線があるようなシーンが見受けられる。
ただ結局1の時点で揃いも揃って死んでるので、文書とかセリフとか、あるいは小規模のイベントでしか伏線が回収されないような気がしてクリアしても不安になってしまいました。
1のサブキャラが2では本当に空気になるかもしれない。
キャラの設定が作中であまり表現されないとはいえ、しっかりと作られた伏線をすべて捨ててしまう危険性があるのは正直怖いです。
多分回収されると思うけど…。

分割商法としての批判が強いですが、それ以上にストーリーも分割したことでキャラを殺すというリスクに見舞われているのではないか、と感じてしまいました
2では全部回収されていることを願うしかない…!

7.総評

ここまでなんやかんや言ってきましたが、総評としては本当に面白い。
今やっても全然色あせないし是非プレイしてほしい。
これにつきます。

特に、真3のHD REMASTERやって真・女神転生に興味を持った人。
プレスターンバトルに興味を持った人。
これは間違いなくプレスターンバトルの完成形です。マジでプレイしてほしい。絶対ハマる。
自信を持って言えます。
続きの2もマジで楽しみです。今度探してきます。
それでは、お休みの間に悪魔に「喰われない」よう、お気をつけください…。

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