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【感想】CLANNAD 渚After 生きることの意味

こんにちは、なるぼぼです。

ようやくです。お待たせいたしました。
渚Afterの感想を書いていきます。
7か月ぶりになるのでちょっと文体が変わっているかもしれませんが、気軽に読んでいってもらえればと思います。
よろしくお願いいたします。

1.人生を歩む

渚Afterは、渚ルートを起点としてその後の生活が描かれています。
そしてこの生活のボリュームが半端じゃない。
渚ルートは朋也の卒業で完結しますが、このルートでは同棲、結婚、出産など人生のライフステージに当たる部分がこれでもかと詰め込まれています。
まさにこれが「CLANNADは人生」の体現部分ですね。
僕が追い続けていた「『CLANNNADは人生』とは何か」問いの答えが、見事に反映されていました。

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さて、これだけ見ればずっと幸せな人生じゃんというぐらいにしか感じませんが、本当はそんなことは全然ありません。
苦難の連続の中で、苦悩する朋也の姿が描かれます。
仕事の決定に始まり、渚との同棲生活での苦労、渚の卒業に係る問題、親父との関係性、渚の出産での問題など、様々なライフステージを歩む上での問題がのしかかります。
これらの重みはもはや他ルートとは決定的に違い、「二人で頑張って乗り越えていこう」という重みです。
他ルートではヒロインと朋也との関係性が基本的に問題になりますが、本ルートは徹底して「二人にのしかかる災難」になっています。
まさにこれが「夫婦」になり、二人でどんな困難も分かち合っていこうとする姿勢に表れていると思います。

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そして、そんな二人が最後に行った学生時代との別れは、渚の卒業式でした。
渚は2年連続で冬に熱を出しますが、先生の計らいで卒業させてもらえることになりました。
しかし卒業式の日も熱が続き、渚は出席することができませんでした。
そこで朋也は、かつての友人と共に渚だけの卒業式を開くことを思いつきます。

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最後まで馬鹿やって出会った場所から離れていく。
そんな空間に仲間たちが集まって、渚一人の卒業を祝うということは、新たなる道が開けたとともに、渚と朋也の二人だけでこれからの生活を歩んでいくような、新たなる門出を象徴するシーンだったと思います。

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そして彼らは文字通り恋人から夫婦になっていき、大人へと成長していきます。
そしてお互いがお互いを支え合う、大事な存在になっていきます。
だからこそ、渚がいなくなった後の朋也には必要なものが欠けた、悲しい人間になっていきました。
それは後程語るとして、まずは周りの人の話をしましょう。

2.「大人」とはなんなのだろうか

さて、本ルートでは他ルートよりも「大人の存在感」が強く描かれているように感じます。
前から親としての強さを見せつけていた秋生さんはより意味のある存在になりますし、先輩となったことで背中を追うことになる芳野さんにも、先輩としてのカッコよさが見えます。
早苗さんも塾の子供たちとの交流を通じて、人としてのたくましさを垣間見ることができました。

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さて、この「大人の強さ」という点で語らなければならないのは、「親になることの強さ」であると思います。
その中核を担うのが、秋生と直幸の二人です。
順に話していきましょう。

秋生さんは個別ルートでは困った人を救うおじさんとして、大人としてのカッコよさを見せていました。
それよりも印象的なのが、親として渚とどう向き合ってきたかということに対する強い懺悔の感情と、そうならないように主人公を支援していこうとする感情です。
Afterからはある種本当の家族のように接してくれる秋生と早苗ですが、特に秋生は朋也と二人だけで接するときは本音で話してくれます。
もちろん「町の変化」という部分で共通する点があるのは確かですが、それでも家族として助け合っていこうという思い、それでいて朋也に誰よりも近い人として、彼を助け続けていました。
親父の中の親父という人物ですが、それでも過去の心残りや反省から動いているところが、完璧人間という雰囲気を感じさせず、なんとも大人らしい大人であることを示していると思います。

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そして直幸。
彼は学生ルートや同棲編ではずっと朋也から嫌われ続ける存在でした。
同棲編では犯罪をやらかして、朋也にキレられてしまいます。
しかし、それはすべてを失ってしまった悲しい人の末路でありました。
しかも、それはあまりにも朋也と似た過程をたどっていました。

彼は学生結婚をし、妻を養うために高校を中退してまで必死に働きました。
しかし、朋也を生んだ後妻が亡くなってしまいます。
それからは、彼は朋也を生きる糧にして、自分のすべてをなげうってでも朋也を男手一つで育てようとしていました。
彼は作中でそのことについて一切話しません。
朋也に対して自分の悲しみを感じてほしくない、そういった部分があったのかもしれません。
彼は守るもののために戦い続けた、親としてのすべてを全うしきった人間だったのです。

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こうした二人の言葉を通じて、朋也は汐の親であることをしっかりと認識し、守らなければならないものとして生き始めます。
次は、そんな「朋也」の話をしましょう。

3.「岡崎朋也」というルート

僕は、この渚Afterは渚のルートの延長線上ではなく、「岡崎朋也のルートである」と考えています。
だからこそ、僕はこのルートでは彼を主人公と言わず「朋也」と呼ぶようにしています。
その理由はおそらく、「人生」にあるのでしょう。

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渚と朋也が生活し始める同棲編から、朋也が少しずつ夫、親としてライフステージ上での変化する自分を認識していくようになります。
彼は高校時代は破天荒そのもののような人であり、遅刻は当たり前、面白いと思ったことには首を突っ込むような問題児でありました。
それが渚との生活の中で少しずつ変化していきます。
自分の新しい居場所として職場を見つけ、渚と結婚し、子どもを持つようになって、渚の死と向き合い、汐を守っていく…。
そうして他人と関わっていくことで、一匹狼だった岡崎朋也という人間が徐々に他人と関わりを持つようになっていって、人間として変わっていく。
人が大人になって成長していくというのは、そういったプロセスがあるのかもしれません。

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そういった中で、朋也の転機になるのは「父との離別」と「汐との旅行」であると思います。
前者は直幸が犯罪を犯したことで、朋也が自暴自棄になったときに渚が助けてくれるというシーンです。
直幸が捕まったことで朋也に舞い込んでいた昇進の話はなかったことになり、彼には曖昧だった親子の悪いつながりというのがハッキリと見えるようになってしまいました。
そしてそれは自立して渚と共に生きることを決意した朋也に、大きな一撃を与えるようなものでもありました。
そうして壊れていった朋也に渚が寄り添い、「一人で抱え込まないでください」と言います。
この一言で、「渚を支えていこう」という一方的にも見えた朋也の思いが、「互いに助け合っていこう」という夫婦の感情に近いものになっていきます。

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そしてもう一方は汐との旅行。
渚を失い、失意の中荒れまくる朋也は、ひょんなことから古河家に預けていた汐と二人で旅行に出かけることになります。
彼にとっては、開幕からやらかしまくる汐の世話をしながらも、思い出さないようにしてきた渚の記憶を振り払っていかなければならないという、前途多難な旅行でした。
汐自身は母の話を聞こうとしたり、買ってもらったおもちゃにこだわりを見せるなど、父親への愛情を必死に表現しようとしていました。
しかし彼は渚を生きる糧にしていたがゆえに、その汐の表現に気づくこともなく、旅を続けます。
そして、最後にたどり着いた花畑と崖で、彼は真実を知り、汐の思いを理解するようになります。
その後、汐と一緒にロボットのおもちゃを探した彼は、帰りの電車で渚との思い出を汐に伝え、真の意味で家族になります。

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こうした朋也に関わるイベントは、他ルートとは違い朋也自身に大きな影響を与えています。
他ルートではヒロインのために努力するような展開や、ヒロインとの関係性で悩むというのが基本になっていましたし、今のギャルゲーなどもそれが主流になっています。
しかし、これらのイベントは一貫して悩み続ける朋也と、彼の問題を解決しようとする周りの人という構図になっています。
この構図があることで、Afterの全体がまるで朋也ルートのように完成されていき、結果として主人公の人生像をプレイヤーが追えるようになっていると思います。

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また、彼の感情を地の文で知ることもできるので、彼が町や人にどのような感情を抱いているのかを、ダイレクトに知ることができるのもポイントです。
元々主人公が地の文で感情を表現するのは常識ですが、それが朋也自身の問題解決に関わっていくこと、他人とのかかわりあい方がイベントを通じて変化していくことなどは、他のゲームと違い人生を追体験するので、妙なリアリティがあるように感じます。

4.生きることの意味

さて、ここまででこのルートが朋也の人生を体現したようなルートであることを示してきました。
では、このルートのメッセージ性とは何なのでしょうか。
僕は、「生きるための意味」だと思います。

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朋也はルート中生きる意味を何度も見つけ、それを失ってはまたもがいていきます。
得たものはたくさんありました。
職場、上司、家族、妻、子ども…。
しかし、失ったものも数多くありました。
父の犯罪による昇進、渚の死、汐との別れ…。

そうした様々な過程を歩んでいく中で、朋也の中には「生きることへの意味」という大事なものが生まれるようになっていきました。
渚を守り抜くことに始まって、汐と共に生きていくことへとそれは続いていきます。
家族を守る夫、父としての思いというものが、彼の中には残るようになりました。

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ここで重要なのが、その思いが渚にもあったということです。
渚は強い母であることを懸命に訴え続けていました。
熱を出しても渚は子供を産みたいと言い続けました。
それは、自分の中で守りたいものが汐であったからです。
渚にとって母として生きる意味は汐を産むことでした。
その朋也との生きる意味のズレが、結果的に荒れた朋也を生み出してしまったのかもしれません。

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そんな生きる気持ちのズレを受け終わった後にも、朋也には受難が待ち受けていました。
しかし、それは朋也や汐、渚と町の繋がりという、新たなテーマに移っていることになります。
これについてはしっかりと話したいので、後日別記事を投稿する予定です。

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一人の人として生きていくには何が必要か。
学生時代の飄々とした朋也が、少しずつ地に足を付けて生きるようになっていく。
そうした人生の上での「安定」というものを、朋也は知らず知らずのうちに手に入れていきます。
それは、守りたいものを生み出すうえでの重要な過程であって、たとえそれが偶然であったとしても、人が生きていく上では必要なものなのだと思います。
もちろん、現実で朋也の結婚までのようにこんなうまく事が運ぶことはないでしょう。
ただし、どんな結果が待っていたとしても、何か生きるための理由付けがあることで、人生は大きく変わっていく。
渚Afterというものは、人生を体現するうえで、とても重要な答えを用意していた、そんなルートだったと思います。

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5.終わりに

いかがでしたでしょうか。

正直半分ぐらいしか書いていない気もしますし、実はクリアして記事を書き始めてから途中で結構放置してしまったので、当時言いたかったことを全部説明できていないかもしれないです。申し訳ない。
ただし、このゲームの本質は渚Afterにあったと思いますし、人生を歩んでいくことの意味や重要性は、このルートからしっかりと学んでこれたと思います。

さて、次回の記事ですが未定です。
CLANNAD書けたらいいな、とも思いますが、ここまで難産だと結構困るのでPCゲーム辺りで何か書きたいなぁ…という気持ちです。

それでは今日はこの辺で。
また次回~。



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