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【感想】CLANNAD どんな障害も埋めてしまうような智代ルート

こんにちは、なるぼぼです。

相も変わらずCLANNAD全力疾走中でございます。
この記事執筆時点で智代ルートを完走しました。
前の藤林姉妹との間に幸村先生を挟んだので、現状の進行状態としましては

渚→風子→美佐枝→藤林姉妹→幸村先生→智代

の順になります。
まぁ毎度同じ流れにはなりますが、感想書いていきますのでよろしくお願いします。

※恒例になりつつありますが、本記事ではCLANNAD智代ルートのネタバレがございます。
ご注意ください。
また全ルート周回しておらず、場合によってはこのルートの解釈にも齟齬が出る可能性があることにも留意していただいて、この記事を読んでいただけたらと思います。

それでは、よろしくお願いします。

1.似た者同士の二人

智代のキャラ的な特徴として、かなり主人公と共感性が高いことが挙げられます。

今までやってきたCLANNADのヒロインは、主人公と似たり寄ったりみたいなところがありながらも、確実な共感を覚えるような人はいませんでした。
かなり近いラインに渚はいましたが、基本的な会話はボケる渚に主人公がツッコんでいくっていうスタイルでした。

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その点から見ると智代はかなり特異的で、主人公の気持ちにかなり近いものを持っています。
例えば春原に対する態度。
付き合う前から春原を蹴りあったり、春原を罵倒したりするうえでは二人とも息ピッタリ。
そして智代には荒れた時期があったこともあって、主人公の学校に対する考え方にも理解があるように感じました。
あとは男の子っぽい雰囲気とか…。
先輩に敬語使わないあたりとか、なんとなく友達感で見てしまうような気がしていました。

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智代の特徴としてかなり友達感があるとか、男勝りっぽいところがあるだとか散々なことを言いましたが、結局はそこから出てくる女の子っぽい所こそが、智代最大の魅力だと思います。
共感性を持ちながら時々凄い女の子っぽいことをさらりと言ってのける。
あとたまに滅茶滅茶大胆になる(あの子ほどではないけど…)。
そして何より、妙に家庭的であるところ。
しっかりとした料理作ってくれる辺りは結構印象的です。
そんな絶妙なギャップが色々なところに出てくるのが、智代の魅力だなと思います。

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そんな智代のキャラ的な魅力に触れたところで、ストーリーに触れていきましょう。

2.似ているけど、違う二人

智代ルートの特徴は、「似た者同士だと思っていた二人が実は全く違う存在だった」という部分だと思います。
これは流石に今説明してもアレなので、ストーリーを追いながら見ていきましょう。

共通ルート中から生徒会長を目指そうとしていた智代。
そもそもこの時点ですでに主人公と智代の見ているものは大きく違うのですが、これが段々と浮き彫りになっていきます。
それまでは平和な日常が続いていきます。春原キックもね。

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彼らの共通点は元々素行が悪かった(片方は今も悪い状態ですが)点以外にも、家族生活に何らかの問題を抱えているという点で共通していたことが、ルート中に明らかになります。
特に主人公の家庭環境が語られるシーンは久方ぶりであり、「この子には伝えることができたのか」と思いました。
そして、それを聞いた智代の返しは素晴らしいものでした。

「お前の苦しみはお前にしかわからない、だから無理に共感はしない」

姉御…!
妙に共感せず、彼の抱える心の悩みに無理やり介入しない点では、彼女の主人公に対する理解度はかなり高かったと言えます。

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そしてそんな対応ができたことは、彼女の家庭環境にも一因があったように思います。
彼女は冷たい家庭で育ち、その中で荒れていきました。
しかし、弟が離婚直前に車に轢かれ、家族の重要性に気づかせてくれたことで家庭環境は一気によくなっていきます。
彼女は弟と一緒に見た桜の中で泣いて何も言えなかったことを後悔しており、「せめて高校の前にある桜の気だけは守らなければならない」という理由から生徒会長を目指します。
この生徒会長を目指すという理由があることで、彼女は失ったものすべてを前向きに取り戻そうとしていました。
そして、彼女のその前向きさが彼らの大きな違いとなって、浮き彫りになっていきます。

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主人公はこのようなキッカケが何も起こらなかったこと、そして何も好転した状況がなかったことから、智代との違いを少しずつ感じ始めるようになっていました。
そんな折、彼は教室で智代にゴニョゴニョをしようとしたのがバレて停学になってしまいます。
一種の恋愛行動が主人公の素行の悪さとして学校中に広まってしまったことから、彼は智代が生徒会長になれば自分との距離はどんどん広まっていくと思うようになり、智代の目標を応援するかどうかで葛藤します。

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結局主人公は最後まで智代のサポートをし続けますが、無事生徒会長になったことから「智代と自分は距離を置かなければならない」という考え方に徐々に確信を持ち始めます。
そしてその感情が、ただ純粋に主人公を好きでいた智代との軋轢を生んでいくのでした。

3.すれ違い続ける二人

このルートの辛い所は、そんなすれ違い続ける二人の最後の描写です。
彼らは互いに好きでいながらも、智代が生徒会長になったことをきっかけとして時間がとりづらくなっていきます。
そんな中でも智代は時間を無理やりにでも作っていき、主人公の存在を決して忘れないと動き続けます。

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しかし、それは周囲から見れば異様な光景であり、主人公の存在は智代に張り付く疫病神でした。
主人公本人もそのことを強く意識していたとともに周りに言われ続けたため、その感情が大半を占めるようになっていきます。
そして主人公はこの先からラスト直前まで、智代と自分の間の圧倒的な差を見せつけられ続けることになります。
そんな圧倒的な差を見せつけられ、周囲から邪魔だと言い続けられたとしたら、主人公が一線を引くのは自然なことのように思いました。
そして彼はそんな感情に押しつぶされていく中で、智代との間にあったいくつかの共通点を完全に忘れていってしまいます。
別に「忘れた」とあえて書いてあるわけではなく、プレイヤーに「主人公が忘れていっている!」と気づかせる点は、このルートの中でも驚いたポイントでした。

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彼は生徒会の一員に智代との差が大きすぎること、そしてお前は智代の夢の邪魔をしているだけじゃないかと告げられ、自分の中の気持ちを固めます。
そして彼女に別れを告げます。
彼女にとっては主人公は彼氏である、以外のことは考えていなかったために、最初はそれを本気で受け取れませんでした。
結果的に彼らは別れることになりますが、それは互いがすれ違ってしまった決定的瞬間だったと思います。

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4.もう一度会う日まで

そしてすれ違いが起きてから、時間だけが流れていきました。
ここから智代はどんどんと飛躍し続けていきます。
一方の主人公は、就活直前まで春原とバカをやり続けます。
そうやって時間が流れていく中で、智代の存在は徐々に遠くなっていき、秋には手の届かないところにまで行ってしまいました。

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冬になって彼は就活に直面し、自分の住む町の小さな職場に就職をします。
内定を就職支援の教師に伝えたのち、学校を去ろうとする中で彼は智代と会うことになります。
少しの会話で彼女との距離を改めて再確認する主人公。
そして、彼女は桜を守ることに成功したこと、ただその守った時間の中で主人公と二人で過ごす時間を失ってしまったことを告げ、もう一度やり直すことを提案します。

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そうして、二人はまた結ばれるのでした。

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最後には、彼女の願いであった「弟に桜の下で伝えられなかったことを伝える」ことが達成されたことを告げて、智代ルートは静かに幕を下ろします。

5.僕にこのルートが響かなかった理由

察しのいい方は文章の書き方でなんとなくお気づきになったかもしれませんが、僕はあんまりこのルートで感動しませんでした。
智代好きな人には本当に申し訳ないんですけど。
ここで個人的にそう思った理由をお話します。

まず、この一個前にやったルートがインパクト強すぎた点。
藤林姉妹が強烈すぎて、智代ルートがスルリと通り抜けていってしまいました。
それは智代ルートの方が「現実でも起こりうる可能性が高かったこと」にあると思います。
藤林姉妹ルートの三角関係って女性関係が爛れてなければまず怒らないことなので、そういう理由から主人公に共感しやすかったのかなと思います。
逆に智代ルートは、渚や風子と違ったベクトルで「ありえない」ルートでした。
ファンタジーな雰囲気とかそういう話ではなく、純粋に「一年経ってまだ思ってるからって元カレの前に出てくるのか?」と思ってしまいました。
そういう意味合いでは、完全に僕がひねくれてたのが悪いと思います。
でもそんなひねくれた目で見てしまったからこそ、僕は藤林姉妹の方が印象に残ってしまったのかもしれません。

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もう一つがかなり個人的で、僕の過去のトラウマです。
主人公みたいに目的も持たずフラフラしていたのは僕も似ていたので、自分の現実を無理やりゲームが伝えてきた、みたいな気持ちになってしまったのは大きいと思います。
正直主人公に共感しすぎて現実を思い出してしまい、そこが尾を引っ張り続けていました。
目的もなくフラフラし、様々な偶然と自分の欲望に身を任せた結果、身を滅ぼしかねない状況にまで落ちかけた人からすると、こういう描写はシンプルに自分の過去に直結し苦しい気持ちになってしまいました。
智代みたいな完璧な彼女、みたいな人に出会って親密になったことは流石にないのでアレですが、流石にリアルすぎても良くないなぁと感じました。

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智代ルートは凄くありえそうな題材で人によっては感動できるとは思いますが、僕は感情移入しやすい性格が災いしてあんまり楽しめずに終わってしまいました。
そこは無念、と思うところです。

6.考察:このルートは渚ifだったんじゃないか?

最後に考察。

智代ルート攻略の最中に、僕は「このルートは渚ルートのもう一つの可能性だったんじゃないか?」ということを思っていました。
そう思った点をお話していきます。

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まず、渚と智代に明確な共通点があること。
そしてそれが渚ルートの時点で明らかになっていること。
渚と智代にはともに遂げるべき目標があり、それに向かって邁進している点は全く同じです。
かつ、渚も智代もはみ出し者であった時期(渚は今もですが)があり、主人公に共感できる部分を持っています。
そういった点は智代と渚の共通点として捉えられるのではないでしょうか。
渚ルートの中でも智代とは意気投合しているシーンがいくつか見られるので、実際の描写の中でも共通点の多い二人であることが伺えます(別の解釈として、渚の人付き合いの良さが影響したという点も考えられますが)。

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じゃあ何がここまで渚ルートと智代ルートの展開を分けたのか。
それは、「目指している目標のベクトル」です。
渚は「みんなと一緒に目標を持ち、それを達成する」。
智代は「生徒会長になって、桜の木を守る」。
目指しているものがあっても、そのベクトルは大きく違います。
その周囲に対する影響度の大きさが露骨に主人公たちにダメージを与えていったのが智代ルートでした。
一方の渚ルートは目標の成功後に起きた外的アクシデントが要因で展開が変化していったので、渚と主人公の関係性が悪化することはなかったように思います。
この目標のベクトルという違いが、主人公のヒロインに対する積極性にも響いていき、渚ルートと智代ルートは別れていったように感じます。

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正直「こじつけじゃん!」と言われたらそうかもしれんとか思っちゃうぐらいの暴論ですが、思ったことは口に出しておいた方がいいのでまとめました。
似た者同士だった二人でも主人公にとっては明確に違う存在だった。
それは各ルートが示している通りです。

7.終わりに

いかがでしたでしょうか。

なんとなくしっくりこなかった智代ルートですが、最近になって智代アフターとかいうゲームがあることを発見し購入したので、それやったらイメージ大きく変わるかもしれません。
どうなんだろ。パッケージ知らん人ばっか映ってたけど。

一応次のルートはことみルートで確定しています。
何なら今現在バリバリ進めてます。
終わったらことみルートも書く予定です。おそらく。

それではまた次回。さいなら~。

—他ルートの感想は以下のリンクからどうぞ―

・渚ルート

・風子ルート

・藤林姉妹ルート

・ことみルート


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