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【感想?レビュー?】レーシングラグーン 俺たちは今日もYOKOHAMAを走る

こんにちは、なるぼぼです。

大変お久しぶりでございます。
完全に忙殺されていました。
あとクリアするゲームを決めるのに色々と考え込んでいました。
一応FF7をクリアしたりAIRやライドウを触ったり、リトバスを買ったりしましたが、そんな中でドはまりしたのが「レーシングラグーン」
前から気になってはいたのですが、偶然2000円程度で並んでいたので即決で購入。
今回は、そんな「レーシングラグーン」のお話です。
よろしくお願いします。

なお、本記事には若干のネタバレが含まれます。
できる限り核心となるようなネタバレは避けますが、ストーリー中盤の部分でネタバレするかもしれません。
気にする方はお気をつけて。

1.レーシング×RPG

このゲームは、レーシングゲーム×RPGというかなり異色なゲームです。
そうした挑戦的なシステムもさることながら、それが見事なまでにマッチしている。
そしてその中に、色あせない独自の価値が眠っている。
これが本作の魅力でしょう。

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とはいえ、昔からRPG×他ジャンルというのは至極当たり前のように作られてきていました。
例えばアクションとの兼ね合わせ。
もっともわかりやすいものだと、「レッドアリーマー 魔界村外伝」はエンカウントシステムを入れながら、バトルはアクションにするという制度を採用しています。
こうしたように、従来のRPGらしい部分を切り取って、他ジャンルと張り付けるような作品は多々ありました。
開発会社のスクウェアも、「聖剣伝説」などのARPGを作っていますし、PSでも「パラサイトイヴ」といったような異色なRPGを作っていました。

エミュまとめ Screenshot 2022.06.10 - 21.00.18.49

しかし、本作はRPGとレーシングゲームが組み合わせられています。
元々、かけ合わせられた方のレーシングゲームは、「F-ZERO」「リッジレーサー」「グランツーリスモ」など、アーケードのようなやり込み式のゲームやグランプリ攻略をメインとしたゲームが基本でした。
本作はそんなレーシングゲームを戦闘の基盤としながら、経験値や重厚なストーリーが加えられました。
本作ではエンジンやボディーがレベルアップするんです。
正直度肝を抜かれました。
普通じゃ絶対に思いつかない。
そうした部分に、従来のレーシングゲームでもない、従来のRPGでもない、唯一無二のゲーム性が組み込まれていると思います。

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2.無限のカスタマイズ性

本作の一番気に入っている部分は、相当数のカスタマイズを自分で組み立てられることです。

RPGといえば装備品。
本作では装備品として、エンジンやシャシー、ターボやボディ、さらにはペイントまで、相手から獲得して自分でカスタマイズすることができます。
レーシングゲームは、最近のものでもパーツまで弄れるものは少なく、基本的に車種を選択するようなものばかりなので、ここまで細部をいじくりまわせるのは楽しかったです。

エミュまとめ Screenshot 2022.06.04 - 12.27.46.30

そして装備できるパーツがめちゃくちゃに多い。
エンジンだけでも、ターボ、ECU、マフラー、潤油剤やハイカムなどの装備品があります。
さらにはREエンジン専用のローターやポートなど、エンジンごとにパーツを組み替えることで、性能に大きな差が出てきます。
一個一個の性能が曖昧な表記なのでどのパーツが車のどの部分に関わってくるかわかりづらいところはありますが、これほど多くのカスタマイズを自分で楽しめるのは自分らしいマシンの構築に繋がり、とても楽しいです。
攻略サイトが非常に少なく、現状の理想的カスタマイズに結構迷うところはありましたが、それも手探り感があって良かったです。
パーツしかりアイテムしかり、僕はコレクションできるゲームが好きなのかもしれません。

エミュまとめ Screenshot 2022.06.06 - 16.40.34.50

そしてサラッと流してしまいましたが、これらのパーツはShopで買うだけではなく、エンカウントした相手からGet Rewards(獲得)することができます。
相手が何のパーツを持っているのかある程度理解していれば、車狩りをして適切なパーツを回収することができます。
そして、相手の車のパーツは上手く活かされていないことが多いです。
そんな相手の付けている最高のアイテムたちを、最適な環境下で運用する。
相手のパーツを利用して、自分のマシンがどんどん早く、どんどん完璧に仕上がっていくのは最高です。

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車の知識がないとわからない部分があったり、パーツの知識を手に入れても最高速に微妙な制限があったり、色々と難しい点はあるのですが、自分の車をオリジナルに、細部まで改造できる楽しさは本作最大の魅力と言えると思います。
PS1タイトルとは思えないほどにパーツが充実しているので、自分の理想の一台を作ってみましょう。

エミュまとめ Screenshot 2022.06.09 - 20.06.47.57

あとこれは余談なのですが、本作はありえないパーツ構成の車を走らせることもできます。
Get Rewardsできるパーツの中にはトラックやバスのボディやシャシーなどもあり、お金を払って改造してしまえば爆速ターボを取り付けることもできます。
300㎞/hを超える速度で峠を下るバス…。
いささかシュールではありますが、自分だけのロマンが詰まったマシンを組み立てたり、あえてターボを付けない縛りを入れたり、自分なりのプレイができる点も、パーツ設定ができる本作の魅力でしょう。

3.大味ながら魅力の詰まったレーシング

さて、本作の戦闘面のお話に移りましょう。

本作はシンボルエンカウント式のRPG仕様で、戦闘自体がレースゲームになっています。
基本的に公道を走るため、90度カーブや180度カーブが多く、ドリフトを基軸とした運転が要求されます。
あと箱根の峠を攻める機会が結構あるので、連続ドリフトをする機会も結構あります。

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さて、本作のレーシング部分ですが、個人的には大味だと感じました。
あんまり本格的なレースゲームをやったことがないのでわかりませんが、サイドブレーキでドリフトするのが本作のドラテクの基本になっています。
なんかこれ普通のレースゲームだとあり得ないらしいです。それでいいのか…。

それはともかくとして、本作はサイドブレーキを入れてドリフトするまでに若干のラグがあります。
ちょっと早いうちにブレーキを入れないと、上手いこと曲がれなくなっているわけです。
これがまぁまぁ難しい。
一応、本作はRPGの性質上レベル上げでステージを練習する機会があるので、遊んでいれば自然と曲がれるようにはなってきます。
ところが、ボス戦などで急に出てきたステージには即座に対応ができません。
ガードレールとおともだちになってしまいます。
あんまりレースゲームをやっていなかった僕は慣れてしまえばどうとでもなりましたが、普段からレースゲームをやる人には最初は若干きついかもしれないです。

エミュまとめ Screenshot 2022.06.04 - 12.27.31.31

ただし、こうしたレーシングゲーム上の不備はあるものの、ゲームとしてはしっかり楽しめる水準に仕上がっているのは事実です。
特にステージの豊富さがいいですね。
終盤では高速を走れるようになるのですが、高速は直線仕様のステージになっているので、自分マシンの最高速を極めるのに非常に向いています。
一方、箱根や本牧などはカーブが頻発しているので、自分のドラテクを鍛えるにはぴったりです。
そして、特殊レースなどでエンカウントバトルの練習を活かし、難敵からもGet Rewardsできるようになる…。
こうしたRPGの適切なコマンド選択のようなプレイヤースキルの獲得が、レーシングゲームでのドラテクとして導入されているのは新鮮でよかったです。
だからこそ、ステージの豊富さがいい味付けになっています。

エミュまとめ Screenshot 2022.06.03 - 18.52.12.84

戦闘面は大味な部分もありながら、それを練習でカバーしていくような、妙にストイックな部分を感じてしまうような出来だったと思います。
でもそれがいい。

4.Warriorsたちのアツい言葉

さて、続いてはキャラクターのお話。

本作の特徴として、「ラグーン語」が挙げられるのは間違いないでしょう。
ラグーン語とは、本作特有のポエムめいた発言を切り取って使われる言葉です。
三点リーダーと英単語の多様、特定キャラの口癖など、結構癖の強いセリフが多々あります。
特に主人公赤崎の独白はポエム集が酷く、かなり抽象的な言葉を使うだけでなく、三点リーダーの多用と口癖「……冗談じゃねぇ……」など、独特過ぎて最初はプレイヤーを置き去りにするほどのポエマーっぷりを見せつけてきます。
これはたびたびネタにされており、「レーシングラグーンのRPGはRacingPoemGameだ」と言われるほどです。

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しかし、本作はポエムの中に眠る、キャラクターたちのアツすぎる感情こそ魅力なのではないかと思います。
特に、サブキャラの箱根のTuneShopの店主、高橋さんのセリフにはグッとくるものがあります。
長きにわたる箱根での生活、箱根の走り屋である織田や虎口との関係性、10年前のDiabloでの悲しみと戦い、こうした様々な経験を経た彼の言葉は、重みがありながらもアツい言葉になっています。
主人公である赤崎への激励はもちろんのこと、藤沢先輩を気に掛ける姿や、織田との思いなどを語ってくれる高橋さんの背中は、頼もしいものです。
そして彼の格言のような言葉の数々は、未来の若者に向けた教訓のようなものであり、今の僕らにもしっかりと響いてきます。
超アツい。

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そして、ポエマーとしてネタにされる赤崎ですが、そのポエムの一つ一つに、彼の心情や決意が見られます。
最初の方は「なんだこいつの話し方?」とはなるのですが、彼のおかれている境遇や起こってしまった数々の事件、彼自身の問題などに触れていく中で、彼が悩み戦っているさまをポエム越しに読み取ることができ、プレイヤーは次第に感情移入していきます。
特に序盤の知人の死から始まる自分の走りに対する葛藤は、走り屋赤崎翔としての永遠の課題としてプレイヤーも共感できるようになっていきます。

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作中では彼の中に「もう一人の自分」が生み出されてしまうのですが、そうした中で彼の心が揺れ動いていく様、そして明確な彼自身の感情が赤裸々に語られており、最初は笑っていたポエムにも、「……冗談じゃねぇ……」の口癖にも、次第に惹かれていくようになりました。
彼は主人公の癖にネタキャラにされがちですが、そんな中でもしっかりと自分の芯を持っている、ある種FF7のクラウドのような印象を受けました。
主人公らしいけど、どこかに違った部分があるような…。
とにかく、赤崎の魅力は自分の言葉では表現しきれません。
最高の主人公です。

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ポエムゲームでも、アツい感情がプレイヤーに徐々に突き刺さっていく。
バカゲーと言われる本作ですが、決してそうとも言い切れない、カッコいいゲームだと僕は思います。

5.レースゲームらしい、スクウェアらしくないBGM

さて、ここでBGMの話を少ししましょう。

本作は製作元はスクウェアです。
「バハムートラグーン」のスタッフが多く所属していました。
当然ながらスクウェアと言えばクラシック。
もちろんロックらしいロックも作ることはありますが、そもそも現代を主流とするゲームが少なかったこともあって、スクウェアのテクノっぽい曲はそれほど印象付けられていませんでした。

一方で、レーシングゲームといえばテクノでオシャレな音楽。
「Ridge Racer Type 4」なんかはまさにそうで、「レースゲームのオシャレさ」を前面にたたき出し、現代のシステマチックな雰囲気と、車を走らせる疾走感にマッチしたような音楽を作り出しています。
OPもそうですが、「Naked Glow」などのステージBGM、そしてレース以外のシーンでも「On Your Way」などのオシャレすぎるぐらいのBGMが流れ、プレイヤーに疾走感を常に与えてくれます。
R4と言えばBGM、と言われるぐらいですから、当時のレーシングゲームには、ある程度BGMに対する期待もあったと考えられます。

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スクウェアのクラシックと、レーシングゲームのテクノ。
さて、この相反する二つの特性を持った状況下でレーシングラグーンはどのようなBGMのスタイルをとったのでしょうか。

答えは、「テクノで勝負する」でした。
そしてこのBGMが超カッコいい。
最初に流れるフィールドBGMの「South YOKOHAMA」から、しっとりとしたテクノでプレイヤーを魅了してきます。
そして戦闘面はアツいBGMが多め。
雑魚戦も4種類のBGMがかわるがわる流れるうえ、どれもアツいギターが流れているので疾走感を感じながら走ることができます。

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そして意外だったのが重要な戦闘で流れる「TAIMAN Battle」
明るいイントロから始まり、終始明るい雰囲気で進行していくBGMですが、基本的に超大事かつ結構シリアスな場面で流れていたので、最初は「場違いだなぁ」と思っていました。
ところが、藤沢先輩とのTAIMAN Battleで流れた際のこのBGMで、印象が激変します。
「もしかしてこれは、赤崎がTAIMAN Battleを楽しんでいるという表現なのではないか」と思うようになったのです。
そう思うとこのBGMが一気に好きになりました。
今は箱根でこのBGMで峠を下るのが最高に好きです。

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こうした、スクウェアとしては挑戦的ながらも、レーシングゲームらしいBGMの採用で、本作は魅力を高めています。
サントラが高値取引されるのも納得のクオリティです。
再販してくれ…!

6.レーシングゲームとは思えないストーリー

さて、長々とやってきましたがこれで最後。
最後はストーリーのお話です。

さて、本作はレーシングゲームとは到底思えないような、重厚なストーリーが練られています。
具体的には、死人が出たり事故が起こったり、事故の損害や走ることへのリスクがクローズアップされています。
あと悪役が普通にえげつないことをやってたりします。
RPGらしいといえばRPGらしいストーリーの組み立て方です。
スクウェアの十八番とも言えるような技ですね。

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今までのレーシングゲームなんて、グランプリを勝ち上がる王道サクセスストーリーが関の山だったのに、本作はより踏み込んでとんでもないレベルにまで話が拡大していきます。
普通に人が死ぬのも意味わかんないです。
走り屋の物語だからわからなくもないのですが、死人が出るという発想は従来のレーシングゲームなら到底思いつかないと思います。

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本作のRPGの部分はシステム面でもキャラ面でも、そしてそれらが土台となったストーリー面でも完成されています。
特にキャラが一人一人しっかりと魅力的に作られているので、物語に没入しやすいです。
最初に出てきた沢木や石川兄弟は「なんだこいつ」感がありますが、箱根の面々や藤沢先輩、相棒的存在の山田や超個性的なフレディなど、なんだかんだ印象に残るキャラは多いんですよね。
ヒロインが空気という問題点はあるものの、スクウェアならではのキャラ付けが作品のストーリーをより深く引き立てています。

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そして本作は、徹底的に「人に焦点が当たっている」という点が重要です。
RPGのストーリーとしては宿命ではあるものの、レース部分に全力を注ぎストーリーを添え物にしてきた従来のレーシングゲームとは、決定的に違う点だと思います。
赤崎の過去や様々な伏線、それらの回収が行われるという点では、レーシングゲームの常識を打ち破ったかのような、新鮮さを味わうことができます。
そしてそれらが「Diablo-Tune」や「横浜最速伝説」と言ったようなレーシングゲームらしいキーワードや、「不審な事故死」や「声」と言ったようなレーシングゲームからちょっと離れたようなキーワードと結びつくことで、RPGらしさをより強めています。

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もっとも、ストーリーだけを見ると若干雑な部分があります。
風呂敷を広げるだけ広げて無理やり回収している感は否めないです。
一応かなりの数の伏線が張られるのですが、回収を終盤の1時間ほどで一気にやってしまうことや、ラスボスも結構突拍子もないという点が個人的にはしっくりきませんでした。
ラスボスのやっていたことへの動機とかはわかるんですけど、取って付けた感が凄いのと、プレイ中ほとんど姿を見せないような人物だっただけあって、なんだかなぁというのが僕個人の感想です。

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とはいえ、レーシングゲームのストーリーとしては十分なぐらいですし、特定のキャラに関してはこれ以上ないほどのアツいシーンが詰まっているので、キャラゲーとしては十分名作だと思います。
ストーリーも重みがあり、適当な感じではないので、道中はしっかりと楽しむことができたのは事実です。
HIGH SPEED Driving RPGとしては、満点と言っていいほどの出来栄えでしょう。

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7.終わりに

いかがでしたでしょうか。

レーシング×RPGの独特さに、しっかりとハマり込めた作品でした。
ノリで買って一気にのめり込んだゲームなので、いいゲームだったという気持ちが結構強いです。
かなりの掘り出し物を当てたと思います。
今でも色あせない名作だと思うので、手に取れる機会があればぜひ遊んでみてください。
他のレースゲームとは一線を画すような独特な雰囲気に、のめり込んでいくことでしょう。

さて、次回は検討中です。
PS1ゲームをいくつか買ったり、AIRに手を付けたりしているので、そうした話をするかもしれません。
一応プレイ予定としては「ムーンライトシンドローム」「デビルサマナー ソウルハッカーズ」辺りを検討しています。
まぁ何かクリアしたらまた書きます。よろしゅう。
FF7は大体前の記事で話したからもういいかな…、という気持ちです。許して。

それでは今回はこの辺で。

Midnight City……。
そうさ……。
今夜もまた、YOKOHAMAの街が俺を呼んでいるのさ………。

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HIGH SPEED DrivingRPG
Racing Lagoon


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