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タイムトラベルができる!札幌国際芸術祭に行ってみた感想

はじめに


11月1日、私は様々な国や地域の生徒が集まるデジタルハリウッド大学への入学が決まった。
期待と不安が入り混じる中、一つの疑問が頭をよぎった。『私は大学でできた友人に、生まれ育った札幌という土地をどう説明するのだろうか』。そんな時体育館前にある札幌国際芸術祭のポスターに目が止まった。

調べてみると、2014年に第一回が開催され、2020年の中止を経て6年ぶり、第四回目の開催となった※トリエンナーレ形式の芸術祭らしい。
この記事ではそんな札幌国際芸術祭に行ってみた感想を書いていこうと思う。
なお冗長な文章になることを避けるため、各会場の個人的に気に入った展示だけをピックアップしていく。

※トリエンナーレ形式: 3年に一度開かれる国際美術展覧会のこと。

札幌文化交流センターSCARTS
【SIAF2024 ビジターセンター】


まず最初に「都市と自然が共存する“札幌の今”」をテーマにしている札幌文化交流センターに行った。ここで1番心に残った大迫力の展示はこちら。

スタッフの方曰く、カメラで鑑賞者の動きを読み取り映像が変化するのだそうだ。まるで万華鏡の中に入ったようである。
床がガラス張りになっている。これで映像を反射しているのだろう。

また、札幌を除雪してくれている除雪車の動きを表すこのマップも興味深かった。

まだ除雪入らないのかよ、と怒る気持ちもこのマップを見れば少し落ち着く気がする。

未来劇場
【2124 –はじまりの雪–】


この会場では100年後の未来がテーマに6つの章を追ってストーリーが展開されていた。ここでは2章だけ紹介する。

第2章「未来の風景」に向かう道のなかはアイヌの楽器であるムックリの「びよーん」という独特な音が鳴っていて、アイヌの人達が私を歓迎してくれているように感じられた。
そこを抜けた先にあったのはチェ・ウラム作『素敵に枯れていきたい、君と。』

下から上へゆっくりと登っていく様は、風で花弁が舞う花のよう。
機械仕掛けの『穴の守護者』。動く姿は生き物のようだ。

さらにそこを抜けた先にあったのは第3章「時空の錬金術」だ。ここでは昔錬金術師たちが金以外のものから金を生み出そうと模索してきたように、身近なものから見たことのない作品を作り出すアーティストが紹介されている。
まずは後藤映則作『In motion』。

左右から人が一歩を踏み出しているように見える。様々な人が一歩を踏み出し、歴史を創っていくことを表しているのだろうか。
回転するメッシュ状の立体物に光が当たることで左右から人が歩いて来ているように見える仕組みだ。

次に青木美歌作『starting from light coming back to light』この作品たちは私にとってコロナウイルスや細菌など目には見えないものの具現化のように思えた。

ビーカーから菌が生えて来ている。武漢の研究所から漏洩したのがコロナウイルスの始まりという説があることを思い出した。


注射器からウイルスのようなものが生えている。コロナウイルスの予防接種を示唆しているのだろうか。私が初めてファイザーのワクチンを打つと決めた時の期待と不安が蘇ってくる。
雪かと思ったが、よく見るとウイルスのようなスパイクを持った形をしている。小さい頃雪を食べようとして※「汚いから食べちゃダメ」と叱られたことを思い出した。
※ 雪には空気中に漂うさまざまな不純物が含まれており、塵やホコリ、花粉などの小さな粒子が付着しているため食べるのは好ましくない


札幌芸術の森美術館
【メディアアーツの森】


しんしんと雪が降り積もる中訪れたのは、芸術の森美術館。

朝降ったばかりの雪が積み上げられている。

ここではーーー
まず私たちをお出迎えしてくれたのはこちら。

明和電機の社長、土佐信道が学生時代に作った魚器(なき)のひとつである『魚立琴』(なたてごと)。頭部が回転しヒレが閉じると胴体部分の弦を弾く仕組みだ。

数ある中でもお気に入りだったのはこちらの『サバオ』

「イエーイ、サバオでーす!子宮から来ましたー!」と喋る、13週目の胎児の顔をしたピストル型腹話術人形。子宮から来たのは大体みんなそうである。当たり前だからこそ面白い。

北海道立近代美術館
【1924-2024 FRAGIE[こわれもの注意]】


この会場では100年前から今に至るまでの歴史が展示されていた。タイトルのFRAGILE(フラジャイル)にもあるように大切にしていかなければ直ぐにこわれてしまう歴史や文化、価値観などが表現されている作品達であった。

この会場で特に注目したのは家庭用ミシンに意図的にバグを生じさせて作ったこの作品である。

途中でバグが生じているのがわかる。普通の刺繍作品と違い躍動感を強く感じさせる。
脳みそのCT画像を撮ったような形をしている。連作になっているからか作品の意図を読み取ろうと活発に動く私の脳内のようにも見えた。

また、細かいガラスが天井から床まで垂らされたこの展示も興味深かった。

この通路を通ると風でガラス同士がぶつかり、柔らかい音色を奏でていて心地よかった。

おわりに


各会場を巡ってみて、前後100年の過去から未来をタイムトラベルしたような気分になった。雪の降る都市として有名な札幌。近すぎて鬱陶しさしか感じなくなっていた雪への想いが変わり札幌の魅力を再発見できたように思う。
雪のようにひとつも同じものがない札幌国際芸術祭の展示。一度行ってみてはいかがだろうか。

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