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TSHA-120(Taysha Gene Therapies)

メンバーシップ会員の方からの依頼記事No.2です!
No.1に引き続きTaysha Gene TherapiesのTSHA-120を掘っていきます!


作用機序

まずTSHA-120の作用機序を詳しく説明します。

TSHA-120は、GAN(巨大軸索性ニューロパチー)という神経変性疾患の治療用に開発された遺伝子治療薬です。

この治療は、AAV9(アデノ随伴ウイルス9型)というウイルスベクターを用いて、gigaxoninタンパク質をコードする遺伝情報を体内に送り込むことで行われます。

gigaxoninはGAN遺伝子にコードされるタンパク質で、ユビキチン-プロテアソームシステムの一部を形成します。このシステムは、細胞内で不要または損傷したタンパク質や構造を識別し、除去するシステムです。

ユビキチン-プロテアソームシステムは不要なタンパク質に小さなタンパク質であるユビキチンを付加し、プロテアソームと呼ばれる酵素複合体による分解のための指標をつける仕事をしています。

gigaxoninは、このシステムの一部であり、特定のタンパク質を分解し、ユビキチンを付加する酵素であるE3ユビキチンリガーゼの一種です。

具体的には不要になったニューロフィラメントを取り除くため存在します。

ユビキチン-プロテアソームに関して詳しくはコチラをご覧ください。


GAN遺伝子の変異は、不安定なgigaxoninタンパク質を引き起こし、通常よりも細胞内でのgigaxonin量が少なくなります。

ニューロン内でのgigaxoninの減少は、ユビキチン-プロテアソームシステムによって破壊されるべきであったニューロフィラメントの蓄積につながります。ニューロフィラメントの蓄積により、GAN患者は巨大軸索を生じます。

ニューロフィラメントが蓄積した異常な軸索は、信号を適切に伝達せず、最終的に劣化し、末梢神経系および中枢神経系で重篤な問題を引き起こし疾患を引き起こします。

TSHA-120の目的は、損傷を受けたgigaxoninの機能を回復し、ニューロフィラメントの蓄積を防ぎ、神経細胞の正常な機能を回復することです。これにより、GANに伴う神経変性の進行を遅らせる、あるいは防止することを狙っています。

開発状況

TSHA-120の開発は、FDAからのフィードバックを受けて、一時的に中止されています。

GAN治療のための生物製剤ライセンス申請(Biologics License Application, BLA)の提出に向けた研究設計の実行可能性に関する課題が原因です。
(ランダム化二重盲検プラセボ対照試験とか求められたみたい)

ただし、Taysha Gene Therapiesは、TSHA-120プログラムのさらなる開発を可能にするための外部戦略的オプションを追求するとコメントしていますので、TSHA-120の開発は完全に終了したわけではなく、将来的な再開の可能性があることが示唆されています。

アステラス製薬との連携状況

アステラス製薬によるTSHA-120の開発に関する対応も合わせて調べました!

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