TSHA-102とmiRARE(Taysha Gene Therapies&アステラス製薬)
メンバーシップ会員の方からご依頼いただきましたTSHA-102を掘っていきます。
概要
TSHA-102は、アステラス製薬とTaysha Gene Therapiesによって共同で開発されているレット症候群治療のための遺伝子治療薬です。この治療法は、自己相補型の脊髄内投与AAV9(アデノ随伴ウイルス9型)を用いています。
TSHA-102は、miRNA-Responsive Auto-Regulatory Element(miRARE)プラットフォームを利用し、細胞ごとのMECP2遺伝子の発現を制御します。
これにより、レット症候群に関連する遺伝子変異に対処し、治療効果を発揮することが期待されています。
レット症候群は、主に女児に発症し、運動障害、言語障害、および自閉症様の行動が特徴です。この症状は、MECP2遺伝子の変異によって引き起こされるとされています。
TSHA-102は、この遺伝子の変異を補完することを目指しており、前臨床試験では、無治療のミニMECP2遺伝子導入に比べて生存期間を56%延長する効果が確認されています。
アステラス製薬は、2022年10月にTaysha Gene Therapiesとの間で戦略的提携を発表し、TSHA-102およびTSHA-120の開発プログラムに関する独占的なライセンスオプション権を獲得しました。
miRAREプラットフォーム
miRNA-Responsive Auto-Regulatory Element(miRARE)プラットフォームはレット症候群治療薬TSHA-102の開発において重要な働きを持っています。
miRAREプラットフォームは、細胞ごとの遺伝子発現を調節するために利用されています。この技術は、導入した遺伝子の過剰発現に関連する毒性を防ぐことを目的として設計されており、将来的には他の適応症にも使用される可能性があります。
miRAREの主な目的は、MECP2遺伝子の過剰発現に対する内蔵型の阻害要素を持つことです。ちょっと意味わかりませんよね。詳しく見ていきます。
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