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Latozinemab(Alector)

今回はブレイクスルーセラピー指定を受領したAlectorのLatozinemabを掘っていきます!

Alectorとアッビィの共同創薬でGSKと共同開発という変わった出自の薬ですね🤔


Latozinemabは、特定の神経変性疾患に関連する新しい治療法です。この薬はヒトのモノクローナル抗体で、プログラニュリン(PGRN)のレベルを上昇させることを目的としています。PGRNは、脳内の免疫活動の重要な調節因子であり、多くの神経変性疾患と遺伝的に関連しています。

作用機序

作用機序の理解を深めるために、まずは、プログラニュリンとソルチリンをみていきます!

プログラニュリン

プログラニュリン(PRGN)は、前頭側頭型認知症(FTD)と関連があります。PRGNは、細胞の増殖や神経変性の抑制に関与するタンパク質で、特に神経系において重要な役割を果たしています。

2006年の研究では、家族性FTD患者においてPRGN遺伝子の変異が同定され、この変異がFTDの発症に関わることが示唆されています。

PRGNの減少は、TDP-43プロテイノパチー、タウオパチー、α-シヌクレイノパチーなど、複数のタンパク質病変の原因となっています。

ソルチリン

前述の通り、PGRNは、脳内での免疫応答、リソソーム機能、および神経細胞の生存に重要な役割を果たすタンパク質です。特定の神経変性疾患、特に前頭側頭認知症(FTD)では、PGRNのレベルが異常に低いことが知られています。

ただ、Latozinemabが直接ターゲットにする物質はPGRNではなくソルチリンです。

ソルチリンは、細胞表面に存在する受容体タンパク質で、PGRNの取り込みとリソソームへの輸送を媒介します。リソソームは細胞内でタンパク質を分解する役割を持ちます。

要はソルチリンがPGRNと結合し、細胞内に取り込むことで、最終的にPGRNがリソソームで分解されることになります。

Latozinemabの作用

そしてLatozinemabはソルチリンの機能を阻害するモノクローナル抗体です。

この抗体がソルチリンに結合することにより、PGRNのソルチリンへの結合が阻害されます。その結果、PGRNのリソソームへの取り込みと分解が減少し、血液中および脳脊髄液中のPGRNレベルが上昇します。

PGRNレベルの上昇は、神経細胞の保護や機能改善に寄与すると考えられており、これにより神経変性疾患の進行を遅らせる可能性があります。

臨床試験

試験結果はかなり面白い…ギャンブラーが好きそうな結果になってます…

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