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DS-6000(第一三共)

DSDS-6000はCDH6をターゲットとするADCです。
まずはターゲットタンパクのCDH6から掘っていきます!


CDH6とは

CDH6は、腫瘍進行や予後不良と関連するいくつかのがんで異常に過剰発現する可能性が示唆されています。CDH6の特定の側面とがんとの関連について以下の点が明らかになっています。

  1. CDH6の構造と機能: CDH6は、中枢神経系と腎臓の形成に主に関与するクラスIIのCDH(カドヘリン)です。5つの細胞外ドメインと大きな細胞質ドメインを含み、カテニン分子との相互作用に利用されます。

  2. がんにおけるCDH6の役割: CDH6は、胚発生中に上皮間葉転換(EMT)を促進するタイプ2のカドヘリンであり、がんでは異常に再活性化されます。甲状腺がんにおいて、CDH6はTGFβの標的であり、EMTのマーカーとしての役割が示唆されています。特に乳がん、卵巣がん、口腔扁平上皮がん、腎がんにおいて、リンパ節転移や予後不良と関連しています。

  3. CDH6関連研究の多様性: CDH6は、胃がん、骨肉腫、脳腫瘍など、多くのがん種において研究されています。例えば、CDH6は、胃がんにおける分子療法への感受性および耐性を予測する12遺伝子に含まれており、脳腫瘍患者の独立した予後因子として機能することが示されています。


作用機序

第一三共が開発したDS-6000は、CDH6を標的とする抗体薬物複合体(ADC)です。ポイントは以下4点です。

1. CDH6の標的化: DS-6000はがん細胞の表面にあるCDH6に結合します。

2. 抗体薬物複合体の構造: DS-6000は第一三共独自のDXd ADC技術を使用しています。これは、ヒト化された抗CDH6 IgG1モノクローナル抗体と、切断可能リンカーを介して結合されたトポイソメラーゼI阻害剤(エキサテカン誘導体)で構成されています。薬物と抗体の比率(DAR)は、抗体1つにつき約8分子のペイロードです。

3. 内部化とペイロードの放出: DS-6000ががん細胞のCDH6に結合すると、細胞内に取り込まれます。その後、リソソーム酵素がリンカーを切断し、細胞内でDXdペイロードを放出します。このペイロードはトポイソメラーゼI阻害剤で、がん細胞のDNA複製を妨げ、最終的に細胞死に至らせます。

4. 全身への曝露の抑制: DS-6000の設計は、薬物を直接がん細胞内に届けることを目的としており、ペイロードの全身への曝露を抑えるようになっています。このアプローチは、がん細胞に対する薬物の効果を高めつつ、副作用を最小限に抑えることを目指しています。

DS-6000は、第一三共の臨床開発段階に入った6番目のADCであり、革新性が期待できますが、DS-6000はまだ臨床開発段階にあり、その効果や安全性のプロファイルを完全に理解するためには、さらなる研究と試験が必要です。

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