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CTX310&320(CRISPR Therapeutics)

今回はCRISPR Therapeuticsの脂質異常症領域に対する1回きり治療…その候補として最も進んでいるCTX310&320を掘っていきます!


作用機序と構成の概要

CTX310はCRISPR Therapeuticsが開発中の新しい薬で、特に脂質異常症の治療に役立つ可能性があります。この薬は遺伝子編集技術「CRISPR/Cas9」を利用しています。

CTX310はANGPTL3という肝臓で作られるタンパク質を標的としています。ANGPTL3は脂質代謝に関わる重要なタンパク質で、このタンパク質の活動を抑制することによって、血中の悪玉コレステロール(LDL)や他の脂質を減らすことができます。これにより、心臓病などのリスクを減少させることが期待されています。

この薬は、Cas9をコードするmRNAとANGPTL3遺伝子と相補的なガイドRNAをリポソームナノ粒子(LNP)に封入して構成されています。

結果、ANGPTL3の遺伝子に直接作用し、その機能を抑制するよう設計されています。現在、脂質異常症の患者を対象に初期段階の臨床試験が行われています。

Cas9について詳しく知りたい方は
私のブログの過去記事をご参照ください🙇 

『あ!知ってるな!』くらいのレベルになれます!

もう少し詳しい作用機序

前述の通り、CTX310は、肝臓でのANGPTL3の発現を抑制することを目的としたCRISPR/Cas9遺伝子編集療法です。この治療法は、ANGPTL3を標的とするガイドRNA(gRNA)とCas9 mRNAをリポソームナノ粒子に包み込んだもので構成されています。

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