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クラブ化粧品-お化粧-

♣初めに

大正15年〜昭和4年頃までのものと思われる、クラブ陽級化粧品の小冊子を入手しました。
小冊子は一冊ずつまとめておきたいので、他のものと内容が重複する項目がありますが、省略せず内容を取り上げたいと思います。


♣美麗な表紙

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花と鳥が左右対称に配置され、金箔が施された美しいアールデコらしいデザインです。書籍の扉絵と見紛うレベルの高さであり、カタログの中でも凝ったデザインだったのではないかと考えられます。

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昭和5年元旦号の『東京小間物化粧品商報』に掲載された、クラブ化粧品の広告。今更気が付きましたが、モデルが手にしているのはクラブ本店舗のカタログではありませんか。


♣クラブ化粧品とその使命

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◇優良な化粧品は総て衛生と保健と美と会館と礼節とを保持助長するを目的として製造せられねばなりません

◇クラブ化粧品は製造科学上並に使用科学上総てこの要素を具備している現代における最も優良なる国産化粧品であります

◇クラブ化粧品の世界的信用を博し益々愛用盛んなる所以は実に産業文化の合理化により精神を経とし科学を緯としその商品の人格化を理想として進みつつあるからであります


♣クラブ式お化粧法

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♧お化粧の順序

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  1. お顔のアレない皮膚の美を増し艶を増す世界的の純良化粧料石鹸カテイ石鹸かクラブ石鹸にてお顔から首筋および手をよく洗います。

  2. 生地を整へ美しくするに最も有効な日本名物の美身料クラブ洗粉にてよくお顔を洗ひます。

  3. 皮膚の美を養ふクラブ美身ゼリーをお襟からお顔へかけて塗ります。アレ性の方ならば、一番よく効くアレ止め日焼け止め兼用の美身料クラブ美身クリームを指先で丁寧に擦り込んで蒸タオルで拭きとります。

  4. 一番高尚で美しい艶を増し生地まで白くなる純良無鉛のクラブ白粉を掌に取り、指先でよく煉ってつけます。(お襟はお顔より少し濃い目に)

  5. 牡丹刷毛で白粉をよく延ばし、次に水刷毛でならします。

  6. ガーゼまたは手拭いで押さえて白粉を落着かせます。

  7. お顔にホンノリ桜色の健康色を添へる、クラブ頬紅を目の下から頬へかけて薄く刷きつけます。

  8. お化粧を引立てるクラブ粉白粉かクラブはき白粉をセーム皮に付けて顔に薄く打ち、お襟はポットに粉白粉を含ませて刷いた上をセーム皮で軽く打ち、唇全体に薄くクラブ口紅をつけますと清新な美しい淑女式の御化粧が出来上がります。


♣真の化粧美

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美しい顔と姿は女性の持つ最高のもので、美神が与えた婦人礼讃唯一の自然詩であり、華であります。心さへ清ければ外形は醜くともよいという時代は既に過ぎ去りました。

文化の進展した今日では、真の美しさは正しい心と清く美しい容姿と相まって初めて純真の美を発揮するものでありますから、お化粧をすると云うことは単にお洒落をすると云うことではなく、実に保健衛生と美と快感と礼節とを保持助長する為の身嗜みとして、清く正しく生きて行く上に最も必要な美的修養であります。

クラブ化粧品を用いての化粧、即ちクラブ式化粧法は実に精神美、健康美、化粧美の三つが融合一致して、人々の天賦の美を発揮する最良のもので、現今最も進歩したお化粧法として御婦人の間に最も歓迎されているので御座います。


♣お化粧の仕方

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♧厚化粧の仕方

  1. カテイ石鹸またはクラブ石鹸で顔の汚れを落とし、更にクラブ洗粉でお顔から首筋をよく洗います。

  2. クラブ美身クリームを塗り肌地を整えます。お襟にはクラブつぼみまたはクラブ美の素をごく薄く引き、クラブ固煉白粉をクラブ化粧水にて薄め板刷毛で塗り牡丹刷毛でよく延ばします。

  3. お顔にはクラブ煉白粉を板刷毛でお襟よりも薄目に塗り、牡丹刷毛でよく延ばしてガーゼで水分をとります。クラブ頬紅を薄く刷いてホンノリ桜色の健康色を出します。クラブ粉白粉をポットにつけてお顔とお襟に刷き、その上を軽く打ってから水はけを用います。

  4. 眉にはクラブ眉墨で軽くお描きになり、唇には薄くクラブ口紅をお付けになりますと上品で奥ゆかしい厚化粧が出来上がります。

♧薄化粧の仕方

  1. カテイ石鹸またはクラブ石鹸で顔の汚れを落とし、更にクラブ洗粉でお顔から首筋をよく洗います。

  2. 皮膚を保護するためにクラブ化粧水またはクラブ美身クリームをおつけになります。

  3. クラブ水白粉をお顔からお襟へ板刷毛で塗り、お襟には今一度重ねてお塗りになってお顔とお襟を牡丹刷毛で延ばします。

  4. クラブはき白粉をお刷きになりクラブ頬紅をさし、水刷毛を充分に使いますと清新なお化粧が出来上がります。

♧顔の形を美しく見せるお化粧

  • 額の広いお方…クラブ緑色はき白粉を打ちます。

  • 頬のこけたお方…クラブ肉色白粉を打って水刷毛しまして柔らか味を添えます。

  • 顎の骨の高いお方…クラブ肉色はき白粉を打ちます。

それぞれの欠点の目立たぬようにしましてから、最後にクラブはき白粉かクラブ粉白粉をその上に刷きますと誠に温和な粧いとなります。

♧五分間早化粧の仕方

  1. 脱脂綿にクラブ乳液を湿してお顔とお襟の汚れを拭きとります。

  2. クラブ化粧水を塗り、クラブはき白粉かクラブ粉白粉をポットで刷き付けます。

  3. クラブ頬紅をさし、水刷毛でならしガーゼで押さえて水気をとります。

  4. クラブ美身クリームを掌に延ばしお襟全体に塗り、クラブ煉白粉を薄く溶いて板刷毛で塗ります。この時、顎の下へは幾分濃い目に塗り牡丹刷毛でならし、水刷毛してからガーゼで押さえます。

  5. 最後にクラブ口紅を薄くつけて仕上げますと、高尚で美しいお化粧が出来るので御座います。

♧二分間早化粧の仕方

ごく簡単なこの二分間早化粧は忙しい生活をなさるお方には最も適当です。

  1. 脱脂綿にクラブ乳液を含ませ、首とお顔をよく拭い脂垢をとります。

  2. クラブ化粧水をつけガーゼで水分をとり、クラブ白粉錠かクラブ粉白粉をポットでお顔からお襟にかけて刷き付けます。

ほんの二分間を割いて、この早化粧を御実行になればいつもさっぱりとした御心持ちで居られます。なおクラブ頬紅を薄くおもちになれば、生き生きとした健康色を添え一段とお化粧を引き立たせます。

♧お化粧崩れの直し方

浮いた汗や脂肪はクラブ紙白粉でそっと押さえてお化粧を整えます。もし鼻の上にムラがあれば、乾いたガーゼでぼかしクラブ水白粉をつけます。もしくは、クラブ美身クリームを薄く塗り粉白粉を刷きますと美しくなります。その時、白粉の継ぎ目が重ならぬように手際よくなさらねばなりませぬ。

御外出時にはクラブ紙白粉か、優美な鏡付き美術缶入りのクラブ白粉錠(コンパクト)を御持ちになればいつもお化粧が綺麗に保たれます。夏は汗押さえにクラブ天瓜粉かクラブタルカンを打っておけば御安心で御座います。


♣皮膚の手当て

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♧脂肪性の皮膚の手当て

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皮膚の脂肪の多過ぎるのは、皮脂腺の分泌異常から来るものでありまして、こういうお方は運動を適度になさって脂肪性の食物をお避けになり、毎日朝夕顔のアレないカテイ石鹸またはクラブ石鹸でお洗いになって、クラブ乳液を脱脂綿にたっぷり含ませお顔をお拭いになり、クラブタルカンを薄くお襟からお顔に刷き、よく押さえておいてから御化粧遊ばすのがよろしう御座います。

♧乾燥性の皮膚の手当て

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乾いた皮膚のお方は貧血の為や、血の循環の不完全の為に起こるものですから、全身の栄養をよくすると共に、お顔に温和なマッサージを与えて血行をよくさせ、且つ適当に栄養剤を与えねばなりません。それにはクラブ洗粉で静かにお洗いになり、タオルでよく湿気を拭いクラブ美身クリームをよく擦り込み、ガーゼで押えてお化粧なさるのがよろしう御座います。

♧夏日焼け雀斑の直し方

日焼けは太陽の光線中の紫外線の作用により皮下の色素に変化が生ずるためで、雀斑は皮膚におけるその色素が不規則に集まるために出来るのですから、これにはクラブワイスが最も有効で御座います。

それは皮膚を漂白する力があり、毛孔の中の脂肪をとり、また殺菌力を有しているからであります。まずクラブ石鹸またはカテイ石鹸およびクラブ洗粉でお洗いになり、このクラブワイスを脱脂綿に浸して顔面に塗り(眉や生際につかぬよう)それが乾いてから平常のお化粧を遊ばずので御座います。なお外出の際、クラブ美身クリームをお顔に塗けて御出になれば決して日焼けの憂いが御座いません。

♧赤ら顔の人の手当てと化粧法

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赤ら顔には色々原因がありますが、便秘や婦人病は重大な関係をもっております。寒くなると血管が刺激されて却って充血を起こしたり、人によっては血管の拡張したがる体質や、血管のすぐ麻痺しやすい体質の人もあり、原因は数えきれない程であります。

その予防法はそれぞれ専門医にかかる事が第一ですが、第二には婦人病を治す事、一日に一回便通を促す事、寒い風にあたらぬ事、もし止むを得ない時にはクラブ美身クリームをお塗りになって外出なさるとよろしうございます。次は貧血を治し心臓の養生をする事が大切でございます。また、マッサージによって血液の循環を良くし、赤ら顔を治す方法もあります。化粧法としては微温湯にて洗顔をなし水気をよく拭きとり、化粧下にはクラブ化粧水をつけて肌色の白粉をつける事をお勧めいたします。

♧皺の多い方の手当ておよび化粧法

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皺の多いのはお化粧するにも困ります。これはお若いうちからお手当てが肝要で、常に皮膚を大切にして手荒に取扱わぬ事、よくマッサージをなさる事、気を晴れやかに持つ事が最も大切であります。お化粧としては濃化粧より薄化粧の方が目立たなくてよろしうございます。もし場合により濃化粧をする時には、極めて上手にクラブ美身クリームを引いて、下拵えに充分御注意なさる事が肝要でございます。

♧手を美しくするには

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手の美しいのはその人の嗜みが見えて誠にゆかしいもので御座います。いつも手をカテイ石鹸またはクラブ石鹸もしくはクラブ洗粉でお洗いになり、湿気をよく拭き取ってクラブ化粧水かクラブ乳液または皮膚の美を養うカテイフードを忘れずにおつけになれば、何時も瑞々しい柔らか味を保つことが出来ます。

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お寒い頃にはクラブ美身クリームかクラブ美身ゼリーをお擦り込みになっておけば、凍傷や皹、アカギレを予防いたします。そしてクラブ水白粉で御化粧いたします。

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お暑い時節に汗が多くてお悩みになるお方は、汗押さえのクラブ天瓜粉かクラブタルカンを擦り込んでおおきになるのが一番で御座います。

♧美爪術

手と共に爪の手入れもまた上品な嗜みの一つで御座います。

  1. 爪を適宜に鋏、鑢で好みの形にすります。

  2. 微温湯にクラブシャンプー液を二三液落とした中に浸けておき、爪ブラシにてよく洗います。

  3. 爪の柔らかな内にクラブお爪クリームを爪溝に塗って皮膚をやわらげます。

  4. メスにて爪廓の汚い皮膚をはがしバンスにてそれを切り去ります。

  5. 薄くした過酸化水素水にて爪縁を綺麗にし、爪廓を仕上げて半月形を鮮かに表し仕上げの鑢をかけます。

  6. 爪色の悪いお方は爪紅をさし、それからクラブお爪歯磨粉をつけてポリシアにて軽く摩擦すればよい色艶がでます。その上から、クラブお爪化粧液をつけますと一層の光をそえます。

  7. 最後にクラブお爪艶出液の少量を用いて、爪及び周囲の皮膚を柔らかに摩擦すれば、桜貝の様なやさしい美しいお爪が出来上がります。


♣クラブ化粧品総目録

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48点の商品の効能、サイズ、値段が掲載されています。こちらのカタログに掲載されている商品は堂級化粧品カタログ近代美粧よりも価格は少しばかり安く、化粧品のデザインも先の2冊より古いタイプのものがあります。

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♣中山文化研究所事業一覧

創業20周年企画で行われた、中山文化研究所の活動も案内もあります。

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