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読書感想文

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海外文学や現代文学の感想文。
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#チェーホフ

2023年12月 読書記録

 あけましておめでとうございます。  元旦の地震、大丈夫でしたか。もちろん、被災地の方々はnoteどころではありませんが、石川や富山以外でも余震の揺れが続き、怖い思いをしている方々がいらっしゃるようです。どうか無理をなさらずにお過ごし下さい。  さて、先月読んだ本、プルースト『失われた時を求めて』は先に記事を投稿しました。また、リディア・デイヴィス『話の終わり』は後で感想を書く予定です。 志賀直哉『暗夜行路』(講談社文庫)  作者唯一の長編。メインテーマはフィクションで

「ドライブ・マイ・カー」と「ワーニャ伯父さん」/チェーホフと太宰治 【読書感想文】

アントン・チェーホフ  アントン・チェーホフは19世紀末に活躍した作家で、短編と戯曲が有名です。笑いとかなしみを描くのがうまい作家ですが、比較すれば、短編小説は笑い、戯曲はかなしみの比重が大きい気がします。  代表作が手軽に文庫で読めること、歴史的・宗教的背景を知らなくても理解しやすいことなど、海外文学に馴染みがない方にもおすすめの作家だと思います。 「ドライブ・マイ・カー」と「ワーニャ伯父さん」  先日読んだ村上春樹さんの短編小説「ドライブ・マイ・カー」には、チェーホ