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読書感想文

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海外文学や現代文学の感想文。
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2022年9月の記事一覧

川端康成『みずうみ』 【読書感想文】

 私が中学受験をした時には、日本人のノーベル文学賞受賞者といえば川端康成しかいなかったので、『伊豆の踊り子』が必読図書でした。  確かに小学生でも読める作品でしたが、あまり印象に残りませんでした。  関東在住の友人たちは、この本を読んで天城峠に行ったりしたようですが、関西人の私にとっては、伊豆なんて、全くなじみのない場所ですし。  その後、中学生の時に『雪国』と『古都』を読みましたが、私には縁のない作家だという気持ちが強くなっただけでした。日本的な美しく繊細な世界なんて興味

2022年8月 読書記録 

 8月も、梅雨時のような湿度の高い日が続きましたね。それに加えて、あれこれ気ぜわしい時期なので、サクッと読める短編集や短めの作品を選びました。  人と同じく、本もまた次々に縁でつながっていくものなのだと感じます。森鷗外→江戸期の文学→中村真一郎、村上春樹→ドストエフスキー、カポーティ、フィッツジェラルドというように読書の幅が広がり、半年前には想像もしなかった読書記録になりました。 ドストエフスキー『白夜/おかしな人間の夢』  ドストエフスキーの短編集です。村上春樹さんの短