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2023年2月の記事一覧

魅力的な脇役たち 与謝野晶子訳『源氏物語』 後篇 【青空文庫を読む】

 前回書いたように、現代語訳や翻案を繰り返し読むぐらいに『源氏物語』が好きなのですが、実は、主人公の光源氏をそこまで好きなわけではないんですね。  嫌いではないですが、そんなに思い入れはない。私には、明るすぎ、王道すぎる主人公なので。  光なりに、苦労はしているのですが。母親と早くに死に別れたり、こじらせ気味の恋愛を繰り返したり。手を出してはいけない女性との関係がバレて、須磨に逃げたりもしています。でも、京に復帰した後の源氏は、全てにおいてパーフェクトで、何をやってもうまくい

2023年1月 読書記録 ポピュリズム、カフカ、カフェーの女給

筒井清忠『戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道』(中公新書)  ポピュリズムの概念は理解できるのですが、どこまでが「国民の声を聞く」でどこからが「ポピュリズム」になるのか家族に訊かれても、答えられない。ーーということで、戦前のポピュリズムを分析しているこの新書を読んでみました。しかし、日本史専修出身とは思えないほど昭和史に疎い私にとっては良い復習になったものの、現状の理解にはつながりませんでした。家族には、「『オール・ザ・キングスメン』を観て考えてみよう。ショーン・ペン主