エル・ウッズみたいな女のコ②
ミシェルさんは部署にちょくちょく顔を出してくれるようになり、部署のメンバーの好みを僕以上に把握していった。
そんなキラキラチカチカするような女のコが部署の給湯室で僕に頭を下げてる。
だからっ!今度社内試験があるからどうしても受かりたいの!ハル君頭いいじゃない?だからわたしに勉強を教えてっ!
頭を下げてるわりには結構な無茶ぶりだなと思いながらもエル・ウッズみたいな女のコなミシェルさんは必死さが見えた。
えっと…ちょっと内容がわからないと闇雲に勉強を教えてといわれても無理なんで話をきかせてもらえます?仕事片付けてきますから少し待っててもらうことはできますか?
もちろんよ!もちろん待つわ!!
こんなキラキラしい女のコを待たせる平凡な僕との対比な?とか思いながら手早くデスクを片付けてパソコンの電源を落とす。
終業のベルが鳴った後にミシェルさんはここに来ていたので、今日は上がりまーす。と声をかけミシェルさんに用意ができましたので行きましょうと声をかけると部署のメンバーがえー?デート?いいなあと口々に囃し立てる。
違うよ。なんか用事があるそうでゆっくり話を聞ける場所に移動するだけだよ。
と言おうとしたらミシェルさんが
そーなの!いいでしょ!みんなバイバイまた明日ねー。片手をひらひらさせながらミシェルさんはもう片方の手で僕の背中をグイグイ押して僕の違いますからの声は外の廊下にこだました。
エントランスを歩きながら誤解されたら困らないの?と言うと
別に?
僕らデートじゃないですよね?
ええ、違うわね。今の所は。
今の所は?
そういう細かいこといちいちキニシナイの!
ミシェルさんと並んで歩いていたら社内の人がえっ?!みたいな顔をして振り返る。
ミシェルさんはなんにも気にする様子もなくハイヒールをカツカツ言わせながら澄ました顔でバーイとかまた明日ね!とか言いながら歩いている。
ほら!ピシっとする!うつむかない!バシッと背中を叩かれた
った!
ハル君さあ顔よし、スタイルよし、背もそこそこあるんだからもっと堂々とあるきなさいよ!
へっ?
…あんた自分のことなんだと思ってんのよ?ヘッドハンティングされてMKHDに入れる頭脳とちゅーぎんのトップ入社なんでしょ?
なんだからもっとカッコいい歩き方しなさいよ!
頭脳と歩き方はなんの関係性があるんですか?
それとヘッドハンティングとかトップ入社とか誰に聞いたんですか?
関係性なくてもカッコよくしなさいよ!その話はひよとテオから聞いたの!
あー、あのふたりか
はあ…でも
いや!そこな!
相談があるといった割にはめちゃくちゃ強気に言われっぱなしな気がしないでもないような?
自信がハイヒールを履いて歩いてる。みたいなミシェルさんはクルッと振り返り、ハル君、今日なんで来たの?クルマ?トラム?
トラムです。
ならわたしのクルマで移動しましょ?
はい
赤のカブリオレをオープンにしてた。ドラマでしか見たことない。てかリアルにみたのはじめてかも。自己主張強めはクルマにも表れてる。
えっと…これ…ですか?
なによ、文句ある?
いえ、ありません。
その割にノロノロ運転が怪しくて恐ろしく、我慢できなくなった僕はこういうクルマはじめてなので試しに運転させてもらえないか?と申し出てみた。
何故かほっとしたようなミシェルさんは
すんなり運転を代わってくれた。
えっとどこにいけばいいんですかね?
そうねえ、やっぱ海のカフェかしら?
サンセットに映えるカフェで話をするなんて素敵じゃない?
いまから?!サンセットて…日の入りは…慌てて天気予報を見る。急がないと!
なにか不都合でも?
イヤ、ないですけど。じゃあ。とナビをセットしてミシェルさんオススメのカフェにクルマを走らせる事一時間。僕はホントになにをしているのかさっぱりわからなくなったがミシェルさんはご機嫌でゼミのメンバーがすごく大事だとかなんとかを喋り倒していた。
女のコってみんなこんな感じなの?
計画がむちゃくちゃじゃない?+ご機嫌かどうかが大事なの?
比べる対象がなさすぎてわからない…
ひよこもこんな感じなのか今度フレッドさんにこっそり聞いてみよう。