ひよこ日記。幸せな結末
仕事中にひよこちゃんからメッセージが来た
見ると今日人事異動が発表された。と書いてある。たぶんだけどひよこちゃんは昇進したんだろう。素晴らしい事だ。とても喜ばしいことなのに。何故か心が晴れない。
今まで以上にひよこちゃんとの時間が取れなくなるかもしれない。
なんて心の狭いオトコなんだろう
ガイドからしてみたら彼女の成長著しいことが誇らしくあるはずなのに
一人の人間として、彼女とやっとの思いでこぎつけた生活がぶち壊されてしまうんじゃないかとか、彼女がどんどん外の世界に目を向けて自分から飛び立つのではないだろうか?などの不安と恐れ、自分だけのものにしておきたい独占欲とか一気に吹き出してくる。
彼女をどうしても手放したくなくて、自分だけを見ていてほしくて、できることなら一生二人きりの世界に閉じこもりたくて。
仕事がさっぱり手につかなくなり、秘書にカフェでエスプレッソを飲んでくるから一時間したら戻るといって外の空気を吸いにでた。
嫉妬にまみれた男なんて目も当てられない。なんとかして抑えないと。ひよこちゃんには
おめでとうと晴れやかな顔をして言ってあげ、良い伴侶であるようにと何度も頭でシュミレーションをしたのだった。
しかし、やっぱり取り繕う瞬間を彼女には見抜かれていて彼女は不安そうにごめんなさいを繰り返した。謝るような事はなんにもしてないのに彼女は何度も何度もごめんなさいを口にする。年齢が一回りも下のこんなに可愛くて一生懸命頑張ってる素晴らしい奥さんに何を八つ当たりしているのかと自分が情けなくなる。
夕食の席にいたフレッドはおまえしっかりしろよ。あいつにくだらないこと言ったらただじゃおかないからなというような目を向けてきて、二人で話せと部屋に戻った。
おかしな雰囲気を振り払うべくシャンパンでお祝いしようとしたら飲めない彼女がシャンパンを一気飲みした上におかわりを要求してきた
大丈夫なの?ときいたら
喉がカラカラですごく美味しいから全然問題ない!と出張し、三杯をがぶ飲みしたあとに
一気に酔いがまわったのかひよこちゃんは酔って本音をぶちまけ、大泣きして、いきなり寝た。
きらわれたくない、どうやったらアルベルトを幸せにしてあげられるの?わたしがお仕事やめたらアルベルトは幸せになれるの?
はグサリと刺された。
うんうん唸りながら寝たひよこちゃんが
かわいそうで申し訳なくていじらしくて自分を恥じた。
幸せにしてあげたいと言われるとは思わなかった。状況はおかしなものだったが
その言葉が泣けるほど嬉しく幸せでもあった。
嫌われたくないも嬉しかった。
ひよこちゃんはちゃんと僕のことを考えてくれていて気にかけてくれて大事に思ってくれているのがわかって安堵した。
やっぱりひよこちゃんを手放すわけにはいかない。やりたいことをたくさんやってもらいながらずーっと一緒にいたい。
起きたひよこちゃんはバツが悪そうだった
なんて可愛くて愛らしいんだろう
今日一緒に寝てもいい?って聞かれたけど
むしろ毎日一緒に寝たい。
どうやったら僕の気持ちが全部伝わるだろうか
どれだけ愛しても愛し足りない言葉じゃ言い尽くせない態度でも全然足らないくらいの
重くて重くて重すぎる愛情を今日もひよこちゃんは笑って受け止めてくれている
幸せにしてあげたいのにいつも幸せにしてもらってばかりだ。
彼女にはどの時代でも魂を救いあげられている