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ひよこ日記、ロンドン、タウンハウス、研修最終日の朝

朝支度してたらフレッドはノックもそこそこに部屋に入ってきた。いつものことだから別に驚きもしない。けどまだキャミソールにパンツ1枚でこれから服に合わせて下着も変えようかと話しをしながら色味に合わせた下着をいっぱいだして頭をひねらせてていたところだった。

やっぱこっち?いやこっち?

フレッドと目があったときわたしは手に2枚のブラ持っていて見比べていた

あいつはそれがどうしたという感じだった。

お年頃でそれなりに見応え溢れる女子だと思われるわたしが着替えをしてるのですよ?

だから?

ドギマギしてくれてもいいんですよ?

誰に?わざとらしくキョロキョロされた

チッと舌打ち

でもいつもの事だからもういいか。もちろんマギーさん達は呆気に取られていたが。

それ着るのか?ラックに掛かったスーツ達をみている。

うん

今日プレゼンだろ?

そうよ

なら、もうちょい目立たないカッコでなおかつお前の顔が映える服のがいいぞ?

そう?

プレゼンの鉄則だ。服を目立たせるな。
準備した資料と話が主役だ。お前だけ目立つな。一歩下がった服着ろ。でも手を抜くな。

へーい

こっちのがいい。あと、靴は…
あー、できたら後ろ立ち姿が映えるようなヒールの形のがいいんだが…

エリートビジネスマンの場馴れしてる間違いないアドバイスなので提案してくれた方にした。

あんがと。

じゃ先にテーブルついてるぞ

はーい

言ってることはマトモなのに登場の仕方が雑すぎという残念なフレッドくんだわね。

というとメイドさんはプッと笑い、マギーさんは深あいため息をついた。

レディの部屋にあのように入って来られるとは大変申し訳ございません。

フレッド、わたしのことレディなんて思ってないから大丈夫よ?

それが問題なのです!

これがパリの日常だなんて口が裂けても言えない。お口チャックしとこう。

深夜食べたからきついよねー。スケジュール考えてごはんも控えるとかすればよかったなー。

等と朝食の席で言うと、スクランブルエッグを綺麗な動作で口に運んでいたフレッドがチラッとこっちを見て一言。

いつものことじゃないか。とイヤミをぶちかましてきた。

そっすね、はい、おっしゃる通り!と言い返すとクツクツ笑っていた。一日一回イヤミを言わないと死ぬのかと思うくらい、皮肉とイヤミを
会話に織り込んでくる。機嫌がいい証拠だ。

あんた…もてないでしょ

は?誰に言ってる?

スクランブルエッグ食べてる、栗毛のくるくる外面だけは一流のイギリス人に言ってます。

残念だが、引く手あまただ。外面だけは一流てなんだよ。

事実じゃない。

外面一流で上等。それすらできてないお前に言われる筋合いはない。

そこまでひどくないわよ。たぶん。


それにくるくるじゃない。ウェーブだ!
というかお前もくるくるじゃないか、もちろん頭の中身のほうだが。

フレッドくん。表でろ。いますぐに

望むところだ。


給士してくれてるメイドさんはオロオロしている。

お二方。お静かにトマスさんに嗜められた。

失礼しました。

お前もなかなかだな。

お褒めくださりありがとう。

どういたしまして。


すまない。これはケンカじゃないから安心してくれ

そうですー。いつものことでーす。

わざとまのびした声で呑気に言ってみた。


今日、会場にオレも行く
なにしに?

審査員だよ。

は?聞いてません

当たり前だ。言うわけねえだろ

勘弁してよ。

こっちが言いたい

うちのグループの審査だけはやめて

さあ。どうしよっかなあ。とニヤニヤ笑うフレッドをテーブルの下で蹴っとばしておいた


 



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