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ミモザ

二人で過ごす最後の日の夕方、お酒を飲みたいと言われ、ミモザを作ってあげた。

テラスのテーブルでひよこちゃんはそれを一息に飲んだ。

そんな飲み方して大丈夫なの?

話があるのよ

なにかな?

えっと…アルベルト、あの…その

うん。慌てなくていいよ

あの、あのね、その。イタリアに行ったじゃない?

うん。

マンマからいろいろいわれていたの見てたよね?

みてたよ。面白かったね

それでね、その…ほら、えっと
アルベルトはいつも結婚しようとかいうけど
お付き合いしようとかそういうのはいわなかったよね?どうしてなの?

…ああ、うん。確かにそうだね
言ってないね

今更何言うんだておもったよね?

いいや、そんなことはないよ。

ずっと一緒にいるし、どんな人とかは知ってるつもりなんだけど

ああ、ひよこちゃんはプロセスを大事にしているからね

いまさらよね
ごめんね。それ僕のせいだね

わたし自分が納得しないとどんな素敵な話でも信じられないの。他人に起きた話としか見れなくて。バカよね、ごめんね。くだらないね

ひよこちゃん。

うん?

僕とね。お付き合いしてもらえないかな?
結婚前提でね。…なんていうか緊張するもんだね(笑)こういうの。

うん。

でもその…

心配しなくていいよ。僕はひよこちゃんを一人の女性として愛しているよ。全部ふくめてまるごと幸せにしたいし幸せにしてもらいたい。

うん

ちょっと待ってて

僕は引き出しにずっといれていたものを取りに行き彼女にわたした。

…いつから持ってたの?

いつからかな。だいぶ前かな


ゆっくりでいいから。と言いたいところだけど半年以内に結婚式したいんだけど

は、はやくない?今さっきお付き合いしてほしい。ていったばっかりよ?

すぐにでも結婚したい。遅いくらいだよ。明日でもいいくらいなのに。

なんでそんなに結婚にこだわるの?

ひよこちゃんの夫になりたいから。

直球ね

心からの願いだから

今以上に大切にするから。悲しませたり、傷つけたり、うらぎったりしないと約束する。

はい

これで僕は君の恋人…いや婚約者と触れ回れるわけだ

それ前からずっと言ってるじゃない

君の許可無しに発言してたけどね。予祝だね

それでね。

うん

明日からこういう時間はしばらくおあずけになっちゃうでしょう?

みんな来るものね




いまのうちに恋人らしいことしなくちゃ。ひよこちゃんが僕のこと意識してくれてるのがはっきりわかったから忘れられないようにしないとね。




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