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裏ひよこ日記 締め切り明けのクスクス笑い

目前に迫る締切や納期をいくつか抱えて昼夜問わず働きまくる。新人ちゃんに仕事を教えつつ自分の仕事をやり、会議まとめ、からの、広報部全体での仕事。出張帰りの時差ボケが激しいカイト一先輩はドリンク剤が欠かせないらしく、デスクにはエナジードリンクと栄養剤の空き瓶がゴロゴロ転がっており、外回りとミーティングと自分の経費精算と報告書となんやらかんやら一気に仕上げた金髪ブルーアイのガチイケメンのショーン先輩は椅子を2つくっつけて10分仮眠させてくれといって1時間は軽く爆睡をぶちかましており、可哀想すぎて起こしてあげられない。しかし締切でにっちもさっちもいかない。起こさないと。寝顔すら爆イケなんてほんと罪(でも彼は彼氏がちゃんといる)。
ミラ専務は電話で話しながら何かパソコンで別業務しながら私達に指示出ししていて、帰れそうにない私達のために夜食を買いに走って行ってくれたハンナちゃんは、あまりの忙しさから彼氏にしばらく会うのは控えようというメッセージがきたと泣きしながら入力作業しているし、ベン君は虚無な表情のままミラ専務に頼まれた資料の最終仕上げ作業に追われているし、美人で有名なニコラ先輩とミカ先輩はムリ…化粧がハゲる…肌荒れしたくない等と嘆きながらデスクで髪をくくって文書作成におわれてる。そんな広報部の締め切り直前。深夜残業当たり前な1週間を乗り越えて、締め切り前日の昨日は深夜すぎる帰宅となり、2時間しか寝れなかった

今日は昼から研修の講師の仕事。もう気力の残量が5%くらいしか残ってないような気がする。

この顔面のまま講師の仕事なんてさすがにイヤだ。ということで、この時期ご自由にお飲みください的な広報部みんなの持ち込みエナジードリンクやら栄養剤やらを手当たり次第飲みまくり、昼休みに社食カフェに降りてミシェルたちにメイク道具借りにいった。

おつかれ!  

うん…

大丈夫か?

カイトやテオが声をかけてくれる 

なんか食べさせておくれ…

ま、まってろ!今すぐなんか買ってきてやる!

あんがと

ひよ…終わった?

うん。なんとか。でも午後から講師の仕事があるの…お願いメイク道具貸して。

うちらが整えてあげる

いいの?持つべきは友…理由もなく半泣き。

だめっ泣いたら!マスカラが滲むっ!!
ああ!何でこんな肌カッサカサなのよ!もう。

うん


視線を感じる。みなくてもわかる
きっとフレッド、たぶんフレッド、絶対フレッド。

おつかれ。済んだのか?

うん、なんとか。

顔面偏差値を上げるため女子ーズ総出で工事作業に勤しんでいるため振り向く事ができない。

いやなんか壮観だな。とリョウがしみじみとつぶやいている。

てかさ!ひよっ!潤いがなさすぎっ

マリちゃんからお叱りをうけた

あい、すいません


あんたしてないの?

ド直球なミシェルの発言

…ノーコメント。

メンズは何故か急に明後日の方向に向きを変え別の話をはじめ盛り上がっている。

多分それとなく気を使ってくれているのであろうと推察される。

しかし女子はこういう時手を緩めてくれないのであった。

仕事ばっかしてそれもわかるんだけどさー。
ちゃんとする事大事よー。

そうよー。一番ツヤツヤになるやつじゃーん。
さくっと気が合う人としたらいいのよ。とマリちゃんはいった。

そんなマリちゃんの肌艶はツヤピカである。
相変わらず恋多き女である。

アナイスは最近抜群にツヤツヤなのでなにも言わなかったがマリちゃんとミシェルから

ほらあそこ。
と、今一番視線を合わせたくない人物の方向をみた

その人物はメンズの会話を聞きながらサンドイッチを食べている。

すいません事務所通してもらえます?

どこの事務所やの。
あ!フレッドさーん!

うわ一番話を振ったらいけないやつに話をふるんじゃないっっ!

慌てたわたしは

わかったわかったわかりました!!!しますします!(いつか、そのうち、気が向いたら)とヤケクソ気味にまあまあな音量で返事した。

だってー。
聞いた?
言質とった?
とった

ミシェルとマリちゃんは悪い微笑みをした。

ほんとひよはこういう事になるとめちゃめちゃおこちゃんなんだから。
いーい?華があるときにバンバンしてたほうがいいのよ?わかる?
自分から誘って何が悪いの?
ほんとそれ。

え、や、え?

吹き出して笑い転げるテオ

あははははっ!!

いいんだぞ、ひよ。言い出せなくて困ったらオレを貸してやるから。

聞いとったんかい。
たまたま聞こえたんだよ


ほら。できた。うんかわいい。
寝てないなんてわかんないくらいいい感じに隠せたわ。

鏡を渡してくれる。

うわー。すごい。ねえこれどこの?
ん?興味湧いた?
もちろん
じゃあ、休みの日買いにいこ?あとさ、
メイクレッスンの講座いかない?

いくっ!!

ふふーん。ひよはもっとこうやって磨いたほうがいいわよ。

そうそう、華があるんだからさ。

ほんと?やだうれしい。

うちらかわいいんだからキレイキレイしとこ?

ほんまそれ。
それな?

女子はたちまち美容話に華を咲かせはじめた。


気力5%くらいしか残量なかったけど
気の置けない友人達とのとりとめのない会話で気力が57%くらい回復した気がする。
もうちょっとだけ頑張れる。


そして夕方久々に定時であがった。
みんなおつかれさま!
うちの部署は無事に締め切りに間に合いました。それでね、順番に有給消化しないといけないの。最初はひよこちゃんとハンナちゃんとベン君からね。それからショーンとミカとカイトー。

ゆっくり休んでしっかり体を休めてね。

ミラ専務はウインクした。女神かと思うた。

急に降って湧いたご褒美。寝る。わたしずっと寝る自信ある。


からの夕方の帰り道、運転中のフレデリック大先生はずっとなんか一人でおもいだし笑いみたいなことをしていた。

夕飯は外にベトナム料理を食べにいった。
久しぶりの外ご飯。明日が休みだから気が大きくなりビールを少しだけ飲んだ。ワインもちょっとだけのんだ。フレッドはへえー?みたいな顔してた。

いやもうあとは寝るだけだもんね。

明日休みなんだろ?てフレッドは聞いてきた。

うん

しますしますしますから!て言ってたな。
風呂上がりのスコッチを飲みながらフレデリック大先生はわたしをからかいはじめた。


事務所通してもらえます?

オレうってつけとおもうんだけど。

…まあ

潤いだいじらしいぞ?

まあ、そんなことより良い子は早く寝なさい。体壊すぞ?ちゃんと寝ろよな?

テーブルにスコッチグラスを置いてフレッドは自室に行きかけている

わたし今日そっちで寝る。
最大限な表現でそれが精一杯だった
何故かここ一番緊張した。

…。

返事がない

うわあ、引かれたわ。詰む…

やっぱ自分の部屋で寝るね。

じゃあおやすみー
と行きかけたらぐいと引っ張られた

素直じゃないな。オレ。と独り言ち
うん、そうしよう。ゆっくり話したいし。

そ?ならおしゃべりしよ?


からのクスクス笑いである。


仕事が詰まって神経高ぶってなかなか寝付けなかったのにいっぱいしゃべっていろいろなんかあって安心したのかそこから記憶がない。

夕方帰ってきたフレッドは珍しくメガネをかけてた。心なし髪も完璧なセットじゃない

あれ?どしたの?コンタクトしなかったんだ?珍しいね。

…起きれなかったんだよ。シャワー浴びてダッシュで着替えて会社に行ったからな

ほう

誰かさんはもうぐっすり寝てて起きないし。

…誰のせいだよといいたい。


今日いわれたぞ

なにを?


幸せそうで何より。


そうなの?


フレッドは何故か目の前でネクタイを緩めシャツのボタンを外しはじめた

なに?

これ

え。え?うそーなんかあたった?
痛くない?…ごめんね?


いや、大丈夫なんだけど


まあ幸せの証拠品てとこで記念になるな。
今日また増やしてくれても全く構わないんだけど?


…今日?

うん今日。

今日?

今日。

…どしたの?


今までカッコつけてただけ。

ずっとカッコつけてくれていいよ?

はい?

…とりあえず夕飯にしようか。


うん。そうしよう


あ、別にイヤだとかそんな意味じゃないからね?誤解しないでね?


口の端でニヤリとされた。

ちょっと気だるい雰囲気で髪型が完璧じゃないメガネスーツ男子にクラっと来たとかいったら
また寝れなくなるかもしれないからしばらく黙っておこう。


夕飯は大事。美味しいは正義。
































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