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ひよこ日記。ウィーンの神様ありがとう

二人きりで過ごすというのは別に珍しくもなんともない。今迄だってたくさんの時間を過ごしてきた。ずっとだいぶわたしよりオトナで頼れるカッコいい人だとおもっていたけど、それは間違いなくそうなんだけれども、最近少しずつだけ、少年だったり小さなコドモみたいだったりするときがあって、そういうトコあったんだ!て新鮮だったりする。

思い切ってこっちに来てよかった。

僕もひよこちゃんが仕事休んでまで来てくれて本当に嬉しかった。

土曜日の午後、ホテルザッハーのカフェで念願のザッハトルテを食べながらそんな話をする

これ、似合うかな?

間違いなく似合ってるよ

黒のハイネックニットにアルベルトからもらった赤いハートのペンダント。控えめだけどほんのり主張しててやっぱりそれは圧倒的に可愛かった。

ほんとうにありがとう。大事にするね。

うん、大事にしてね。他のお店を覗こう。僕たちの記念品買いにいかなくちゃ。

もう一つ食べる?

ううんいい。次の楽しみにする

…また一緒に来てくれる?

ふたりでまた来ようね。

何件か見て回りアルベルトがとある地元の宝飾店。目をとめたまま離れないショーケース。

お店の人にサイズがあるか聞いてみる。
運良くふたりともピッタリのサイズがたまたまあった。

…やっぱりこの指輪がいいんだけどな。どう?ひよこちゃん。

アルベルトがそこまで言うならそれにしよ?
わたしもそれは素敵だとおもう。

このまま嵌めて帰ります。と空の指輪のケースだけショッパーバッグにいれてもらう。

街をぶらぶら歩きながら話す

あのね、わたし意外だったの。

…なんかかわいいなって思ったの

え?

すごく頼りになる素敵な人なんだけど、時々かわいいの。…一人で食べる食事すっぽかしたり。寂しいとか、会いたいとか隠さずいうじゃない。わたしなかなか言えないから…それになんかそういうの言わなさそうな雰囲気なのに。

ひよこちゃんそんな風に思ってくれてたの?

うん

あ、なんかマズイこといったかな?

いいや。

わたしが言えない分アルベルトが言ってくれるから助かってるの

そっか。ひよこちゃんは恥ずかしがり屋さんだからね

いつも上手く言えなくてごめんね

気持ちはちゃんと伝わってるよ。

もはや胸がいっぱいでなんか泣きそうなのだった

それからいくつかのお店を見て回り、ちょこちょこ買い物をしてなにかのお店に入るたびにアルベルトはひよこちゃんにはこれが似合うあれが似合うと何でもかんでも買うので待て待て待てーい、部屋代に指輪にネックレスにアルベルトのお財布事情はどうなっているんだ?無理してない?大丈夫なの?と不安がよぎりだした

私が帰ったあとにアルが不便な思いしたら困るから!もう大丈夫だから!!

というとアルベルトは目を丸くしてそれから笑い出した。

大丈夫だよ、ひよこちゃん。

…私のはもういいから自分のもの買って?

ひよこちゃんは優しくてしっかり者だね。

アルベルトはなんでだか嬉しそうだ

よく考えてみたらわたしより軽く500倍は稼いでいそうな男の人捕まえて買いすぎじゃないの?発言は抜けていたかもしれない。
というかアルベルトのそもそもの収入も知らないのだけど。

あのう、今更つかぬことお伺いしますが。

うん

アルベルトっていったいお給料いくらなの?


アルベルトは耳打ちして教えてくれた

!!?!えっ、なに!へっ?!

だから大丈夫だよ。それにいつもはこんな買い方はしないから。奥さん

う、うん。


帰ったらちゃんと話そうか。

はい

あのね。僕の財産はひよこちゃんと築いたものだよ。ひよこちゃんは違うっていうかもしれないけど。でもそうなんだ。

今ある僕はあなたが育ててくれたんだよ。だから何もそんなふうに遠慮しなくていいんだからね?

わたし?わたし会社の経営なんてノータッチよ?

この会社は元々君のものだったんだよ?

でもそれわたしの一個前の話でしょ?
だから今はアルベルトのものだよ?

そうかもしれないけどそうでもないかな。

どうして?いっぱい努力して今の会社にまでしたのアルベルトだよ?

それはひよこちゃんがいてくれたからだよ

…なんか私達いまケンカしてる?

どうだろう?

なんだかわかんなくなっちゃった(笑)
話がこんがらがっちゃった

わかってるよ。

ケンカしてないとおもうけど仲直りしよ?

突然街中でぎゅううってハグされた。めちゃくちゃ恥ずかしかったけど嬉しかった

ほんとうにこんな可愛い人いない。

…もういいから

ひよこちゃん顔が赤いよ?

言ったらダメ!

ふふ

明日大雪とかストとかで交通機関止まらないかな。

えっ?

帰したくない。

またふたりでお出かけしよう?たくさんたくさん。ね?

はは、上手くかわされたなあ。
 
ごめんね、わたしも仕事があるから。

そういう所も好きだよ

はなれるのわたしだって寂しいんだよ?
ほんのちょこっとの出張とかでもわたしだって寂しいって思ってるよ。

アルベルトは目をパチパチしてる

わたしだって離れたくないって思ってるのは一緒だよ。

ああ、恥ずかしい。

…ウィーンの神様ありがとう。
大聖堂の方に向かってアルベルトが言った

ひよこちゃんの気持ちが聞けて嬉しい
ウィーンの神様ありがとうございます。

ふふっ

うん…まあ、、
わたしもウィーンの神様ありがとう。て
言っといたほうがいいかな。


























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