善良な市民が作る犯罪
「おとなしかったあの人が突然暴れだしたんです。」
それは、善良な市民の『不断の小悪事』が招いている。
それは、善良だと思っているあなたが招いている。
善良な市民の不断の小悪事
楽しい会話をしながらいつの間にか歩道一杯に広がって歩いている。
ちょっとだけだからと、歩道の真ん中に自転車を止めて買い物をする。
そこのお店でコーヒーを買うだけだからという路上駐車。
大事な高齢者の送り迎えだから、ゆっくり走れば安全運転だというノロノロ運転が与える、周囲の車の混乱。
高齢者や障害者のための車は優先されるものだという思い込み運転が周囲の出勤ドライバに与えるイライラ。
急いでいるからと、歩道を平気で疾走する自転車。
みんな走っているからと、歩道を平気で走る買い物自転車。
ほんの少し歩道に商品が出ちゃったけど他のお店もやっているからまあいいかという店主の言い訳が、視覚障害者を子供連れをつまづかせる。
みんながやっているから、多少大きめの音楽でもいいじゃない、と言って商店街に音楽を漏らしているお店。
場所が無いから、家の前の路上でも仕方がないねと、仕方がない理論で路上駐車してリハウス工事をする工務店。
とにかく配達優先だから、横断歩道でも、坂道の途中でも、団地の入り口でも、それにちょっとの時間だからと停車して配達する宅配便。
昨日のテレビで面白かったから、あいつにやってみようと強引に抑え込んで『かわいがる』イケメン生徒。
みんなと違うからおかしいんじゃないのと、ちょっと気にいらないからと、気分だけでクラスメイトをいびり始めるマウント生徒。
買い物から帰ってきて疲れているから、ちょっと忙しいから、他のことで手いっぱいだからと言って、テーブルに置いたままの新聞や雑誌がいつの間にか山を作る。
仕事で疲れているからと、通勤は疲れるからと、やっと帰ってきたんだからという言い訳で、床にまき散らす靴下、下着、衣服の山。
やっときれいになって気持ちいいと言いながら、濡れたままでリビングを歩き回る自己満足な爽快さと、その下で浴室から続いている濡れた足跡。それを見ている奥様。
これくらいの油はすぐに流れるよ、と家事知らずがシンクに流すラーメンの油まみれの残り汁。
「言ったでしょ。まだやってないのか」という、『自分は言っています という思い込み』で仕事が遅いと叱る忖度出世課長。
「それくらい、我慢するのが出世のコツだよ」と、自分勝手な出世論で部下に仕事を押し付ける『強権が管理』と誤解している無能部長。
自分だけが納得しているノルマや半期目標を掲げて、尻を叩くのが管理職の役目だと思い込んでいる、高学歴エリート管理職。
「デジタル時代? 仕事は人がやるもんだよ」と公言し、エクセル操作を丸投げして自分は新聞に没頭する古代人的管理職。
皆、自分は『善良な市民・家族・夫・妻』だと信じ切っている。
重なりで切れる
だから、夫のDVが急に始まる。
だから、おとなしかった生徒が突然友人に襲い掛かる。
だから、奥様は突然夫に金切り声を上げる。
だから、出勤中のドライバはクラクションを鳴らす。
だから、部下が突然休み始める、離職する。
善良な市民の無神経さ も 犯罪を招く
「恐いよね。おとなしい人ほど切れるからね」
「なんだよ、ちょっとじゃれてただけじゃんか」
「言語道断だ。仕事を頼んでいただけだ」
自覚していない行動、心の中でちょっとだけよと言い訳しての行動、これくらいみんながやっているという行動。
善良であろうが悪人であろうが、『ちょっとしたことじゃないか』が堪忍袋に溜まり込む。
他人のちょっとした言動でも『気に入らないもの』は、堪忍袋を膨らませ続ける。
そして、破裂する。
袋の破裂で、周囲の『善良な市民』は、傲慢に評価する。
「あんな人とは思わなかった」
と。
自分たちの『小悪事』をすべて忘れ切って、善良な市民として本心からそう思い、恐怖する。
悪魔は無自覚の中に存在する
自覚しない不作法、無法。
自覚してもすぐに忘れる不作法、強権、無法。
真の悪魔は、無自覚の中に存在する。
真の悪魔は、反省しない善良さの中に存在する。
あなたの行動が犯罪を招いている
bye
ありがとー