男性が陥る罠

 歳とともに陥る罠がある。
 特に退職後に陥る罠が大きい。

歳をとると尊大になる?

 小学生や中学生を見ると、丁寧なあいさつやありがとうの言葉が素直に出ている。
 例えば横断歩道。
 道交法上は歩行者優先だから停車する必要があるのだが、小中学生たちはありがとうのしぐさをしながら小走りに渡ってゆく。
 思春期という面倒くさい時期までの話だが。

 ところで、横断歩道を渡る中高年の男はどうだろうか?
 当然の権利として逆にゆっくりと渡るものまで存在する。
 この横柄さはなぜ生まれたのだろうか?

 横断歩道以外にも思い当たる例はいくらでもある。
 客商売に対しての客としての横柄さや、役所での手続きの時によくみられる横柄さ。
 まあ、役所では逆に高齢の役人になるほど横柄な場合もあるのだが。

 何故、年齢とともに横柄な男が増えるのだろうか?

最大の罠

 年齢とともに地位は上がってゆく。
 それは自分の能力ではなく、会社や役所などの所属する先が業務のために預託した権限でしかない。
 個人経営でも似たようなことが起こる。
 最初は新参者として丁寧な対応をする男たちも、商いが成功するしないにかかわらず年とともに横柄になり、引退するとてもつけられなくなる事例が散見される。

 人間は衣に影響される
 現役時代には会社などから預託される権限が衣になる。個人経営でも同じように、年齢とともにある意味の権限が周囲から委託される。端的に言うと、経験を積んでいるだろうからという推測で周囲が『年長者をたてる』という権限の預託をするのである。
 これが、目に見えない衣になり、一般人には意味がない衣を自分だと思うようになる。

 端的に言うと、働くために所属する団体や周囲から『預託』された衣でしかない権限を、自分の実力と勘違いするのである。
 こう書くと「まさか」という声も上がるだろうが、一年365日最低8時間程度はこの衣をまとい、それが二十年以上も続くのである。
 人間は何事にも慣れる。
 二十年近くまとわされた衣を自分だと思う罠からは、よほどの人格者でなければ逃げ出すことはできない

預託された権限は幻だから横柄に見える

 会社や役所、その他で業務のために預託された権限は、その団体や周辺では『目に見える』ものであるが、一度街に出るとよほどそれらしい格好でない限り、首相のようにガードが厳重についてない限り、誰にも分らない。
 しかし本人は幻の衣を着ている『裸の王様』である。

 当然横柄な態度になる。
 自分だけ、あるいは同行している知人にだけしか見えない衣が、全ての人に見えていると勘違いするのである。

退職や引退でとどめが刺される

 二十年近く続いた習慣が、退職や引退ですぐになくなるわけではない。
 理性では、自分は権限を預託されていないことはわかっていても、反射神経は現役のままである。

 だから、理性が緩むときに横柄さが出る
 あるいは理性で我慢していた堪忍袋の緒が切れてしまい、今まで立派な老紳士だった男が突然クレーマーに変貌する。
 あるいは、個人を特定できないネットで餌食を探して炎上させようとする。

男の横柄さを受け流す寛容さが必要なのだろう

 完全に刷り込まれた反射的な横柄さは、繰り返すがよほどの人格者でなければ消し去ることはできない。
 となれば、周囲の一般人は台風を受け流す柳のように、男の横柄さを受け流すしかない。

悪い言い方をすれば
『介護だと思って』
受け流すしかないのだろう

 ちなみに、女性でも横柄さは別の要因から発生する。

bye

ありがとー