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【映画】ガルーダ19【YFFFオンラインシアター】

こんばんわ初見です。

みなさんは何世代ですか?ぼくはリオ五輪世代です。

ヨコハマ国際フットボール映画祭という最強にして最高のイベントがあり、コロナで開催できてないんですけど、オンラインシアターという最良のサービスができました。

『サイの季節』っていうサッカー映画が…って書こうとしたところで、これサッカー関係ないことに気づきました。『オフサイドガールズ』っていうサッカー映画をきっかけにイラン映画に興味をもって、『ペルシャ猫を誰も知らない』に行き着き、その監督の『サイの季節』という謎連想ゲームのようなあれ。

はい、オンラインシアターの公開作品一覧はこちら。

前回は”You'll never walk alone”っていう応援歌の歴史をたどる映画でした。この回はわりとちゃんと書いた。


今回はアンディバティアール・ユスフ監督『ガルーダ19』(インドネシア、2014年)です。ジャンルとしては、フィクションだけど国内の実際の問題を取り上げた的な?映画詳しくないので表現ができない。概要は以下、映画祭公式noteより。


若きインドネシア代表がアジアの頂点を目指す『ガルーダ19』
インドネシア各地から集められたインドネシア・ユース代表”ガルーダ19”。
恵まれているとは言えない環境での厳しいトレーニングが実り、アセアンユース大会で優勝を飾る。
次なる目標はアジアカップでの韓国戦。激しい戦いの幕が切って降ろされた!

実はこの映画、見たことあるんですよ。たぶん札幌にフットボール映画祭が来てたときに見たんだと思う。また札幌に来ないかなあ???来てほしいなあ???

また札幌に来てもらえるように、見たことあるけど、改めて600円課金して見直しました。


「ガルーダ」っていうのは、サッカーインドネシア代表の愛称で、U-19(19歳以下)の代表だからガルーダ19。ちなみにインドネシアは現在FIFAランク173位(2021年5月)、ワールドカップにはオランダ領東インド時代の1938年に出てます。

思ったよりランク低いな。国内リーグけっこう強くて、給料もいいイメージ。でも言われてみれば、このまえ終わったワールドカップ・アジア2次予選では最下位だった気がします。厳しい。


そんなインドネシアサッカーを描くうえで、U-19代表を題材にしている。これけっこう面白い。

インドネシアっていう国は、人口が日本の倍以上で世界4番目なんですけど、ご存じの通り無数の島々に散らばって住んでるんですよ。それでも確か首都ジャカルタのあるジャワ島に半分くらいいるはずですけど。

人口多い国、5つ言えますか?中国・インド・アメリカ・インドネシア・パキスタンです。アメリカは強いけど、他はまだまだこれから。

島によって言語も違うし宗教も違う(9割がムスリムのはずだけど、キリスト教徒もけっこういた)。まともなピッチがないところもある。

都会に住んでいる選手もいれば、海の上に住んでいる選手もいて、生活習慣から全然違うし、経済格差も大きい。彼らを貧しいと決めつけるのも違うかもしれないけど、少なくとも学校に通わせてスパイクを買ってサッカーを続けさせるってなると大変そうです。

才能はどこに眠っているかわかんないけど、そもそも首都から離れた島の選手はスカウトにプレーを見てもらう機会すらない。

監督とコーチたちが隠れた才能の発掘のために、各島を巡って代表と県選抜を対戦させながらスカウトをするところから映画は始まります。彼らはインドネシアが強くなるには、ジャワ島以外の残りの半分のインドネシアから戦力を発掘することが不可欠だと気づいている。

インドネシアの場合、A代表と育成年代で別の考え方をしないといけないんですね。育成年代でたくさんの才能を発掘しないと、A代表は先細りになる。


でも、協会はA代表を強化するという目先の目標のことしか考えておらず、U-19にまったく予算を回してくれません。合宿が始まっても金を振り込まず、選手たちの宿がなくなったり食事が出なくなったりする。

そんな状況下で、時には監督が自腹切りながらチームを強化してU-19東南アジア選手権優勝。さらにU-19アジア選手権決勝へ駒を進めることになる。このへんの試合の過程とかはほとんど描かれてない。フィクションですし。インドネシアU-19代表は本当は勝ち進んでません。

島嶼部の選手もちゃんとスカウトして年代別代表を強化すれば、インドネシアはアジアでトップ狙えるぜっていうメッセージなわけですね。そしてこれはおそらくサッカーに限った話ではなく、インドネシアという国が抱える社会問題なのでしょう。


どうですかね?各地域で練習環境整備して、優秀な選手が1つのシステムのなかで成長していければ、間違いなく一定程度の成果は出る。でもそれが正しいのかはわかりません。島によって文化が異なる中で、サッカーを、しかも型にはまったサッカーを押しつけることが正義なのか?

映画のなかにヤベスっていう海の上の村に住む選手が出てくるんですけど、彼は周りと比べて生活習慣もプレースタイルも全然違うんですよね。村の中でも特に中央の文化に馴染めない人物として描かれてます、英語の授業に全然ついていけないシーン。代表合宿でもドリブルばっかりしてチームメイトにキレられるけど、なんでキレられたか本気でわかってない。

彼が代表に生き残ったことは、インドネシア代表のサッカーの型に自分を合わせていったことを意味します。それは素晴らしいことである反面、彼が故郷の島で身に着けたスタイルが消えていっているということでもある。


ちょっと話変わりますけど、日本でもけっこう簡単に「途上国でサッカーを普及させる!」みたいなこと言っちゃう人いるじゃないですか。素晴らしいことやってる感じで。「それって大丈夫なの?」「文化帝国主義じゃない?」とか思って見てる。

難しい問題ですね。サッカー大好き!サッカーは素晴らしい!みたいな気持ちだけでやってはいけないということです。それはおまえの趣味。

次は『スタディオン』にしようかな。けっこう楽しみにしてたやつ。残り3つです。やっていきましょう。


他作品の感想はマガジンからどうぞ。note全部読まなくてもいいけど、映画は見てください。


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