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自分らしさなんて言葉は嫌いだった:GLAY第70曲『つづれ織り』

1985年以降に生まれ義務教育でゆとり教育を受けた人を「ゆとり世代」という。今では差別用語として捉えられるため、あまり使うのは好ましくないけど、私は、ど真ん中でゆとり世代だ。
「ゆとり」って、ただ単にゆとってただけではなく「個性尊重主義」みたいなのがあった。とにかく自分らしさを伸ばそうという風潮っていうか、たとえば、習字でも綺麗で上手く書けてる文字よりも、個性のある字の方が褒められたりした。挙げ句の果てには2003年にSMAPが『世界の一つだけの花』をリリースして「ナンバーワンにならなくてもいい。もともと特別なオンリーワン」なんて言い出した。あの曲は時代の風潮とか世間が求めてるものを端的に言い表した曲やったから、あそこまで売れたんやと思う。

で、「個性を伸ばそうね」なんて言われると「ほっとけ」っていう反対の感情が生まれるのも当然で「個性とか自分らしさとか、いい加減鬱陶しい」と思うような流れもあったと思う。そんな社会で2005年にGLAYがリリースした「つづれ織り」。次の歌詞に共感した人は多かったんじゃないだろうか?

自分らしさなんて言葉は嫌いだった
生き方が上手な人の台詞だって
『つづれ織り〜so far and yet so close〜』より

この曲は、GLAYファンに「好きな曲」を聞いたら必ずと言っていいほど上位に上がる曲なんじゃないだろうか。まずイントロからもうアカン。ストリングスの壮大な流れに始まりオーボエの親密感のあるメロディ。もう泣いてまう。それでは、どうぞ。

それまではバラードの中でもロックバラードを中心としてきたGLAYやったけど(BELOVED、BE WITH YOU)、この曲ではAメロはとても静かに、サビになっても歪むギターは抑えめで、あくまでストリングスをメインにしている。

ちなみに、2005年のバラードベスト『WHITE ROAD』に収録されたのが初リリースなんだが、このベストアルバムのラストを飾っている。アルバムを最初から最後まで聴いて、最後にこのイントロが流れるのは感動ものである。

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