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漂ってる?沈んでる? GLAY第319曲「漂えど沈まず」(2021)

"ただ愛を乞う者
愛にのめり込んだ者を
愛は追い越してく"
          (漂えど沈まず)

"追い越していく"って言うのはどういうことなのだろう。愛というのは掴もうと思っても掴めないものだということか。いや、愛をとっくに手に入れたと思っても、いつのまにか人間は現実的な事情に絡め取られて堕落し、一方で、愛だけは純粋なままに存在し続けるのに人はそれに気づくことができないということか。
いずれにしても、この歌詞からは
愛というものの尊さ と 人間の可笑しな愚かさ を感じ取ることができる。

「漂えど沈まず」の原型は20年以上前からあったようだ。たしかにその頃のTAKUROが作ったであろう痕跡がある。
"いつの間にか 試してる" のメロディは、HAPPINESSの"愛してる 愛してる" のメロディである。

コロナのパンデミックが起き、緊急事態宣言が発令され自宅待機を余儀なくされた期間。TAKUROは過去のデモテープや作曲時の録音を整理したという。そこで、いまだからこそ届けたい曲を見つけてアルバムにした。「FREEDOM ONLY」はコロナ禍だからこそ生まれた優しいアルバムなのだ。

中でも「漂えど沈まず」は、目立たない曲であるものの深みのある曲だ。
GLAYの楽曲は前奏が長い曲が多いが、この曲はピアノとエレキギターによる短い前奏があるのみで、すぐに歌に入る。今風って感じや。

聞き込んでいくと、TERUの声の力の入れ方が面白いことに気が付く。
1番は、あっさりと歌う。
しかし2番のBメロからはまったく違う。ものすごく熱を込めて歌っている。この差は面白い。
特に "攻め合うように" の語尾は、ここまでやるかというほどの熱量である。もはや叫んでいる。

時を経て、世に出されることになった「漂えど沈まず」。
こんな素敵な曲で出会えて良かったと思う。

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