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私のうっかりが遠くの高校生カップルの力になれた話:GLAY第55曲『愁いのPrisoner』
2018年、私は『愁いのPrisoner』シングルを誤って2枚購入してしまった。G-DIRECTだったかHUBSINCHだったか忘れたが電話オペレーターに1枚取り消ししたいことを伝えた。でも若い男の子っぽくて要領を得ず「1枚取り消しですね、分かりました」と自信なさげに言われて電話は終了。そして案の定しっかり2枚届いた。
こうなったらメルカリで売ろうと思って格安で販売してみた。すると、北海道に住む高校生が購入希望してくれたのでその子に決定した。なんでも「彼氏がもうすぐ誕生日でGLAYが好きなのでプレゼントしたいと思ってる」という事だった。なんてええ話やねんーと思いながら、こういう繋がりも心温まってええなと感じた。心を込めて梱包して北海道に発送した。
私のうっかりミスと、仕事の出来ないオペレーターが、北海道の高校生カップルの力になれたという話である。
てかこれ、めっちゃええ曲やんな。完成度が高い。メロディも◎、アレンジも◎、レコーディングも◎、TERUの声も◎、PVも◎、タイトルもキャッチーやしサビの抜け感も◎、そもそも聴いていて心地よい。
特筆すべきはやはり歌詞かな。簡単にいえば「結婚生活のやりきれない不満」を歌っている。こんな歌詞を書けるのはTAKUROしか居ないやろうな。
出会ったあの頃なら 簡単に許し合えた
抱き寄せても うわの空
それは愛がたどり着いた幻
留まるな 夢の在り方が不確かでも
欲望の扉開けば もはや自由さ
「穏やかな日々を数えて暮らせたら幸せ」と
聞かないで 誰より切ない人
恋人には戻れない 誰もが皆
振り向けば 愁いのPrisoner(囚人)
感情の複雑さ、事象の多層性を表現する試みという点で、このシングルの3年後にリリースされる『Freedom Only』の世界観の布石になっている。
TAKUROがこの頃からカーペンターズの『青春の輝き』の『Freedom only helps you say goodbye.
(自由はさよならを言う手助けにしかならない。あるいは、自由がほしければサヨナラを言う事だ)』という言葉を意識していたんじゃないかと考えられる。『愁いのPrisoner』も、出会った頃の輝き、もう戻れないあの頃、自由とは別れである、というテーマが含まれている。
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