10は隠されている
1 、2 、3、4、5、6、7、8、9、10
かくも巧妙に10は隠されている。
一、ニ、三、四、五、六、七、八、九、十
こちらは隠されていない。虚実織り交ぜるのは策謀家の常道だ。
ten,zehn,dix,diez,dieci
私が知る限りの十だ。しかし、世界を牛耳るのはこれらでなく圧倒的に10なのだ。十ではない、1―0が。
十進法は人間の手指だ。歪むはずはない。
事実私は両の手で十を数えられる。
しかしどうしてだろう。かくも巧妙に本来の10は隠されている。0の登場で記数法は完成したのだ。そして真なる10は姿を消した。はじめから存在などしなかったかのように。
我々は己が手指を1つ切り捨てた。不要になったから捨てたのだ。十やtenが1つになることはもはや有り得ない。ここまで読めば君も同罪だ。
試しに指を1本切り落としてみるといい。握り拳が0だ。十は数えられなくとも、10は数えられるだろう。
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