こよみだより *秋分*
― 2021.9.23 秋分の日 ―
今日は、二十四節気の「秋分」入りです。
太陽が真東から昇って 真西に沈み、昼と夜の長さが ほぼ同じになる日。
この日を境に 夜の方がだんだん長くなっていくという、季節の大きな節目となる日です。
「秋分の日」は、春分の日と同様、二十四節気の中でも 祝日にもなっている特別な日。
昭和23年(1948年)に制定された 国民の祝日に関する法律では、「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」と うたわれています。
宮中行事の「秋季皇霊祭」に由来する祝日ですが、もともとこの日は お彼岸の中日であり、秋の実りある収穫に感謝するとともに、ご先祖様に感謝する習わしがありました。
「彼岸」とは、秋分の日を中日として、前後3日間をあわせた1週間をさします。
彼岸につきましては、春に『こよみだより*春分*』で記しましたので、よろしければご覧ください。
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前回、「十五夜」で「月見団子」について綴ったばかりなのですが… 今日は、お彼岸に供える「おはぎ」の語源などについて少し触れてみたいと思います。
春分の際に、
春には牡丹の花が美しく咲くことから「ぼたもち」、秋には萩の花が咲くことから「おはぎ」と呼ばれること、また秋には収穫したての皮のやわらかい小豆を粒あんにし、春には越冬して固く乾燥した小豆の皮を除いて こしあんにしたことを綴りました。
春と秋とでそれぞれ「ぼたもち」、「おはぎ」と名前が異なり、また粒あん、こしあんで区別されることもあるのです。
でも、もともと古くは、全て「ぼたもち」と呼んでいたそうです。
ぼたもちを「おはぎ」と呼ぶようになったのは、宮中の女官たちが使う女房詞が始まりとのこと。
女官たちが、あずきの粒が残ったあんの様子が、美しく咲く萩の花と似ていることから「はぎの餅」、「おはぎ」と呼ぶようになり、そこから「おはぎ」の名前が広がったというのです。とっても風流です。
今 私たちが使っている言葉には、たくさんの女房詞が息づいているようで、たとえば青い野菜を「青物」と呼ぶのも 女房詞の「あをもの」に由来し、また お味噌汁を「御御御付け」と呼ぶのも女房詞の「御つけ」から転じているそうです。
その他、女房詞では、「酒」を「こん」、「餅」を「かちん」、「草餅」を「草のつみつみ」と。
どこか愛らしさを感じます。
また ぼたもちは、お餅をペッタンペッタンと杵で “搗く” のではなく、つぶが残る程度に、すり鉢で潰します。(それが ”半殺し ”と言われる所以ですが…。)
そうして つくる時には音がしないことから、「夜船」や「隣知らず」、さらには「北窓」という名前もついています。
「夜船」や「隣知らず」は、静かにつくる様子から理由が理解できますが、「北窓」はあまりピンときませんね。
それは、お餅をいったい いつ搗いたのかわからないということで、「搗き知らず」。そこから「月知らず」・「月入らず」となって、月の見えない「北窓」と呼ぶようになったのだと。
ちなみに「夜船」は着いたことがわからないという「着き知らず」から転じたそうです。
その感性が素敵だなあとしみじみ思いながら、おはぎを頬張る私です。
もちろん…! あの世に暮らす大切な人たちや ご先祖さまには真っ先に、美味しいおはぎをお供えしています。
今回も食いしん坊の綴る「こよみだより」になってしまいました。
そろそろ このあたりで おしまいにいたします。
私の住むところは、青空が広がり気持ちの良い朝です。
どうぞ穏やかな秋分の日をお過ごしください。
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∇秋のお彼岸と言えば、真っ赤な彼岸花。
∇先般の強風で倒れてしまったけれど、ちゃんと咲いている 白い彼岸花。
∇まだ青い みかんの実。
▽こちらもまだ青い キンカンの実。
▽ジニア(百日草)
▽秋の七草のひとつ、フジバカマ。
∇見納めになりそうな オクラの花。
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ご覧くださいまして、どうもありがとうございました。
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