マニラ紀行③ パチモングッズ値段交渉戦記
作者は2019年の2月~3月に訪れています。訪れたつもりでお楽しみください!(^^)!
興味のもった方はぜひ!
※今回は臨場感を出すために小説風になっております。売り手と買い手の壮絶なる心理戦をお楽しみください笑。ちなみに記事の写真は舞台のグリーンヒルズモールです。
灼熱の太陽とむせる排気ガス―。フィリピンはマニラ、グリーンヒルズモールの前に男は立っていた。このグリーンヒルズモールはパチモンの巣窟と呼ばれ、噂に聞けば売っていないものはない。男は母国ではきっと買わないであろうブランドに似た何かを探し魔窟の入り口に入った。
店の密度がとんでもねぇぇぇ!道ねーじゃねーか!!どうやってここ歩くんだよ!(写真下)小説風とかカッコつけている場合じゃないないだろ!!(# ゚Д゚)
男は浮足立った。しかし、知っている。世の中なめられたら足元をすくわれるだけだと。
「イラシャイ、オニサン グ〇チ、〇ルメス ヤスイヤスイ」
「コンナネダン、二ホンナイヨ」
「バカダイショウ、コッチキテ、ヤスクスルヨ」
よく日本語をしゃべる。最後のやつはどこでそんな言葉を覚えたのかちょっと気になるしそれを言うならワカダイショウだ。それだとバカ殿くらいしか寄ってこないぞ。。。(心よりご冥福をお祈りいたします)
こういう時に興味を持ってお店に近づくと値段を吊り上げられる。まあ客引きされたから来てやったんだ。別に何も欲しくなんかねーしという感じでお店に近づくのは値札のないパチモン市場での鉄則。
「Watch Watch」30くらいの若いレディが男を読んだ。この男、実は時計に目がない。それとなく近づけばタグ・〇イヤー、カル〇ィエ、ウ〇ロ、そしてロ〇ックス。決めたここで勝負だ。
「時計あんまり欲しくないかな」はやる気持ちを抑える。
「見ていくのはタダだよ。」と進めるレディ
「へえ、よくできてるな。」本当によくできてる。素人目では絶対にどっちが本物とかわからない。これならそれなりの綺麗なお店で販売していたら、50万円とか買ってもおかしくない。よしここで勝負だ。男の財布には帰りのタクシー代も併せて3000ペソ(日本円で約6000円)。2500まで下げられるかが勝負だ。
「これなんかいいじゃない。デイトナ?」
「よく知ってるね。さすが日本人だ。」 デイトナ―。時計好きならばその名を知らないものはない。スイス高級腕時計ロレッ〇スの一番高い種類。その値段は150万するとかしないとか。
「いくら?」「5000ペソだよ」 即答。そしてやはり法外なお値段。こいつ現地のフィリピン人には10分の1くらいで売ってるだろう。高すぎて隣の店のおばちゃん笑っちゃっている。
「いくら何でも高すぎるよ」
「じゃあいくらならいいんだい?」 男は悩ましいそうな顔で3秒くらい待つ。そして言い放つ。
「1000だね。」 これも鉄則だが、妥協できる値段の半分くらいから交渉してみよう。絶対に安い、ナメてる、バカにするな等の話をされるがここで下がれば相手の思うつぼ。案の定ダダをこねてきやがった。
「ケチだね~。君の国の人はみんな6000~8000で買って行ったよ。」 知らん知らん。日本人の所得がみんな同じだったら、世の中社会主義になってしまう。
「知らないのかい?日本今景気どん底なんだよ。人助けと思ってさ。それに俺、貧乏旅行なんだよ。」
「旅行に来ているやつは大概金持ちだよ。けど仕方ないね4000で我慢してあげるよ。」こっちの目を見てない。まだいける。
「1300なんてどう?」
「あんた英語通じてんのか?3500くらいだね。」くっそこうなったら、現地の人を使う作戦だ。
「俺はフィリピン人の友達からここで1000ペソでデイトナ買ったって聞いているんだ。外国人だから妥協しているのに。」
「わかったよ。ならデイトナは勘弁してくれないかい?これうちの目玉なんだよ。」そんな悲しい顔しないでレディ… 泣き顔は見たくないのでさすがにこれは了承する。もし、あなたがここで妥協せずにデイトナを突き通す場合は結構苦しい戦いになる。むしろ相手の提案を飲むことで貸しを作ることになり、今後の男の戦いが有利になる。
「これなら3000とかでいいよ。」とレディ。これはロレッ〇スでもGMTマスター。空を制するものという意味でパイロットの良くするやつだ。が、デイトナよりは格落ち感がある。(でも高いよ)
「えー値段変わってないじゃん。下げてくれないとほかの店でも回ってみるかな。」 粘りだ。男はその場を離れようとする。
「うーん2750とかでどう?」 刻んできた。最後の鉄則だ。相手が数字を刻みかけてきたという事はそろそろ決めないといけない。これで「いやだ!1300は譲れない」とか言い張ると売ってくれなくなる。妥協も戦術の1つだ。
「1600は?」少し値上げ。だからといって急に2000とか上げるのはよくない。何事もほどほどがいい。
「なら2つ買って5000ペソはどうだい?これなら1つ2500だよ。」 抱き合わせもやつらの手だ。ここで折れてはいけない。男は財布の中身をぶちまけた。
「これで俺の今日の金全部だ。2000ペソ。」財布は2つ持っている。残りはもう一つの方とポケットに少々。
「わかった。今回は2350に負けてあげるよ。商売上手だね。」 交渉成立だ。お前の方がよっぽど上手とだろと、男は心の中で悪態ついた。
これが交渉の一部始終。しかし、世の中には2000やそれ以下で購入するツワモノがいるといううわさも聞く。ちなみに店のアフターサービスは充実しているから壊れても滞在中なら修理してくれる。英語のコミュニケーションの練習にもなるし、みなさんもフィリピンに行った時に値段交渉をやってみては?
photo by 筆者and田口雅之
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