2024.5.1 雑記 わたしという夢を見せているのかも知れなくて

「生き汚く生きて何かを作ったら__

ずっと死ぬことが怖い。死ぬことへの恐怖が人並みよりかはきっと大きくて、普段生きてたら別に死にたくないなって日常的に思ったりはしないけれど、それでも不意にいつか死ぬのだと思い出して憂鬱になって眠れなくなる日が訪れる。死ぬことが怖いと言いながら、きっと誰よりも死への執着があるのだと思う。「死にたくない」と「死ぬ」はおそらく裏表で紙一重だ。こんなにも執着している恐怖対象をわたしは他に知らない。

私は何でもない1人の存在で、自分が何でもないこと自体は別に愛すべきことだと思っているし、昔に比べて随分、かなり、きっと昔の自分が今のわたしを見たら驚いて信じてくれない位には、ちゃんと自身が好きだ。何でもないところも私だなと思える。でもだからこそ、思うのは、何でもない存在だからきっと、私の存在は長い地球の歴史の中で、水滴みたいに消えて無くなってしまうのだろうな、と思う。それはもうどうしようもない事実であり、例えば私が地球爆発の危機を救ったヒーローだったり、国を変えるほどの大革命者だったり、時空を超えるような大発明をしたり、したらそれはまた話は変わってくるのだけど、そうなれる可能性は限りなく低い。ネガティヴになってるのではなくて、確率として、(私は今の所ヒーローではないし、大革命を起こそうと思っていないし、発明をするための勉強はしていないので)まあたぶんそんなことは起きないだろうな、と思う。そうなると、やっぱり私が死んだら、私の存在は簡単に消えてしまうんだと思う。それが、しょうがないと分かっているのにどうしようもなく寂しく、口惜しく、怖い。

そのことを自覚したのはおそらく高校生くらいのときで、それまでは別にただ生きていたのだけど、年齢を重ねるうちに自分の生き方を好きになり、好きになればなるほど死ぬことへの恐怖が増して行った。本当は何者かになりたかったんだな、とも同時に自覚するようになった。ただ、何者かになるにはあまりにも遅い。若いから何にでもなれるよ、という言葉はあながち間違ってはないけれど、それでもヒーローや大革命者や大発明家になるには、遅い。私は自覚した頃には17年ほど飄々と生きてしまった。

今からじゃ何者かになることは難しいから、付加価値を増やそうと思って、大学生になって勉強を始めた。舞台の勉強をして、音楽の勉強をして、美術を知って、エンターテイメントを観に行って、元々好きだった本はより好きになり、文章を書いて人と話した。そして、踊ることを始めた。

人前に出ることは、高校生まででやめようと思っていた。3歳くらいからピアノを始めて、中学生でクラリネットに出会って、ずっと楽器と共に人前に立っていたけど、今度は同じような子供達を輝かせる人になるつもりで、ステージに立つことはもうしないだろうと思っていた。
大学生になった今、どうしてか人前で踊っている。「ひなつ」という名前を自身につけて、メンバーカラーもあって、肩書きみたいなのも身につけて、人前に出ている。今でも夢かと思う。メタ的な話をするならば、私は私の中に「ひなつちゃん」を憑依して、「ひなつちゃん」の身体を借りてステージに立っている。今まで生きてきた中でいちばん、人に自分が影響を与えているという自覚がある。それがどうしてか堪らなく嬉しかった。ひなつちゃんを憑依している時間は、私は少し違うわたしになっていて、(もちろん内面も言動も私ではあるのだけど)わたしが踊ったり喋ったり笑ったり、することで確実に誰かの内側に影響を与えている。そのことを自覚すると、何だか少し、高校生の頃の私が思っていたよりも、私は長生きできるのではないか、と思えてくる。1000年とまではいかないけど、50年くらいは長く生きられるんじゃないかな、なんて、まあわかんないけど、もしかしたら。

出逢った人たちと永遠に一緒にいることはわたしは出来なくて、わたしが人前に立つ時間は有限であると知っている。もうその時間が半分もないことも。ちゃんと知っている。出逢った人の人生を最後まで見ることは残念ながら不可能だ。たった2年ほどしか、一緒にいられない。
それでもほんの少しの瞬間をわたしのために使ってもらえたのであれば、それはわたしが生きていた意味があって、その人の生きている時間の一部をわたしと共有出来ていたということを思い出して嬉しくなる。わたしは今のチームを卒業したら、人前から姿を消すと決めているのだけど、例えば誰かが10年後、ひなつちゃんのことを思い出していてくれたら、それは私が長生きしていることになるような気がする。わたしも10年後、ひなつちゃんに出逢ってくれた人を思い出して懐かしくなっているんだろうなと思う。全然永遠じゃないけど、それでも長く生きられる気がしている。

私はひなつちゃんという夢を見ていて、同時にたくさんの人にひなつちゃんという夢を見せている。

幻想のようで、でも確かに現実にいる。
丁寧に手作りした、夢。決して嘘は織り交ぜていなくて、私のこころをわたしに託して、出来上がった夢。夢想。

死ぬことが怖いから、少しでも人の記憶の中に生きていたい。私の身体が死んでも、例えばインターネットとか、例えば誰かの日記とか、例えばこれを読んでいる君のこころとかにわたしがいたらとても幸せだなと思う。

長生きします。そのための努力は全てしたい。健康に生きるし、ひなつちゃんのために生きるし、彼女を超越した私のために生きると決めている。
表舞台から消えても、1000年生きられるくらいの、まあさすがに1000年は難しいかも知れないけど、夢は大きく努力は多く、生きていきたい。
見守っていてください。


____あなたの気持ちが1000年生きられるかも、しれないから。」

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