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ガストバーナー危険浪漫譚/スパルタアザラシのレコーディング&3周年

[1]浪漫がある
 ここ数年はレコーディングのことを「丁寧に丹精こめた最高の光る泥団子作り」のように感じている。なんで3分前後の曲を録音するのにこんなに夢中になって、沢山のお金と時間と労力をかけているんだろうと思う瞬間が幾つもある。
 しかし僕はこういうものに浪漫を感じてしまう。本来生きる上で必要のないものに、夢中になってしまうこと。そういう所作の中に浪漫は隠れている。
 最近レコーディングの手順を人に説明する機会があり、説明すればするほど「気の遠くなる作業」と思われてしまったが、泥団子を最高にピカピカにするようなものだと思ってもらえばいいのかもしれない。それをいい大人が寄って集まってああでもないこうでもないと言いながらやっているのだから、ワクワクしないわけはないでしょう。

[2]寂しい
 レコーディングは大抵、ドラムが一番最初に終わる。ドラムは骨組みになり、そこから他の楽器やボーカルが足されていくからだ。
 なので先週のガストバーナーのレコーディングでは、僕はもうすでにドラムを録り終えていたので何もすることがなかった。本当ならスタジオに行かなくてもいいのだけど、寂しさ4割、僕の知らないところで楽しいことしちゃって許さないぞ!が3割、盛り上げ係が1割、やっぱり寂しいが2割で結局寂しくて、アザラシとお酒を持って大阪から名古屋まで乗り込んでしまった。

著者近景(右)

 人生どれだけ図太い人に心を蝕まれようとも、楽しいことは諦めないでいたいものだなぁと思いながら、レコーディングを眺めていた。良い雰囲気で録れた音源は、良いに決まっている。この日は何故かはるきちさんだけに厳しい、かわい鬱陶しいスパルタアザラシが暗躍してくれたので、良い空気感で録れてたらいいのだけど。はるきちさんすみません。結成当初なら考えられない愚行でございました。

[3]3周年
 ガストバーナーは2023年3月10日で3周年らしい(忘れていたのでメンバー失格である)。もうそんなに経ったのかという思いと、なんか仲良くなったなぁとしみじみ大阪から思っている。未だに当初、そこまで仲が深いとは言えなかったはるきちさんから「バンドやらない?」と声をかけられて、名古屋のバンドなのに「やります!」と即答したのかは謎である。分からないけどそれが良かったんだと思う。
 加納さんもりっちゃんも、出会ってみれば底なし沼のようにヘンテコで素敵な人なので、4年目も噛めば噛むほど面白い気がしているし、なんか色々喧嘩みたいなこともするだろうし(大阪生まれなので僕が一番喧嘩っ早い)、倦怠期みたいなのもあるだろうし、BBQとかしたいし、丸一日だらだらお酒だけ飲む練習とかしたい。
 結成してから丸3年、ガストバーナーはずっとコロナ禍を走ってきて、僕以外の3人はこの3年で、住まいも仕事も環境も変わり、暴風雨のような目まぐるしい人生をくぐり抜けてきたのである。怖いものなんて何もない。雑草に醤油をかけたら美味しく食べてしまうような逞しい人たちなのである。まあ僕もヘンテコ度では負けてないかもしれない。
 そんなこんなで飄々と、面白い人生は続く。

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