負い目を感じない生き方

[1]春の挨拶
 この一週間は、とても不思議な一週間だった。少し落ち着いたらまた改めて書きたいと思っているけれど、今は時間の距離が近すぎて書けないこともあったりする。
 そういう時期は、不思議な連絡が舞い込んできたりもする。もう10年近く会っていない大学院の同期が僕を宛先に入れて、挨拶のメールを送ってくれた。どうやら、彼は母校の大学院に教える立場として着任したとのことだった。昨年、別の同期が同様に同じ大学院に着任した連絡をもらっていたので、同期が次々と力をつけて教える立場として母校に帰ってきていた。
 彼らは今は全然会っていないし、連絡も取り合っていないのに、送信リストに僕が入っているからか、何かあると挨拶のメールを送ってくれる。そしてそれを、僕は勝手に励みにして、彼らが本を出版したり、研究雑誌に寄稿している情報をみつけて、気が向けば買っては読めずに部屋に積んでいる。

[2]10年で積み重ねたもの
 そして直近の一週間ではなく、10年の時の隔たりを思い返したりする。大学院の同期は本当に頑張って研究を積み重ねて今にいる。その一方で僕は、研究を諦め働き始めたものの、社会に打ちのめされながら地を這いずってなんとか生きてきて、ただドラムだけは辞めずに積み重ねてきた。
 それは彼らの研究と比べ合うものではないけれど、ドラムを辞めずに続けてこれたおかげで、彼らに何かしらの負い目を感じることなく応援できているのかもしれない。
 続けてこれたのは、自分の諦めの悪い性格と、人に恵まれた偶然が一致しただけなのだけれど、その偶然に感謝を惜しまないようにしている。
 今年度も、自分に全力で生きていこうと思う。そう思わせる出来事はこの一週間にも、この10年間にもみっちり詰まっている。大学院の同期に会いたいなと思いつつ、会わないのも面白いなとも考えながら、春が来たのに雨が降って、少しだけ季節が後退した街を、傘をさしながら歩いていた。
 
 

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