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呵責液
2019年5月30日 11:24
港を牛耳っている商人の家には、それはそれは大きな物置がある。 そこには、もう買い手がつかなくなって処分に金もかかる骨董品や、祭りの日にしか使わない錆びた祭具のようなものがどっさりと仕舞いこんであった。古物の密林の中で、ひっそり隠れ住むように置かれた、品物の中に、三日月のように弧を描いた象牙があった。象牙には、女の精が宿っていた。女は、物置の窓から毎晩のように本物の月を眺めて、ため息をついて