第4話 入社式

いよいよ、4月1日、社会人生活のスタート。

自宅を出て、地下鉄御堂筋線に乗り、満員電車に揺られながら、本社に向かう

(ついに社会人かー。これからこうしてスーツに身を包んで、電車に揺られる日々になるんやなー)


などと思いながら、半年ぶりの本社に入った

約100人の新入社員は内定式同様、15階の講堂に集められた

講堂には人数分の長机と椅子が並べられており、本日から2ヶ月間研修が続く。新人達は、これから毎日ここに集まることになる

始業のチャイムがなると、入社式が始まり、社長以下、役員が次々と挨拶の言葉を述べた。内容はどこかの本で見たような内容のものばかりで記憶に残りそうもない。

(人前でスピーチをして何も印象に残せないとは、社員にビジョンを熱く語らなければならない経営層としてはあるまじき事態だなぁ)

などと、偉そうに思いながら聞いていると、各人の挨拶は無事に終わり、いよいよ本格的な研修スタートした

初めにスケジュールの詳細が配られ、前から順番にスケジュール表が回ってくる

「入社してから2ヶ月間は研修」というのは事前に聞いていたが
その内訳は今回初めて知らされた

(ん?来週から1ヶ月間の工場研修??)

この会社は国内には7箇所の工場があり

北は東北から南は九州まで

その其々に新入社員が配属されるとのこと

(え?来週から??1ヶ月間?)

どこに!?


そして新入社員一同がざわつく中、人事担当から工場研修についての簡単な説明があり、そのままの流れで派遣される工場の配属発表が始まった

人事「外村、熊本工場」

(熊本ですか!)

人事「リ・ソンヨン、熊本工場」

(お、ソンヨンも熊本か。俺も熊本がええな。)

人事「TK工房、山形工場」

山形!!!


これまた遠い!

こんな調子で100人分発表され、新人達は更にざわつく。というのも、新入社員は全国から引っ越してきたばかりで、新しい生活にも馴染んでいない状況。そこにまた来週から全国へ飛ばされるのだ。

(会社ってこんな感じで粛々と住む場所とか決められて行くんやなー。まぁ、あくまで研修の1ヶ月限定やし、そんな大袈裟なもんでもないか。しかし東北なんて行ったことないけど、どんなところなんかなー。仙台近いし遊びに行けるかなー)

などということを考えながら、1日を終えたTK工房


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